蜜蜂と遠雷

  • 5322人登録
  • 4.41評価
    • (859)
    • (493)
    • (163)
    • (26)
    • (4)
  • 721レビュー
著者 : 恩田陸
  • 幻冬舎 (2016年9月23日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

蜜蜂と遠雷の感想・レビュー・書評

  • たいへん遅くなりましたが、
    直木賞受賞、おめでとうございます!
    『夜のピクニック』で出会って以来、ずっと追いかけて来た作家さん。
    うれしい。本当に。
    この作品で受賞するために、今までノミネートのみで終わっていたのかもしれませんね。

    「努力は天才に勝つ」それが通用しない世界があること、
    天賦の才を持つ人間ゆえの苦しみに、圧倒されました。

    悲しいかな、音感も無く、とくにクラシックには全くといっていいくらい疎い。
    それでも、たっぷりとこの素晴らしい音楽の世界を堪能させてもらえました。
    たとえへたでも、鍵盤にもう一度触れたくなる。
    自分の”音”を奏でたくなる。

    夢中で読みました。
    そして、ふと気付いたら「ピアノ」や「音」の文字を、
    「小説」や「言葉」に変換して読んでいました。

    本書より少し引用します。
    ちっぽけな短い人生のあいだにあたしはピアノに出会って。ピアノに人生の少なからぬ時間を費やし、こうして人に聴いてもらっている。
    そのこと自体がいったいどれくらい奇跡なのだろう。この一瞬一瞬、音の一粒一粒が、今たまたま同じ時代、今この場に居合わせた人々に届くとしたら、それはどれほどの奇跡なのか。そう考えると、あまりにも空恐ろしくなってきて、全身が震えてくる。

    この文章には、恩田さんの小説家としての想いもあるのではないかと感じました。
    同じ時代にたまたま居られたこと、届けてもらえたことに感謝です。

    <追記>
    これを書いているとき、「本屋大賞」受賞のニュースが!
    おめでとうございます!!

  • こんなに夢中で本を読んだの久しぶり。
    文句なしに面白かった。
    恩田さんに最初に出会ったころは運命の人かと思うくらい夢中になって、付き合いが長くなってくると裏切られることも数知れず・・・。
    そんな恩田さんと私の付き合いだけど、やっぱりついて来て良かった。
    ありがとう、そして直木賞おめでとう。

    「音楽を広いところに連れ出す」
    これがこの本の大きなテーマ。
    でもね、この本を読みながら恩田さんは私を私の狭い世界から広い世界へと連れ出してくれた。
    500ページの上下段組み。
    あまりの長さに最初はひるんだけど、最後はもう終わっちゃうの?って淋しくなっちゃった。
    もっともっとこの世界に浸っていたかった。

    最後に☆5つつけたのもう1年以上前の話。
    読んでも読んでもこれだ!って言う本に出会えなくて。
    最近は本を読むことも億劫になっていたけれど。
    この本を読んでいる最中は、まるで亜夜がピアノ演奏中に感じるような多幸感に包まれた気分になった。
    やっぱり読書はいいね!改めて再認識です。

  • あ~読み終わっちゃった。まだずっと読んでいたい気分。
    長い長いピアノコンクールの話だし、最終的に結果が出るわけだし、終わりがあるんだけど。

    憎いね、結果が審査員の2人の会話でわかる趣向。素晴らしいと思った。私はあの子に1位になって欲しかったな~
    3人とも凄かった。演奏は聴こえてこないけど、恩田さんも最高。素晴らしい文章力。
    これって映像は難しそう。だって文章で充分伝わってきて完璧だもん。

    それにしてもピアノをやってる人って尊敬しちゃう。ず~~っと子供の頃から練習を重ねて、コンクールなんて重圧で押し潰されそうだし。
    素晴らしい本に出会えて大満足。

  • 各書評で激賞されており、実際に期待にそぐわぬ傑作。
    直木賞候補作筆頭と言っていいかも。
    今時珍しい二段組みの507頁と大作であるが、第一次、第二次、第三次予選と進むごとに作中に取り込まれ、本選までたちまち読み終えた。
    「天然でエキセントリックな天才」という異色の少年を中心に、彼の演奏に後押しされ完全復活するかつての天才少女、複数の民族の地を受け継ぎ人気抜群のハイブリット・チャイルドの「王子」、さらにサラリーマン演奏家が、ピアノコンテストで出会い、共鳴し高め合う。
    実力伯仲のコンテスタントたちの中で、誰が予選を通過し、誰が本選まで残るのか、第一位は誰がなるのか。作中人物同様に、読者もその行方に目が離せなくなる。
    そして最後、本選の結果はただその順位を列挙するだけ。この締めくくり方にも、作者の秀逸なテクニックを感じる。
    読後は、クラシックに疎遠な者でも、作中の曲を聴いてみたくなる。あるいはレコード店に走りこむ、あるいはコンテストのスケジュールを調べ始める、そんな読者がいるかも。

  • えー、作品のレビューではなく、
    直木賞受賞会見を見て不思議に思ったことの雑感です。
    もうしわけありません。<(_ _)>

    一昨日の夜、いつものように「ニコニコ動画」で芥川賞・直木賞受賞作発表及び会見の生中継を見ていた。

    仙台市出身の恩田陸さんが『蜜蜂と遠雷』で受賞。
    おめでとうございます。
    会見では、当然の如く(笑)河北新報の女性記者が質問した。

    著作の経歴には殆どが仙台市出身と書かれているので、てっきり恩田さんは仙台生まれだと思っていたのだが、青森生まれだった。
    両親が仙台生まれで、今でも実家は仙台にあるらしい。
    そこで不思議に思ったのは「じゃあ、出身とはどういう意味なのだろう?」ということだ。

    調べてみると
    出身=その土地・身分などの生まれであること。その学校・団体などから出ていること。「九州の出身」「民間出身の閣僚」「出身校」
    ※デジタル大辞泉による
    ということらしい。

    恩田さんは仙台市立五橋中学校(当時は私の台原中学校の永遠のライバル校でした)に2年間在籍していたので仙台出身と呼ばれるらしい。
    ただし父親が転勤族だったので、上記の「出身」という意味を当てはめれば、青森市、松本市、富山市、秋田市、仙台市、水戸市など全てが出身地になるはずだ。

    恐らく6県の各地方紙(東奥日報、信濃毎日新聞、北日本新聞、秋田魁新報、河北新報、※水戸市は茨城新聞の購読比率が11%と低く朝日・読売のほうが多く読まれている)で出身者の受賞として大きく取り上げられたに違いない。でも、実家は仙台にあるということなので、仙台が最も密接な感じである。河北新報様、良かったですね。

    全く話は変わるが、恩田さんが酒のつまみで好きなのがなとりの「チーズ鱈」。10数年前、新聞のコラムに書いていたので、お礼にチーズ鱈を箱で送ったら、当然の如く手紙が来た。朝日文庫「作家の口笛」でも『贅沢なチーズ鱈』として、そのことに触れている。

    ちなみに第2回本屋大賞を受賞した青春小説の名作「夜のピクニック」は水戸一高在籍時に彼女が参加した学校の伝統行事である24時間長距離ハイクがモチーフとなっている。

    この作品は高校生がひたすら歩き続けているだけのストーリーなのだが、一緒に歩く仲間が入れ替わったり、そこでの会話や行動などで、青春の痛みや輝き、人の温かさ、友情の尊さなどを知り、高校生たちが成長していく物語である。よくぞこの退屈なシーンの連続だけで、ここまで書いたものだと感動できる素晴らしい作品です。
    新潮文庫になっているので、未読の方は読んでみてください。お薦めです。

    註:直木賞を受賞した恩田陸さんの経歴を細かく調べ、ウイキペディアに加筆しましたので、是非ご覧ください。<(_ _)> 

    恩田陸
    https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%81%A9%E7%94%B0%E9%99%B8

    下記は、新しく更新したWIKIより抜粋───
    両親とも宮城県仙台市出身で、現在も同市に実家があるが、父親の転勤に伴って幼少時からたびたび転居した。恩田の本籍は仙台市にあり、公式プロフィル上も仙台市出身となっている。「宮城県生まれ」と書かれることもある。
    恩田は1964年(昭和39年)10月25日、青森県青森市で生まれ、幼児期を長野県松本市で過ごした。1972年(昭和47年)に富山県富山市に移り、小学2年から5年まで富山市立五番町小学校(現中央小)に通った。1976年(昭和51年)に秋田県秋田市に移り、小学5年の終わりから卒業まで秋田市立旭北小学校に通った。1977年(昭和52年)に仙台市に移り、仙台市立五橋中学校入学時から2年間通った。1979年(昭和54年)の中学3年時から茨城県立水戸第一高等学... 続きを読む

  • 評価に関して、単に恩田さんの新作という観点では『得意の奇抜な設定ではないにも関わらず、恩田さんにしてはまともな終わらせ方』という感想で☆3ですが、
    こんな未完成な作品に直木賞&本屋大賞1位のW受賞させ、例えば年に1冊しか読書しないようなライト読書家への影響大という重責を担わせた関係者の無責任さに対する評価がマイナスなので、警鐘の意味も込めてトータル☆1になります。

    内容は、日本のとある国際ピアノコンクールを、予選3回と本選という構成・主要参加ピアニスト4人並びに関係者と審査員の視点で紡ぐ音楽小説。

    『良かった所』
    終盤でマサルが内心で語る壮大な夢。
    明石の最終的なサプライズ結果。
    何曲か作中の表現で音楽を楽しめた。

    『ダメな所』
    ①作品のペース配分が破綻。
    コンクールの本選は最大の見せ場であり、音楽的にも予選3回はピアノのみ本選はオーケストラ共演という事で、どんなに素晴らしい音のコンビネーション世界が体感出来るのか?楽しみにしてたのに、

    一次予選82ページ、二次予選118ページ、三次予選138ページという分量で、
    本選はたったの58ページ。

    本選に残った主要ピアニスト3人のうち2人の演奏シーンは予選に比べて僅かな量で、残る一人は何と演奏シーンカット(>_<)

    感動の最高潮となる場面で、まさかの尻切れとんぼ。作品内で『コンテスト中の個々の持ち時間内のペース配分が重要』と言いながら、小説そのものがペース破綻という愚の骨頂状態に。音楽への愚弄にも感じた。
    また逆を言えば、予選3回で(本選ではない=最高ではない)演奏シーンをたくさん書きすぎた事により、『演奏シーンはもうお腹いっぱい』と飽きがちにもなりました。

    ②主要ピアニスト4人にコンテストへの執着なし。
    文字通り、主要ピアニスト4人は全員、舞台のコンテストで『優勝したい!』『誰にも負けたくない!』『仲間にも負けたくない!』という情熱や執念が一切なく、
    また4人のうち3人が仲良しで、残る一人も3人の中の女性のファンで、最後に仲良し抱擁。

    彼等の基本スタンスは『皆の才能凄いな!触発されて、僕の私の音楽世界も新たなステージへ昇華したよ!僕の私の新たな音楽世界を聴いて!』という繰り返しであり、
    彼等にコンテストへの情熱がないから、僕もコンテスト結果への興味が失せるし、主要ピアニスト全員をこんなスタンスにするなら舞台をコンテストにした事が意味不明だし、
    こんなスタンスの主要ピアニストなら、『コンテストは半分の量にして、もう半分でマサルが語った壮大な夢実現へと4人が奮闘する展開にして欲しかった』

    以上の欠点から、小説は分厚いほど燃えて喜ぶ僕でも、『(全507ページが)無駄に長くて質に反映されてない』と感じたし、本屋大賞2位の『みかづき』がこれよりも少ない467ページという事にビックリ!体感的にみかづきは質に反映された文量だから、『蜜蜂~』よりも文量面でも優れてる(3倍位に感じる)ように感じてました。

    本屋大賞で、こんな未完成作品に神作や名作の『みかづき』『罪の声』『桜風堂ものがたり』が負けるなんて悔しいし信じられませんし、
    音楽小説としても、より崇高で感動的な音楽世界を描いた『さよならドビュッシー・シリーズ』『ハルチカ・シリーズ』が名誉的に劣るなんて信じられませんし、
    来週、『蜜蜂と遠雷』に使われた曲収録&恩田陸エッセイ付きのCD発売という点と、映像化しやすい作品という事から、他メディア売り上げの相乗効果目的のステマW受賞に感じました。
    これを本気でW受賞させたのなら、小説並びに音楽への冒涜です。
    これに恩田さんは構想12年、執筆7年、大学卒業まで音楽していて、こんな尻切れとんぼと言うのが現実とは思えない。まぁ恩田さんは尻切れとんぼが普通の作家なので受賞させた審査員が1番信じられませんが。... 続きを読む

  • 一見、分厚さにたじろぎましたが(しかも久々の2段組!)、一気に最後まで駆け抜けることが出来ました。コンクールの予選から本選までのタイムライン小説なので、箱根駅伝の往路を見ている時の感覚です。そう、スポーツではこういうタイプの物語で熱くなったことあったな、と振り返ってみると三浦しをんの「風が強く吹いている」を思い出しました。ただ何と言ってもこの小説のすごいところは「文字で楽しむ音楽」を実現したこと。登場人物が群像なのも(それがみんな日本語を解するのも)弾き手であり聞き手である、という仕掛けが上手く機能しているのに感心しました。AIが人間の能力を追い越すのではないか?と言われているシンギュラリティ時代に「神の恩寵」としての音楽を再確認しているのもこの小説が支持されている理由なのかもしれませんね。

  • 読み応え十分の素晴らしい作品でした。直木賞、本屋大賞のダブル受賞は伊達ではありません。音楽はこんなにも文章で表現できるものなんですね。公立の学校教育以上の音楽教育を受けなかった私でも、その素晴らしさの片鱗に触れることができました。風間塵が音楽界へのギフトであったように、この作品は恩田さんから読者へのギフトのようです。登場人物すべてが主人公でしたが、個人的には奏の存在に大いに泣かされました。一握りの天才だけでなく、一つの世界に身を投じて突き進むことができる人たちの才能に感服しました。傑作です。

  • いつもながら装丁買い。
    しかし、中身も想定外だった。寝る時間を惜しんで読んだ。続けて2回読み返した。

    よい耳を持っている人がうらやましい。クラシックを聴くことは好きだけれど、音の違いには気づけない。でも、音楽を聴いて、情景や物語を想像することは少しできるかもしれない。

    ブラームス、ベートーベン、ショパン、リストなどなど過去の作曲家は本当にすごいなあと思う。今でも色あせない。現代も作曲家はたくさんいるのだろう。でも、彼らの創りだす音楽はどれほど後世に引き継がれていくのだろうか。

    そんなことをつらつら考えながら読んだ。読めば読むほど、深い味わいを感じられそう。

    そして「春と修羅」という曲がどんな曲なのか聴いてみたい。明石さんの宮沢賢治の思想に寄り添ったカデンツァを、亜夜のすべてを包みこむ大地を想わせるカデンツァを聴いてみたい。

    久しぶりに読み応えのある物語に出合った。

  • 登場人物のパワーに、いや、作者のパワーにかな、引き込まれた。YouTubeに『蜂蜜と遠雷』で、曲が上がっているので、時々聴きながら読んだ。

  • 音楽に祝福されているような暖かな読み味で描かれる2週間の物語。
    クラシックという歴史ある音楽の煌めき
    この宇宙の秘密などに触れるように奏でられる音楽
    数々のイメージを喚起する音楽
    それを読者は追体験する。
    圧倒的な表現力による描き分けが可能にする色彩豊かな至高の体験。

    焦がれるような期待。
    何かを共有する感覚。
    様々な要素が発光してるかのようで。

  • 2017年3月20日読了。こんな大作を読み上げたのは初めてといっていいくらい、読むのにも体力や能力が要ったようにも思います。でも読んだ後の清々しさったらない!マサルや塵やあやの若さ溢れる演奏に心打たれる連続で、本当に楽しかった。YouTubeでこの曲はどんな曲なんだろうと検索して、こんな曲をコンクールで弾いてるのかとビックリしました。曲を聴きながら読んだので、時間がさらにかかったのですが(ただでさえ読むの遅いのですが)、おかげでその曲の雰囲気がすぐに捉えることが出来て良かったと思っています。そしてその曲の形容の仕方の緻密さ幅広さには作者の力を感じました。その文章の凄さからこの作品がイキイキしてる。すごい作家さんなんだ・・・。力のある作家さんに出会えた気がします。マサルや塵やあやが実在の人物ならなー。会いに行きたいです。こんな情熱的な演奏会に行ってみたいですね。

  •  直木賞なんかには、もったいない。
     審査員が、きちんと読めるとは思えない。
     この作品自体が、ギフトなんだろう。

  • 音楽の才能も素養もない私だけど、読みながらずっと音楽が身近にあった。
    聞いたことのない曲も言葉によって鮮やかな色となって押し寄せて来る。音楽が言葉で、そして色で私の中に染みわたるこの快感。
    塵が亜夜の世界を開いていく場面、私もその情動の中にいた。音楽の海でおぼれそうだ。音楽を奏でたい。音楽に愛されたい。世界はこんなにも音楽で満ちているのだから。

  • 登場人物全員が、真摯に音楽・ピアノと向き合う物語。
    こういうコンクールものには必ずと言って良い程、嫌な役回りの登場人物がいるけれど本作ではそういう役は一切登場しない。
    純粋に、それぞれが美しく共鳴しながら、高みを目指していく。
    どの世界でも極めるということは、何らかの壁を越えていかなくてはならない。その壁は今の自分自身であったり、過去の自分だったり、ライバルだったり。
    壁を乗り越えなければならない者は、時にその壁を楽しみをもってして乗り越えていく位の度量を必要とされる。
    切磋琢磨という言葉が、これ程重く感じられたのは初めてであると同時に、これ程この四字熟語がぴったりハマる作品も他にない。

    二段構成で500ページ近い量でありながら、大きな事件や確執が起こるわけでもない。ましてやミステリーでもない。
    それなのに、ページをめくる手は止まらない。
    音楽の世界に疎い私であっても、情景描写だけで脳内に音楽が再生された様な錯覚に陥る。
    これこそ恩田陸の底力だ。圧巻の文章力。

    夜のピクニックも好きだったけど、恩田作品のこの系統が個人的にはすごくハマるし、本当に大好き。

    直木賞エントリーも大きく頷ける。是非受賞してもらいたい。

    今回は図書館で借りたけれど、文庫化されたら絶対に手元に置いておきたい名作の1つ。
    登場人物の真摯な姿に良い方向に感化されないかな、と。

  • 胸がいっぱい!
    楽曲のCDとセットで欲しい。私にとって、今年1番贅沢で豊かな一冊だった。止まらなかった。

    さて、チョコレートコスモスを読み返したくなったぞ。

  • 直木賞と本屋大賞のダブル受賞となった本作品。ピアノ国際音楽コンクールの話だ。500ページ以上ある長尺でその2/3はピアノ演奏シーン。「羊と鋼の森」の時に『音楽を文章で表すのはとても難しいと村上春樹が言っていたが、これはそれに挑戦し、とてもうまくいってる話だ。なんと繊細で奥の深い世界でしょう。ワタシのようなシロウトから見るともう超能力者の世界ですね。少し大げさな表現なんだが、感性の豊かさがなせる技で、名文が次から次に出てくる。』
    と書いたのだが、同じことがこの作品にも言える。ここまで音を文字にできるのかと感心する。もうこれ以上のものはないだろうと思うほどの出来だ。

    主な登場人物、風間塵、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール、栄伝亜夜、それに高島明石の弾くピアノの音をいろんなものに例えて表現し尽くす。一次、二次、本選と何度もコンクールはあるのでピアノシーンは多いのだが、その都度、その演奏を絶賛する。宇宙空間に行ったり、亡くなった母親が登場したり、長い物語を音で表現したり、自然を感じさせたり、旅行だったり。どれも褒め称える文章になるのでワンパターンになりそうだが飽きさせない。彼らの演奏もスゴイのだろうがこの文章もスゴイ。

    音楽ものは映像だと実際に音を出せるので表現としては有利なようだが、これだけの音に対する感性を見る人の多くは持ち得ないので、不利なように見える音の活字表現が実は有利なんだと思う。

    物語は少しマンガ風である。風間塵は16歳で親の養蜂業を手伝って旅行している。ピアノがない。しかし、テクニック、音感が天才的だ。オーケストラの音を聞いて、楽器の位置を返せる。その下の床は合板で補強しているから音が違うなどと言う。コンクール中に演奏そっちのけで泊まっている生花の名人を師匠と呼んで興味を持つ。少年マンガの主人公にありがちな設定だ。

    演奏の絶賛ぶりもかなり大げさだ。最後の音楽シーンはこんな感じ。
    『観客は圧倒され、演奏に飲み込まれそうになっていた。世界はこんなにも音楽に満ちている』『金管が、木管が、弦楽器が、ピアノが、風間塵が、亜矢が、観客が、ホールが、芳ヶ江が、鳴っている。世界が、世界が、世界が、鳴っている。興奮に満ちた音楽という歓声で。』
    そっかぁ世界が鳴るのか。
    笑ってしまうほど大げさなのだが、安っぽく感じない。その文章力に舌を巻く。

  • 1つのコンクールを舞台に、ピアニスト、審査員、スタッフ、その周囲の人々などの、様々な人間ドラマ。
    読んでいて、勢いと速度があった。物語を追うのが楽しくて、もっともっと見ていたい、聴いていたい、と思った。作中で演奏される曲のプレイリストがあったので、読みながら聴いたら面白かっただろうなぁ…とちょっと残念。今からでも聴きたいけど!

  • さすが直木賞と本屋大賞のダブル受賞作品です。

    私はクラシック音楽にはかなり疎くて、この小説に登場する曲は聞けば分かるかもしれませんが、曲名だけではどんな曲か全く分かりませんでした。ですので、最初のページを読んで、「果たして面白いのかな…。」と思ってしまいましたが、とても面白かったです!!
    読後に、「ああ、これでもうこの人たちには会えなくなるのか。」と久しぶりに寂しさを感じた作品でした。


    ストーリーは、3年ごとにおこなわれる「芳ヶ江国際ピアノコンクール」を舞台にして、4人のコンテスタントがそれぞれの背景を抱えながら優勝を目指していくという青春群像劇でした。

    この小説の魅力は、まず登場人物です。コンテスタントの4人はそれぞれに独特な背景があり、さらに審査員として出てくる人たちにも背景がしっかりあり、登場人物をとても魅力的に描いています。コンテスタントのうちのひとり「風間塵」という異色の存在に触発されて、周りの人物の成長が加速されていくという、青年コミックにありがちなストーリーを、音楽コンクールという独特な設定に持ち込むことに見事に成功をしていることに感心しました。
    さらに、そのうえで演奏される音楽の描写がとても優れています。読んでいる自分が、コンクールのコンサートホールにいるかのような錯覚に見舞われるほど、圧倒的な演奏描写でした。まさに本から音符が飛び出してくる感じです!この部分の描写に、筆者は相当苦労したであろうことは容易に想像ができます。

    登場人物が魅力的で、一人の異端児の出現で回りの成長が加速されていくというストーリー展開、そして秀逸な音楽描写とくれば、面白いのは当然です!!
    もはや最後のコンテストの順位は、おまけです。

    あとからネットで調べると、著者の恩田陸先生も10代のときにピアノを弾いていたそうです。それに、モデルになっている浜松国際ピアノコンクール(3年に1度開催)も4回取材をしていたということで、この描写はとてもできないと思いました。

    小説として、とても面白い作品でした。まちがいなくお勧めです。
    この作品は映像化は難しいと思いました。これは文字だからこその面白さであって、映像になると面白さが無くなってしまうのではないでしょうか。

  • ・『のだめカンタービレ』みたい。
    ・リアリティがない。登場人物たちが練習しなくても超絶技巧が弾ける天才ばっかり。『のだめ…』の方がリアリティがあるかも。
    ・それは試みだったのかもしれないけれど、音に関する記述がほとんどないから、軽く感じてしまう。
    ・彦麿呂の食レポを延々と聞いているかのような…
    ・山盛りのソフトクリームを食べたかのような読後感。
    ・「帰ってきた、帰ってきた」としつこいので最後は「おっことぬしか!」と突っ込んでしまった。
    ・頭のなかでクラシックを鳴らして楽しんできたのに、最後の最後の「耳をすませば」の一行で頭のなかが「カントリぃーロぉード♪」になってしまった。
    ・直木賞、あんまり合わないけれど本屋大賞とダブル受賞というので買ってみた。でもやっぱり直木賞って感じだった。
    ・二段組、ふと戻りたい場所を探すのに疲れる。

  • 2016年下半期直木賞,2017年本屋大賞受賞作品。
    かつて天才少女として騒がれながらも、表舞台から姿を消していた栄伝亜夜。亜夜の幼馴染であり、アメリカの名門音楽学校に在籍するマサル。サラリーマンとして働く出場年齢制限いっぱいの高島明石。今は亡き世界的音楽家の秘蔵っ子の少年・風間塵。4人は日本で開催される国際ピアノコンクールに出場し、第1次から3次予選そして本選へと進むにつれ、互いに影響を受けながら成長していく。
    文章から音楽が奏でられてくるよう。ダイナミックに臨場感を感じさせながらも、音楽が物語を語る情景もきれいに伝わってきた。個人的には、高島明石のキャラクターに一番惹かれた。単にクラシックという枠でなく、音楽の持つ魅力を感じさせてくれる作品。

  • YouTubeで楽曲を再生しながら読み進めていった。

    受賞作品なので映像化されるかも知れないけれど、この物語の醍醐味は読むことでしか味わえない気がすごくした。

  • 「本屋大賞2017」取っちゃいましたね。
    ピアノコンクールに挑む4人の若者たちの物語。
    ドキドキするし、スカッとするし、さすがって感じです。

    但し、曲の表現と言うか、情景描写についてはピアノを知らない私には
    「そんな訳無いだろ。」と思ってします。時々挟まれるそんな描写は、私には退屈でした。

全721件中 1 - 25件を表示

蜜蜂と遠雷を本棚に登録しているひと

蜜蜂と遠雷を本棚に「読み終わった」で登録しているひと

蜜蜂と遠雷の作品紹介

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

ツイートする