ツバキ文具店

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著者 : 小川糸
  • 幻冬舎 (2016年4月21日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (269ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344029279

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ツバキ文具店の感想・レビュー・書評

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  • 本屋さんの次に大好きなのが文房具屋さん。
    小学校のそばにあった、古くて薄暗い文房具屋さんを思い出しました。

    鎌倉の山の手にある「ツバキ文具店」
    そこで祖母から引き継いだ”代書屋”をしている鳩子。

    まず、この代書というお仕事に驚きました。
    ただきれいな文字で書けばいいのではなく、
    聞き取りをして手紙の文章まで考える。
    書く内容に照らし合わせた手紙の形式、紙の質、それにあったペン選び、色使い、文字の形にいたるまで。

    ”権之助さま”のご遺族へ宛てた「お悔やみ状」がツボでした。
    なかでも胸を打たれたのは、「結ばれなかった初恋の人へ宛てた手紙」
    相手の現在の幸福を願いつつ、自分は元気で生きているとだけ伝えたい。せつない…。
    あと、「天国の夫からの恋文」もよかった。
    他にも、借金の断り状や離婚のお知らせだったり、いろいろあって。

    鳩子の周りにいる人たちがみな温かくて、
    人とのつながりの大切さが心にしみます。

    ただね、先代の手紙を読んだときの鳩子が、あまりにそっけなくてつらかったです。
    先代としか呼べなかった祖母との関係性や、鳩子の心の傷はわかるんですが…。
    最後の涙はどうかおばあちゃんに届いていてほしい。

    あまり書かなくなってしまったけど、手紙っていい…。
    そしてやっぱり自筆の手紙がいいなぁ。
    心が伝わる気がするんですよね。

  • 鎌倉の文具店を舞台に、そこで生活するポッポちゃんこと鳩子の日々の丁寧な暮らし。
    穏やかな時間の流れは凄く心地良いのだが、私の事情で疲れてる夜に読むと心地良さが眠気を誘い前半は読むのに苦戦。
    休みの日に一気に読み切った。
    こういう本は休みに読むべしと心に誓った。

    私情はさておき、本当にいいお話だった。
    先代との苦い思いがずっと心の中にあって、鎌倉のいろんな人に出会うたび、そしていろんな人の代筆をするたび思いが変化していく。

    私もバーバラ婦人伝授のキラキラをやっていきたいな。

  • 読みながら少しずつ私の心と身体の中が、何か温かいもので満たされていくのを感じた。
    遠い昔にどこかで失くした小さな宝物のような、そんな大切ななにかで満たされていく。
    そして、最後の最後に、その温かいものたちが私の瞳からあふれだし、声をあげて泣いてしまった。
    あぁ、そうだ。この温かさは懐かしさであり忘れてはいけない人への想いだったんだ。
    もう2度と会えない人に、あのとき伝えられなかった言葉。もしも少しだけ時間がずれていたら、もしも奇跡が起こっていたら、もしも…
    そんなもしもに押しつぶされるように心から押し出して見ないようにしていた想い。
    どうせ伝えることなんてできないのだからと忘れていた想い。
    そんな想いたちを手紙に書きたい。いつか私も歳を取ってここから去る時が来たら、一緒に持って行こう。
    長い長い手紙を書こう。ありったけの思い出を書こう。そして「ありがとう」の言葉を最後に添えて。

  • 小川 糸さんの本は、素敵な人生の歩み方を示していると思う。この本は、鎌倉に住む代筆屋の女性を中心とした1年に渡る日常を描いた物語。主人について、仕事を通しての心の機微、そして成長を感じた。私も仕事を通して、さらに成長したいと思った。その為には、仕事にのめり込み、苦しまないといけないと本文が言っているように思う。(プロの代筆屋として、その人に成り切って文章を書くことから。)
    相手に手紙で伝えると言う行為の深さを知った。相手に何か伝える時は、伝えるべき内容さえしっかりしていれば良いと思っていたが、相手のことを一歩深く考えれば、どの種類のペンで書くか(ボールペン、万年筆等。また、どのメーカーのもの等)どの紙に書くか、封筒は、切手は。想像は無限に広がり、考え抜いただけ、相手に想いは届くと言うことを。
    これは人生・仕事に通じることで、何処まで相手のことを考えて行動できるかによって、結果が違ってくると思う。今思うことは、相手を思う気持ちが浅いのではないか。もっと深く考えて行動出来れば、幸せな方向に持っていけるのではないかと言うことです。
    たくさん考えることが出来、さらに深い感動を得られる本でした。

  • 自分のことは、自分が一番わかっているなんて
    きっと思い込みだ。
    何の取柄もないと思っていた自分が、
    他人から見たら憧れの存在だったり
    祖母から愛されなかったと思い込んでいたのに
    実は大切に大切に育まれていたことが後でわかったり。。。
    祖母の残した鎌倉の小さな文具店で、
    代書の仕事をしながら
    主人公は少しずつ少しずつ自分の姿を見つけて行きます。
    代書という仕事、
    誰かの代わりに手紙を書くなんて・・・と
    思ったけれど
    他人だからこそ本人以上に気持ちがわかって
    正確に言葉に綴ることができるということも
    あるのかもしれないね。
    手紙の持つ温かみと字を書くということの大切さを
    思い出させてくれた物語でした。

  • 鎌倉が舞台の文具店というより「代筆屋」の物語。
    色んな人からの依頼を受けて、『手紙』を代筆する主人公の想いが伝わる。
    依頼者の代筆をする背景を思い、紙や筆記具の種類をも代えて文章を書く。
    その奥深さには驚愕させられる。

    自分も字が汚いどころか、最近ではパソコンの入力すらおぼつかないのが、恥ずかしい^^;

  • ドラマ化で知って借りました。
    小川糸さん、読むのは初めてです。
    「食堂かたつむり」は映画を観たことがあり、不思議な世界を描く作家さんなんだなと思っていました。
    なんとなくだるくなりそうな作風かと思って敬遠してましたが、読んでよかったです。
    心が洗われる、とてもいいお話でした。

    鎌倉の古い文具店で祖母に育てられた鳩子(ぽっぽちゃん)。祖母(先代)は文具店を営みながら、人の手紙を代筆する代書も請け負っていました。
    先代の死後、代書屋を継いだぽっぽちゃんの元にさまざまな依頼人が現れる・・・。

    ただ単に代筆するのではなく、依頼人の気持ちに沿った内容を考えたり、紙の質、ペン、インク、書体、切手、全てにおいて最良なものを選択し完璧な手紙を相手に送る…なんて大変な仕事でしょう。
    すごいなーと思ったのは、鏡文字。実際に書かれた手紙が本の中に印刷されているのだけど、あの長文をあんなに丁寧に書けるなんて。

    手紙のことも然ることながら、ぽっぽちゃんの周りにいる人たち、みんな思いやりがあって温かい気持ちになりました。
    この人たちの存在が全体を柔らかい雰囲気に包んでいるんだなと感じました。

    それにしても出てくる食べ物のおいしそうなこと。
    特に男爵に連れて行ってもらったお店、行ってみたい!
    手紙も書いてほしい。
    そして、待っている間、ぽっぽちゃんが淹れてくれる番茶が飲みたいです。

  • 小さい頃から手紙を書いたり、貰うのが好きで「代書屋のような仕事が今もあれば、私も向いているかも…」と思っていたところ、代書屋の話の本があることを知り、読んでみました。
    分厚い本ですが、興味のある話だからか、夕方から読み始め、その日中に読み終わりました。

    ストーリーはありきたりかもしれませんが、手紙好きの私にとっては、文房具や実際に書いたお手紙の描写を見るだけでも楽しめました。
    代書屋さんが、便箋や書くものにこだわるだけでなく、字も依頼者が書いたかのように書くということは知りませんでした。(代書屋さんによるのかもしれませんが)

    ひとつだけ素朴な疑問が出てきたのが、夕食は毎日外食とのことで、代書屋(+文房具屋)ってそんなに儲かるの?と… 
    まぁ、物語なのでいいのですが(笑)

    こんな文具屋が近くにあったら、面白そう。
    取りあえずは、便箋や切手にも凝って、手紙を書きたくなりました。

  • 小川糸さんって、ぶれないなぁ。と、改めて感じた本でした。

    日向ぼっこしているような、『平和ボケ』しているハッピーエンドに強引ささえ感じるストーリー。それは時に、冷めちゃいそうになる程。
    それでも、捻くれ者の私が冷めずに読めるのは、言葉の節々に、ハッとさせる現実感が織り込まれていて、きっとこれが彼女の結論なんだっていう潔さを毎回感じるから。

    -------

    鎌倉の代書屋さん、のお話。
    主人公は、自分の気持ちを文字を通して言葉にできない方たちの代わりに手紙を書く。
    手紙という物質、文字の形、紡ぐ言葉で、その人だけの手紙を作るという仕事は、魂が込められているなぁと感心した。

    言葉って、書くって、やっぱりすごいや。
    何よりも、魂が込められている、って表現が似合うと思う。

    私が1番好きだったのは、ただ生きていることを伝えたいという男性の手紙を代筆するエピソードで、

    『毎日、笑っていますか?
    きっとあなたのことだから、時々は楽しそうに
    歌をうたっていることでしょう』

    というこのフレーズ。

    生きているという事をただ伝えたいという純粋な気持ちは好感がとても持てたし、
    紛れも無い、相手を大切に思う気持ちがギュッと込められている透き通った言葉が素敵。

    -----

    気配りも出来ず、繊細さも持ち合わせない私なので、
    せめて優しい言葉をこの主人公のように紡げるようになりたいなぁと、本を閉じてボーッと考えてしまいました。

    ドラマチックでもなく、ただ淡々と、シンプルな言葉に魂を込められるような人になりたい。

  • 素敵なお話だった。
    語彙力が足りなかったり悪筆だったりする人のための代筆屋かと思ったら、怒りや悲しみの感情があふれて言葉にまとめられない人のためのものでもあって、それはありだなと思った。
    代筆をするときのシーンが好き。
    最適(と思われる)紙と筆記用具を選び、依頼者の背景や気持ちを思い浮かべて書くところが、緊張感と静寂とが伝わってくるよう。
    いろんな世代の、それぞれ何かを抱えて生きている人々が、心地よい距離感で暮らしている姿がほっこりするというか、うらやましい。

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ツバキ文具店の作品紹介

ラブレター、絶縁状、天国からの手紙…。鎌倉で代書屋を営む鳩子の元には、今日も風変わりな依頼が舞い込む。伝えられなかった大切な人への想い。あなたに代わって、お届けします。

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