蜜蜂と遠雷

著者 :
  • 幻冬舎
4.35
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本棚登録 : 20407
感想 : 2162
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  • Amazon.co.jp ・本 (507ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030039

作品紹介・あらすじ

私はまだ、音楽の神様に愛されているだろうか?ピアノコンクールを舞台に、人間の才能と運命、そして音楽を描き切った青春群像小説。著者渾身、文句なしの最高傑作!

感想・レビュー・書評

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  • 3年ごとに開催される国際ピアノコンクールを舞台にした物語。様々な背景を持って参加したコンテスタントを丁寧に描きながら2週間のピアノコンクールが描写されていて自分も審査員、コンテスタント、聴衆の一部になったような気分になる。クラシックには明るくないのでコンクールで演奏される曲名はわからないのでYou Tubeで調べて聴きながら読み進めた。
    評判がいいことを知っていて期待高すぎたせいか「夜のピクニック」の方が読後の満足感は高かった。

  • 音楽には縁遠い生活をしていて、音楽の題名をみても、何一つ思い浮かべることができないけれど、面白かった!音を言葉で文章で表現するって凄い!実際音楽を聴いたり、コンサートに行ったりすると、私は寝ちゃうんだろうなぁ、と思うけれど(笑)

  • 20240407
    まるでコンクール会場にいるかのような空間や心情の描写。圧巻でした。音楽の意味合いや存在について、こんなに考えさせられたことはあっただろうか。こんなにも五感が研ぎ澄まされた生活を私も送ってみたい。

  • 面白かった!
    音楽小説を読むのは初めてだったけれど、作者の表現力に驚かされた。
    音が聴こえる本と聞いて興味を持ったが、読んでいると本当にピアノの音色が聴こえてくるような気がして、作品の世界観にハマってしまった。
    登場人物どうしの高め合っていく関係性にもグッときて、爽快感があった。

  • 最高だ。私はこの先何度もこの本を読み返し人生の節目で思い出すだろう。読み終わったあとこんなに清々しい気持ちになるのはなかなかできる経験ではない。集中しすぎて自分がどこで読書しているのかすら忘れた。

    ピアノコンクールに挑む4人の心情や成長を描いた2016年本屋大賞作品です。もちろん登場人物にとっては優勝が目標なのですが、ラストは心にすとんと落ちる納得のいく結果だけではなく、どこかじーんと余韻に浸れるような清々しさがあります!

    また、登場人物間の良きライバルであり友人という温度感が、ドロドロとした他人を蹴落とす人間くさいことなく、高め合う素敵な戦友として描かれており、個人的にとても好みでした。

  • 読む前から最高だと知っていたけれど、本当に最高だった。
    読後感は長い映画を見終わった後のようであり、ライブで音の波を全身で味わった後のような感覚。音楽だけどすごく視覚的で膨大な経験をしたような感じ。凄い…なぜ白黒の紙である本から音を、音楽を、自然を感じるんです??ってなる。恩田陸は『チョコレートコスモス』の時も思ったが、音楽や演劇といった「生で空間を共有する」芸術を描くのがうますぎる…。その一瞬であり永遠である時間でしか感じられない高揚感を感じた。メロディを知っている曲も知らない曲もあったが、演奏中の描写は本当にドキドキした。
    リストのピアノソナタから中世ヨーロッパ短編小説を生み出してしまうあたり…圧巻。
    こうゆう天才が出てくる物語って絶対私たちには届かない境地にいて、仰ぎ見てる感じなのに凄く興奮する。

  • 私の夫は音楽物のお話(小説とかマンガとか映画とか)が大好きで、この本も読んでかなり気に入ったらしい。
    私が図書室で借りてきたら、「その本はものすごくおもしろい。俺は3回読んだ。」と言っていたので。
    んで、私も読んでみましたが、うん。かなりおもしろかったです。

    ピアノのコンクールの話。出場者の中の4人の、それぞれの物語が繰り広げられます。

    登場人物の中で、一番好きだったのは、栄伝亜夜とマサルの子どもの頃のピアノの先生である綿貫先生。

    ーレッスン自体も、えらく型破りだった。その先生の家ではいつもいろいろな音楽が流れていて、ロックもジャズも、邦楽も演歌もあった。(中略)
    いろいろな音楽に合わせてピアノを弾いたり、即興で曲を作ったりしているうちに、先生と少女は二人でスケールを弾いたり、何かの曲を一緒にい弾いたりし始める。そうなるとだんだん熱が入っていつのまにか時間が経っている、という感じなのだった。ー

    ほんのちょっとしか出てこなかったのけれど、本当に素敵な先生だなぁ、と思いました。
    亜夜とマサルは、その後、離れ離れになってしまうのだけれど、このコンテストで奇跡の再開を果たします。
    そのシーンは思わずうるうるしてしまったよ。

    コンテスタントの4人は、それぞれ魅力的でした。
    ピアノの天才少年・天才少女たちの中で、ちょっと異色の社会人の参加者、高島明石。

    ー俺はいつも不思議に思っていた―孤高の音楽家だけが正しいのか?音楽のみに生きる者だけが尊敬に値するのか?と。
    生活者の音楽は、音楽だけを生業とするものより劣るのだろうか、と。ー

    「生活者の音楽」。いい言葉だ。

    ところで、この本に出て来る曲名、全然わからないんだけど、すごく最後の方ぐらいから思いついて、YouTube で曲を聴きながら読んでみました。最初からそうしとけばよかった(^^;
    どんな曲か分かると、物語がより楽しめるような気がします。

    もう一回、曲を聴きながら読み直したいけど、図書館に返さなければならない…

  • 文章力、語彙力が兎に角すごい。音楽を文字で表現するという意味では、これ以上の作品はないんじゃないかと思わせるくらい、真に迫った臨場感のある描写だった。尚且つ、ピアノを通して登場人物達が成長してゆく瑞々しい人間ドラマも非常に面白く、W受賞に相応しい傑作だった。

  • ページ数が結構多くて時間がかかったけど、文章がきれいでスラスラ読めた。 登場人物のピアノ、音楽に対する世界観がそれぞれあるのを、恩田さんはしっかり書かれていて、恩田さんの懐の広さを感じた。 自分が好きだった登場人物は「栄伝亜夜」と「高島明石」でした。 特に高島明石は社会人で家庭があり、自分の環境に近かったため、より感情移入できました。 自分には登場人物のように熱中するものなく生きてきたので、とても羨ましくちょっと悲しい気持ちになりました。 映画もぜひ見に行きたいと思います。

  • 恩田陸って天才なんだってはっきりとわかる作品。音楽って文章にできるんだという驚きもあるが、登場人物のそれぞれの魅力も含めて、控え目に言っても大傑作。本屋大賞と直木賞の同時受賞は伊達じゃない。この作品はカバーや内装もおしゃれで、できれば文庫本でなく単行本で持っておきたい。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

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