淳子のてっぺん

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著者 : 唯川恵
  • 幻冬舎 (2017年9月7日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (435ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344031685

淳子のてっぺんの感想・レビュー・書評

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  • 警察ものとか笑えるものとかでもなく、久しぶりに感動する本を読んだ。登山家田部井淳子さんをモデルとした物語。正直、よく存じ上げていない方で(ごめんなさい)、山のお話というのもどうかなあと思っていたんだけれど、読みやすく、非常に引き込まれた。隊員とのやりとり、準備、家族の問題、その時代で女性であること、そしてもちろん登って行くことの過酷さ、苦労の中に熱い情熱を感じました。また。行きたい気持ちがある、どうして実現するために行動を起こそうとしないのか、やるだけのことをやる前に答えを決めつけるのは、本気で行く気がないからだ、というくだりはこちらも大変刺激になりました。田部井さんの本がいくつか出ているようなので、そちらも読みたくなったです。
    そうそう、ご主人が素敵な方だなあとも思いました。

  • 山の本はいい。『ソロ』(笹本稜平著)を先日読んで、舞台も同じエベレストということで早速手を出した。田部井淳子さんをモデルにした小説。最初はほぼノンフィクションかと思い、本人名で登場かと思って読み進め、”田名部”という名前が誤植か?と思ったほどだ。
     ラインホルト・メスナー、植村直巳、長谷川恒男など有名人は実名だが(田部井さんも十分、有名人だと思うが)、主人公田部井淳子が田名部淳子、ご主人の政伸さんが正夫さん、谷川岳一ノ倉沢登攀のペア佐宗ルミエさんはマリエさん等々、微妙に名前を変えてある。これじゃあ、「多く食べる胃袋と書いて”食べ胃”と呼ばれてます(笑)」という田部井さんのシャレの効いた自己紹介が使えない(笑)
     その他、幼馴染の勇太や大学同僚の麗華あたりも、完全な作者の創造による登場人物だそうだ。

     フィクションにしてエンターテイメント性をより高めてあるのだろう。田部井さんの初期の偉業にのみ焦点を当てつつも、最晩年の東北地方の高校生らとの富士登山活動をプロローグ、エピローグに使い、登山家田部井淳子さんの生涯を貫く信念のようなものが、非常に簡潔に浮彫りとなっている作品だった。

     女性に対する偏見もまだまだ健在な昭和の時代に、女性初や女性だけで、と数々の偉業を達成してきた田部井さんと彼女を囲む女性の熱い想いがひしひしと伝ってくる。今年(2017年)ヒットした映画『ドリーム』にも相通じる内容でもある。
     主人公となる女性たちの高い能力や強靭な意志もさることながら、男性優位の風潮の中でも女性の実力に理解を示す周囲の協力もあってのこと。特に、本書では田部井さんのご主人である政伸(本書では正夫)さんの理解と包容力がなんとも温かい。
     初の海外遠征アンナプルナⅡ峰出発を前に正夫の言うこの台詞が最高だ。

    「言っておくけど、てっぺんは頂上じゃないからな」(中略)
    「淳子のてっぺんはここだよ。必ず、無事に俺のところに帰って来るんだ」

     ”てっぺん”という言葉は、政伸氏の著作『てっぺん 我が妻・田部井淳子の生き方』でも使われている。ふたりの間で本当に交された言葉だったのだろう。
     山行での苦悶、女性だけのチーム内の葛藤などの苦労は多少の脚色もあるだろうが非常に臨場感あふれて描かれていて感動もするが、家族あっての田部井淳子だったのだなと思わせる地上での暮らし、特に夫・正夫(政伸)との信頼関係が、屹立する華々しい記録の土台となって、どっしりと構えられていたからこそだったんだなと思わさせる。

     もひとつ正夫の言葉を引用しておこう。

    「覚えているか?この家を建てる時、ここを俺たちのベースキャンプにしようって言ったの」
    「うん」
    「俺がベースキャンプを守るから、淳子は思う存分登って来い。淳子が登ったら俺も登ったことになるんだ。だって、俺たちはふたりでパーティを組んでいるんだからな」

     実に感動的(涙)。良書也!

  • 2017.12.4.(図書館)

  • 本の厚さ、文字の小ささにひるんだものの、読み始めればぐいぐい引き込まれ、あっという間に読了しました。

    新聞などの報道では、なんとなく登った人だけにスポットライトが当たり、美談になりがちですが、その成功は多くの人たちの支えがあったからこそ。そこにさまざまな感情が渦巻いていたこともしっかり描かれていて、とてもリアルに迫ってきた気がします。

    取り柄はないし歴史に名を残すような人でもないけれど、私にも淳子さんを支えた人たちのように陰ながら誰かの役に立てることがきっとあると信じて、これからも人生の歩みを進めたいと思いました。

  • 【図書館本】
    登山家の田部井淳子さんの人生を唯川恵らしく書いた小説。登山時々人間関係も上手に描いていた。
    海外登頂の詳しい事を初めて知った。エベレストを目前にしてもアタックメンバーに選ばれなければ登頂出来ないとか、最早スポーツの試合と同じですね、そこには命がけで臨むわけだからあたりまえだけど。
    以前からちょこちょこ登山する機会はあるけれど、本格的にこの際やりたい!

  • 女性で初めてエベレスト登頂に成功した話。女性だけで成し遂げる難しさや家族の温かさやあきらめない心やいろんなものが詰まった話だった。

  • 海外遠征って、資金集め以外にも大変なことがとても多いことを知りました。
    登山のレベルは全く違うけど、やはり山に求めているものには共通するものがあるのがわかってうれしかった。
    山歩きは、パーティー間の登山のレベルと気持ちとの両方が合わないと一緒に登るのは大変なんだよね。

  • 請求記号:913.6/Yui
    資料ID:50088312
    配架場所:図書館1階東館 め・く~る

  • 女だけでエベレスト登頂するって、色々大変だなと感じました。
    体力的なこと、金銭的なこと、生活的なこと…。
    そして何より、人間関係(笑)
    みんな本気で登頂したいからこそたくさん意見や不満が出るんだろうけれど、それをまとめてエベレスト目指すって大変すぎる。

    本作にも出てきますが、アンナプルナ登頂を振り返ってメンバーが寄稿し、まとめられた『アンナプルナ 女の戦い』を読みたい。
    赤裸々な感情を読みたかったのだけど(好奇心)、絶版でした。近くの図書館にも置いていない…。残念。

  • 女性として世界で初めてエベレスト登頂に成功した登山家・田部井淳子さんをモデルにした長編小説。
    樋口明雄の「南アルプス山岳救助隊シリーズ」を読むようになり、すっかり山岳小説にはまり、手にした1冊。
    恥ずかしながら、田部井さんの存在をこの本を読むまで知らなかった。エベレスト登頂に成功したのが1975年。昨年お亡くなりになるまで山に登られ続けたと言うが、まだ女性が軽視されていた時代に、アンナプルナ、エベレストを目指した様子を今作では描いている。時代は変わっているものの、今まで実現していないものを実現しようとする心の強さは、現代を生きている私でもパワーをもらえる。
    山の様子などは、普段山岳小説を描いている作家さんには及ばないところはあるが、決して表舞台では語られない本当の登山の厳しさなどがしっかり描かれており、エベレスト登攀の後半は主人公と一緒に山を登っている感覚になり、登頂に成功した時は、その光景が目に浮かぶようだった。
    主人公の淳子、そして旦那さんの前向きな生き方に元気をもらえるオススメの1冊!

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