- Amazon.co.jp ・本 (203ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344030633
作品紹介・あらすじ
そのときトランプ、オバマは、そしてプーチン、朴槿恵は-。駆け引き、軋轢、裏切り-安倍外交の知られざる舞台裏。最も政権中枢を取材してきたジャーナリストによるスクープ・ノンフィクション第2弾!!
感想・レビュー・書評
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トランプ政権誕生後の安倍政権の動きを克明につづったノンフィクション。
表にはなかなか出ないであろう政権中枢の肉声を丹念に拾い集めて読ませました。
過激な発言でメディアを賑わわせるトランプ大統領ですが、初めて直接会談した際の安倍首相の印象は違ったそうです。
「威圧感はなく、逆にどちらかといえば緊張しているように見えた」
巷間伝わるトランプの印象とはかなり異なります。
TPPから永久に離脱するという大統領令に署名したトランプですが、日本政府がなお一縷の望みを捨てていないことも分かりました。
北方領土を巡るロシア側との激しい駆け引きは迫真もので、巻を措く能わず時間を忘れて読み耽りました。
昨年12月に山口県で開かれた日ロ首脳会談は、「大きな進展はなかった」という見方が大勢のようですが、著者の見立ては違います。
会談後に出された「プレス向け声明」を丁寧に読み解き、今後の領土交渉に前向きな意味があることを教えてくれます。
著者の山口さんには、安倍首相や麻生副総理とかなり近いことから、「政権の走狗」「ジャーナリスト失格」との批判も強いです。
私も著者の前作「総理」を読んだ時に、面白いと同時にジャーナリストとしてはいかがなものかと違和感を持ちました。
ただ、現在、これだけ政権中枢に肉薄しているジャーナリストは恐らく数える程度でしょう。
しかも、そのリアルな肉声を、政権側に軸足を置きながらも、真摯に伝えています。
むしろ、政権と厳しく対峙しているように見せかけながら、その実、裏では政権としっかり「チークダンスを踊っている」(辺見庸氏)大手メディアの方が罪深いのではないかと最近、思い始めています。
政治の舞台裏に興味のある方はぜひ。
私は図書館で借りて読みました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
トランプ就任時期の本なんで、ちょっと古い。
が、改めて安倍さんが何を考えてどう動いていたかを知ると、スケールの大きなすごい政治家だったんだなと感じる。
勿論そんな立場から記述しているのはそうなんだろうが、こんなこと考えてこんな風に行動出来た人がいたかと。
ま、日本が、日本になって欲しくない人達が、心の底から憎み倒したのも、理解出来るわ。 -
2021年50冊目。満足度★★★★☆ 安倍総理のトランプ大統領との初めての首脳会談、プーチン大統領との北方領土問題を巡る首脳会談の裏側など、安倍外交のインサイド・ストーリー。第2次安倍政権で新設された国家安全保障局(NSS)が、外務省に対する不信感から生まれたという話は、総理に近い著者ならでは。カネの問題で辞職した元法務大臣の河井克行氏がトランプ政権誕生時、総理補佐官として、外交において極めて重要な役割を果たしていたことを知った。
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トランプ外交、日露外交など、諸外国への安倍外交に関するジャーナリスト本。
前作と違って、ライブ感というか生々しさが鳴りを潜めていたのが残念。トランプの章はまだ舞台裏という感じでしたが、後の章はオープン情報で構成されている印象。 -
トランプ氏が大統領選挙に勝ってすぐに対談を実現したエピソードが中心。本人の体験よりも他人から聞いた話で構成されているようだ。
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http://naokis.doorblog.jp/archives/Abe_Trump_Meeting.html【書評】『暗闘』トランプとの電撃会談の背景、親ロシア派の意味、ケミストリー : なおきのブログ
http://naokis.doorblog.jp/archives/Japan_America_Russia_China.html【書評】『暗闘』〜日米露中四か国関係 : なおきのブログ
<目次>
第一章 安倍・トランプ会談の衝撃
第二章 トランプ陣営の正体
第三章 安倍・トランプ時代の日米関係
第四章 官邸と外務省の暗闘
第五章 日露交渉
最終章 安倍外交が目指すもの
あとがき
2017.07.21 読書開始 -
読んでおいて損はない
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安倍晋三さんの代弁者山口敬之さん、『総理』に続く第二弾。
ニュースで断片的ににしか見られない安倍さんの本音が知れて、とても面白いです。
たとえばトランプ氏が当選した直後、安倍さんとの会談があって、
当時私にはとても軽くお調子者に見えたのですが、
実はずっと前からきちんと根回しされていたことを知りました。
トランプ氏が就任前に会談をした海外首脳は
安倍さんただ一人だったそうです。
これって凄くない?
そして最終章に書かれている安倍さんの真珠湾訪問。
なぜ2016年12月27日だったか?いろいろな件が複雑に絡み合っている。
また私は真珠湾攻撃について「それは、アメリカ怒るでしょう」と思っていたけど
この本で別の見解を知りました。
安倍さんの真珠湾での演説が素晴らしく、その中に
「憎悪を消し去り、共通の価値の下、友情と、信頼を育てた日米は、今、今こそ、寛容の大切さと、和解の力を、世界に向かって訴え続けていく任務を帯びています。」
とありました。
池上彰さんの本を読むと、トランプ氏に厳しい意見が書かれています。
でもこの本では結構称賛している。
真珠湾演説を読んでそれが安倍さんの方針なんだと思いました。
最近スキャンダル続きで大変だけど、頑張ってほしいです。
詩織さん(山口さんに準強姦されたという人)の会見を見た時は
「民進党が安倍さんを辞めさせようとしくんでいるのでは」と思いました。
『総理』を読んだ後は、「財務省ではないか」と思いました。
この『暗闘』を読んでからは「いや、外務省が怪しい」と思い始めました。
山口さんの第三弾が楽しみなんですが、発行できるでしょうか…。 -
野党は無策で、自民党内にもポスト安倍はいない。もはや国内では敵無しとなった安倍長期政権の次の目標は外交だ。
本書は外務省に頼らない、総理自らが直接指示する安倍外交の分析に多くのページを費やしている。そして、安倍外交の最重要ターゲットがトランプ大統領だ。
トランプの大統領就任前にいち早く面会し、良好な関係を築き上げた安倍総理は在日米軍問題や対北朝鮮問題の解決を狙う。これぞ、安倍総理が保守政治家として期待されていることだが、その結果、親安倍派はますます安倍総理を応援し、反安倍派はますます攻撃を強める。
安倍総理としては、自身の評価が2極化することを覚悟の上で、政権の総決算に挑んでいる。その最終目標が憲法改正だ。 -
安倍総理のトランプ大統領との初めての首脳会談の裏側や、プーチン大統領との北方領土問題での経済活動を巡る首脳会談の裏側など、安倍外交の内側をノンフィクションで著した一冊です。第2次安倍政権で新設された国家安全保障局(NSS)が、外務省に対する不信感から生まれたものだという話は、新聞やテレビなどでは分からない情報で、総理に近い著者だから得ることのできた逸話だと思いました。
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前作「総理」に続く、安倍首相の言動を傍から描いたものである。前作は自ら見聞きした場面が多かったが、今回は必ずしもそうではないように読める。
今回は、トランプ大統領誕生の2016年秋からの話で、トランプ大統領との関係、外務省との関係、プーチン大統領との交渉など、外交が中心である。
安倍首相に関しての記事は、悪口や難癖しか見当たらず、政治の現場の実態が全く分からないのが現状である。本書のような裏話は、同時進行でなくても、新聞や雑誌での解説記事なりで読みたいと思う。それが出てこないのは、マスコミの記者の取材力や考察力不足なのか、思い込みでしか書けないからなのだろうか。
他には期待できないので、1年遅れでも我慢するので、このような政権の内幕(スキャンダルではなく政策や政治判断に関する)記事を今後も作者に期待したい。 -
トランプ政権後の日米間のやりとり、日露外交について、NSS設立と外務省との摩擦問題など、政治やそれを動かすための動き方など勉強になる。そして政治への関心も高めてくれる。
ただ総理よりも内容は少し薄く感じた。 -
前作の「総理」が非常に興味深かったので、本作も拝読。
政権の機微に触れる情報などの言及の深さは、前作よりも若干浅くなった感は有るものの、テレビや新聞では知れない、当事者に肉薄しているからこその情報は単純に、「そうだったのか!」と思わせることが多い。
トランプ陣営への、当選前からのコンタクトに関する言及が、本作の白眉で有ると感じた。
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今回は安部総理の外交戦略、手腕ついて書かれています。
報道されない裏話は読んでて面白いが
『総理』と比べるとやや弱いかな? -
トランプ政権前夜から発足直後にかけて、安倍政権が先見の明でトランプ周囲とのパイプ作りに成功し、発足前後に率直に意見交換できたこと、ロシアのプーチン大統領にも期待だけさせて成果なしのように報道された首脳会談も、経済協力をテコに主権の棚上げに踏み込む、四島返還へ向けた踏み込んだ意見がかわされ、プーチン側からも平和条約への前向きな姿勢を引き出せたこと、拉致問題以来の外務省への不信から、官邸直結の外務省とは別の外交ルートの確立を模索していたこと、などが描かれる。半年経った今となっては、せっかくパイプを作ったフリンが罷免されたり、一縷の望みを託したTPPも結局はアメリカの脱退で終わったりではあるが、米中露韓それぞれに、言うべきことを言い、是々非々で対して行く、という姿勢はこれからも変わっていかないのか、注視していきたい。また感情的でなく批判的な本と合わせ読むとより立体的に事象を捉えらるかと思った。
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安倍首相と親密すぎるということはよく分かった。
ジャーナリストが権力とこれだけ近いというのはどうだろうかと思う。当事者でしかわからない肉声は伝わってくるが。 -
読了。
前作「総理」が抜群に面白かったので、手にした一冊。前作と比べて対象期間が短いこともあり、ボリューム的に物足りない感が無きにしも非ずだが、外交の舞台裏をスリリングに描き出している。タイトルは色々な意味に受け取れるが、本書の要諦は「官邸と外務省の暗闘」だろう。歴代総理の中でも特に毀誉褒貶激しい安倍晋三。リベラルは勿論、保守層からも叩かれそうな施策を時として強引に遂行する現総理。安倍一強と呼ばれ与野党双方に安倍を倒し得るライバルが見当たらない今だからこそ、保守政治家として「保守層の不満を包含して決断する」という大きなリスクを取ろうとしているのか?それとも無垢で幼稚な理念を具現化しようと暴走する為政者なのか?はてさて。 -
2016年にドナルド・トランプが大統領候補であった時から、安倍政権がどのような戦略をとっっていたかの部分が興味深かった。結局トランプタワーで安倍首相とトランプは対中国・中国封込めについて話していたようだ。
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2017.04.25読了.
「総理」に続く二作目。文章も読みやすく好きなジャーナリストになった。次作にも期待したい。 -
「総理」に次ぐ山口敬之さんの2作目、
変わらずの高クオリティ、圧巻のルポルタージュ
トランプが泡沫候補と蔑まれていた2016年早春からトランプ陣営へのアプローチしていた経緯が
端的に記させている
佐々江大使、森局長、河井補佐官のレンガを積むような地道な事前活動、
そうして得た ウィルバー・ソロス、マイケル・フリン、ピーター・ナヴァロとの直パス!
就任前のトランプとの面談は、一朝一夕でやったものじゃなくて 総理の国家観に基づく緻密な事前準備が成し得たもの
外務省との暗闘ヒストリーも息をのむ程で、
米朝韓におもねて国益よりも省益を優先した外務官僚の面々、
河野談話を主導した谷野作太郎、
北交渉を独占した田中均、
日露交渉の途中過程をリークして交渉破綻を狙った外務省ロシアスクール、
「内なる敵」との暗闘が繰り広げられていた
本書のタイトルである「暗闘」の相手方が
外国の面々ではなくて、
日本国内の官僚や政治家であることが、
なんとも悲しい
彼らはなぜ国益毀損となる行為をするのか?
国益を求めていないのか?
という疑念が残った
一方で、総理の国益を守る!という決意と行動がリアリティをもって本書から伝わってきた
省益優先の外務省に依存しない、
NSSや官邸スタッフ、総理寄り官僚の面々によって、
「官邸主導外交」と「多層的アプローチ」を構築する過程が、
本書のメイン取材対象であった -
普段全然ニュースもみれていないのですが、ここ最近毎日のようにトランプ氏が何か物議をかもすような発言・行動をしていることは知ってしました。
この本は、そのような体制に日本(安部首相)がどのように向き合っているのか、いこうとしているのかが簡潔にまとまっています。
その他にもロシアとの関係や真珠湾訪問の意図などいろいろなニュースがつながる話がありこれからニュースをみて考えるいい下地ができた気がします。 -
メインに持ってこられている安倍トランプよりも、プーチンとのやり取りの部分が面白い。とにかく内なる敵が大変…
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前作「総理」に続く山口敬之氏の政治ノンフィクション。今回は外交を中心に安倍総理の影なる戦いを描く。
トランプ大統領との関係性構築の為に動いた裏方の人物、プーチン大統領との会談における実質的な成果、外務省との内なる戦い、韓国との付き合い方などなど。新聞やテレビだけでは知れない闘いがリアリティを持って描かれている。
曲者揃いの海外リーダーと渡り合って行くには今の所安倍総理しか居ないんじゃないかと思わざるを得ない。
野党も大阪の小学校の問題で責めるばかりじゃなくて、将来の日本の姿を語ってほしい。今政権取って日本をどうしたいかが全然見えない。
しばらくは安倍政権に頑張ってもらわないと、思わせる本であった。良書。 -
総理のが面白かったなー
続編でるとは思うけどできれば首脳会談まで追って欲しかった! -
元TBS記者による安倍外交の舞台裏。
著者と安倍首相の関係無くしては、ここまでのやり取りは明かせない。 -
1作目の総理は素晴らしかったが、これは安部サイドの主張と米中もし戦わばを足して2.5で割った1冊。残念だがこれからはこういう道でいくのだろうか。民間スポークスマンというのも需要はあるだろうしそういう形での情報開示にも意味はあるのだろうか。私がそれにお金を払うかは別として。