ディレクターズ・カット

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著者 : 歌野晶午
  • 幻冬舎 (2017年9月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344031678

ディレクターズ・カットの感想・レビュー・書評

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    テレビのワイド情報番組の人気コーナー「明日なき暴走」で紹介された、若者たちが繰り返す無軌道、無分別な言動・行動が、じつは下請け番組制作会社の有能な突撃ディレクター仕込みのやらせだとわかったとき、無口で不器用かつネクラな若い美容師が殺人鬼へと変貌する。さらに視聴率アップを狙うディレクター自身が加速度的暴走を開始。静かなる殺人鬼は凶行を重ねる。警察の裏をかいて事件を収拾し、しかもそれを映像に収めようとするディレクターの思惑どおり生中継の現場に連続殺人鬼は現れるのか!? ラスト大大大どんでん返しの真実と、人間の業に、読者は慄然とし衝撃に言葉を失う!
    +++

    導入部は、若者たちのあまりにも無軌道で身勝手な振る舞いにうんざりさせられ、一瞬読むのを辞めようかと思わされるのだが、歌野作品はここであきらめてはいけないと思い直してさらに読み進める。次第に、彼らの振る舞いが、テレビ番組のためのやらせだとわかり、多少は腑に落ちる。この導入部と、その後とで、彼らの人格や言葉遣いが変わりすぎているのも、前者が演じていたからと捉えると、違和感も薄れるだろう。ここまでして他者を抜きたいのか、という思いと、連続殺人鬼となった川島輪生(もとき)の次の行動に対する興味でしばらくは読み進んだが、ラスト前になって、物語はがらりと様相を替え、息を呑むことになる。それまで起こっていた出来事の裏で、そんなことが行われていたのかと驚くとともに、腑に落ちる部分も多々あって、思わずため息が出る。しかし、それで終わりではなかったのだ。最後の最後にさらなる逆転が待ち構えており、その上さらに、予想外のからくりが種明かしされる。これぞまさにディレクターズ・カットではないか。裏切られる喜びを何度も味わえる一冊である。

  • 街の至るところに防犯カメラがあり、ほとんどの人が録画機能を持つ機器(スマホ・ケータイ)を持ち歩き、何かあればすぐさまネットにアップする今の時代、確かにここに書かれるような犯罪があっても、なんの不思議もないだろう。テレビ局による「やらせ」が絡んでくるところもうまい。さすが歌野晶午、決して読み心地がいいとは言えない話を、スピーディに展開して、どんどん読ませる。

    でもなー、歌野晶午なんだからついつい「葉桜」レベルの作品を期待しちゃう。ラストの説明が一発でスカッと決まらなくて、どうにももたつく感じ。いやまあ、あれと比べたらいけないんだろうけど。

  • ちょっとコレは無理でした。
    気持ち悪い。
    不快。

  • どんでん返し傑作。登場人物は全員アレでイライラはするけど、展開早くて良かった。

  •  ちったぁ反省しろよ、おっさん。

     いやぁ、さすが歌野。後味悪いわ。なんで最後、人違いしちゃったかなぁ! ちゃんと殺しとけよ!
     って思う程度には主人公がクズ。クズっていうかうん、うん……てれび、もともとすきじゃないからさ……。テレビとか、報道に対するヘイト値上げるのが目的なのかこの話。あとネットって怖ぇなっていう。
     物語としてはサスペンス、ミステリーで面白かったんだよ。オチも、ああそうくるか、って思った。登場人物にいらいらさせられたので、書き方がうまいんだろうなぁって。
     テレビの報道番組も信じられないし、ネットの情報もデマばっかりだし、現実ってくそだな! って思いました。

  • 無軌道な若者たちの暴走をテーマとしたテレビ番組(実はやらせ)と、あまり表沙汰になっていなかった連続殺人犯とが偶然繋がり、そこに生まれたとんでもない企み。いやいやいや、いくらなんでもそれは駄目でしょ! と思ってしまいますが。しかしこれもまた仕事にかける情熱だと称賛してしまっていいものなのかなんなのか。よくぞそこまで、とある意味関心もしてしまうかも。
    ネットの技術も駆使しながら、殺人犯を追い詰め捉えようとするディレクター。しかしまさかそんな真相が待ち受けていようとは! これは予想外だったのだけれど。それよりもあれをあんな風に編集してしまうテレビ、いやいやそれはいくらなんでも……でもほんの少し、あっぱれと思っちゃうかもしれません。

  • コインランドリーの洗濯機に入ってピース、公園の監視カメラを割って正義の味方気取り、ファミレスで店員にいちゃもんをつける、暴走する若者たちの姿を克明に描いた映像。それらは全て、若者たちと懇意にする制作会社の長谷見の指示によるものだった。いわゆるやらせ映像を撮っていた若者の一人、虎太朗はファミレスで騒いだ帰り道、一人になったところを通り魔らしき男に襲われ、鋏で刺された。それさえも特ダネのネタにしようと張り切る長谷見に不満を持ちつつも捜査に付き合う虎太朗だが……。

    登場人物たちがあまりにも、あまりにもDQNなので一章は閉口したけど、全体的にはそのキャラクターたちが良く活きた話だった。もちろん報道の全てがそうじゃないんだろうけど、いやらしさがよく出てて、嫌な気持ちを味わえた。あと編集ってすごいな、うまいこと繋げるもんだな、と妙に感心してしまった。

  • みなさんのレビューと似ているのですが、「葉桜」を基準にすると期待が大きすぎて失望するパターンです。かつテレビ制作の裏側の醜悪さと登場人物の不快指数の高さで、最後の仕掛けも色褪せてしまい、凡庸な印象しか残りませんでした。リンネが一番人間らしかった、っていう落ち?

  • 報道ワイド番組の人気コーナーで紹介される、若者たちの無分別な行動は、有能な突撃ディレクターのやらせだった。それを知らないネクラな若い美容師が若者たちと交錯し、殺人鬼へと変貌する…。

    歌野晶午は10年前に読んだ「葉桜の季節に君を想うということ」の印象が強すぎて、なかなかそれを超える作品に巡り合えないでいた。TV界の内幕(特にAD残酷物語)はすでに戸梶圭太ら他の作家が書いていて、特に目新しさはなかった。最後のどんでん返しも「葉桜…」ほどの切れ味はなかった。
    (Ⅽ)

  • 大手TV局の下請け制作会社のディレクター長谷見。この世界で生き残っていく手段として、舎弟の若者らにわざと無軌道な振る舞いをさせビデオにとり、現代若者の生態ドキュメントとしてワイドショーで流している。
    美容師見習いの川島。社会に馴染めず、不遇を囲っており、世の中を怨嗟している。満員電車内で、いつも持っている商売道具の鋭利な鋏で偶然にも女性を殺害してしまうが、発覚はしておらず、この事件を引き金として、連続殺人を引き起こしているよう・・・
    この二人が偶然に接触したことにより、業界で窮地に陥っていた長谷見は、川島を探し出し、これを利用してTVに復帰する計画を進める。
    視聴率至上主義でネットにおされているTV界にしても、自己中な若者達にしても、現在のこの国の状況が作り出しているようなものであろうが、これが読者に現実的な嫌悪感を与えるところが、この作者の狙いであろうか。
    ラストのどんでん返しは、説明臭いのが鼻につくが、全体的に話としてはまぁまぁ面白かった。

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