ブランケット・ブルームの星型乗車券

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 544
感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344030800

感想・レビュー・書評

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  • ここではないどこかにある街〈ブランケット・シティ〉。
    もうこれだけで吉田ワールド全開な感じ。
    その小さな街で発行されている、街唯一のタブロイド紙〈デイリー・ブランケット〉の専属ライター、ブランケット・ブルーム君が担当する連載コラム〈ブランケット・ブルームの星型乗車券〉をまとめた形のもの。

    食卓でコーヒーでも飲みながらお読みいただければ…の言葉通り、肩の力を抜いたのんびりモードのコラムばかり。
    内容も、街のこと、眠りについて、冬の寒さについて、街で起こった事件等など地元に則したちょっとした出来事を取り上げたもの。
    吉田さんお得意のお洒落な装幀とレイアウトが、まるで大人向けの絵本のように素敵。

    ”ブランケット”の名前のように、ふんわりと柔らかな毛布に包まれている感じが心地よい。
    「〈勇気〉も大切だが、ときには〈臆病〉がより良い結果を生むことがある」
    「強さだけが何かを生むのではなく、ときには弱さが生活にうるおいをもたらす」
    弱さを肯定する吉田さんの独特のポリシーは読み手に安心感を与えてくれる。
    走ってもいない列車の乗車券、上演されるあてもない芝居の座席指定券、本好きのための酒屋(本それぞれに見合った酒が準備されている酒屋)、グッドバイ研究所、毛布を干す日…聞いただけで何故だかわくわくしてしまう。
    地図には載っていないけれど、どこかにきっとあるはず、と期待せずにはいられない素敵な街だった。

  • 架空の街、ブランケット•シティの新聞のコラム集。
    1話の長さが決まっているので毎日少しずつ読むのにちょうど良い。見知らぬ街を旅した気分になれてリフレッシュできた。吉田篤弘さんの物語はいつも優しくてストレスなく読めるので疲れた心に沁みる。ひとつお気に入りをあげるとしたら発券所かな。ロマンがあっていいなと思う。

  • 1日1話ずつ、眠る前に読むのがおすすめの1冊。
    ひとつひとつのエピソードは短めなので、長編が苦手な方にもぴったりです。
    環状線のようにつながる物語を通して、ちょっとした旅行気分を味わうのはいかがでしょうか。
    装丁もおしゃれでかわいい、読むのが楽しい本です!

  • 上半分が絵、下に文章、一話3ページで沢山の話が載っています。元々、大人の絵本的な作風の吉田さんですが「まさに」ですね。
    多くは何か”有り得ないもの(例えば存在しないイベントのチケットを売る発券所)”を発想し、それについて粋な文章で語ったものです。そういう意味では『あることないこと』『ないものあります』や小川洋子さんとの共著『注文の多い注文書』など吉田さんお得意の話です。
    ただ、この本は図書館の起源に迫られて一気読みするような本では無いですね。枕元に置いて寝る前に数話ずつ読み継いでいくのが相応しい。もともと雑誌連載ですし。
    ところでこの本のアマゾンのページには吉田さんについて”小説を執筆するかたわら、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作と装幀の仕事もしている。”となってますね。確か以前は装幀家がメインだったような気がしますが。。。

  • やっぱり好きです、クラフトエビング商會。
    短いレポートの中に、いろんな感情が入っていて、手元に置いておきたい1冊になっているのは、すごいなぁといつも思います。
    2018/4/16読了

  • 寝る前に少しずつ読んで、2ヶ月くらいかけて読み終えました。吉田さん、本当に好き!装丁も文章も絵も巻末の付録も、全てがお洒落で、家に飾っておきたくなります。この本を見かけた方は、是非中身を見てみてください。そのお洒落さにやられるはずです。とうとう読み終わっちゃったから、次の寝る前読書本を見つけなくては。

  • 吉田篤弘さんの小説を、読んだことのない人に説明するのは、とてもむつかしい。
    同じような小説を書く同時代の作家を、わたしは知らない。
    同時代でなくてもよいなら、今回のこの「ブランケット・ブルームの星型乗車券」は、さしずめ21世紀に書かれた稲垣足穂の「一千一秒物語」といったところでしょうか。
    《物語》を読むことの、よろこび。

  • 読んでいる間ずっと心がホワーンとなっているのです。で、読み終わったらスーッと心が軽くなって、でも、後にはなーんにも残ってないのです。で、またしばらくすると吉田さんの本を手にしているのです…。

  • 不思議が感覚でずっと読んでいられる絵本
    絵も吉田篤弘さんなんだけど、その絵も味があって好きだな

  • 一目見て装幀が美しいいのに惹かれ、その内容も最後に再現された「デイリー・ブランケット」も美しく、こんな素敵な本を手にできるなんて、なんて幸せなんだろうと思う。
    別の世界の不思議で美しいコラムが並んでいる。
    宇宙や空想、詩歌が好きな人におすすめの本。

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著者プロフィール

1962年、東京生まれ。小説を執筆しつつ、「クラフト・エヴィング商會」名義による著作、装丁の仕事を続けている。2001年講談社出版文化賞・ブックデザイン賞受賞。『つむじ風食堂とぼく』『雲と鉛筆』 (いずれもちくまプリマー新書)、『つむじ風食堂の夜』(ちくま文庫)、『それからはスープのことばかり考えて暮らした』『レインコートを着た犬』『モナリザの背中』(中公文庫)など著書多数。

「2022年 『物語のあるところ 月舟町ダイアローグ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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