生きていくあなたへ 105歳 どうしても遺したかった言葉

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (210ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344031722

感想・レビュー・書評

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  • 日野原重明医師はあまりにも有名で、著書を手に取る時も何度かあったけれど、何となくとっつきにくくて読む気が起こらなかった。

    この本を読む直前に、伊坂幸太郎さんの『終末のフール』を読んだせいなのか、生きるのは苦労が尽きないけれど、救いは確かにあるんだなぁと心から感じる。

    日野原先生は本当に謙虚で言葉も選ばれているので、どんな年齢の方でも素直に読むことができると思います。

  • 生きるということを考えさせられました。
    面白かったです!

  • 医師でありキリスト教徒である日野原重明氏が105歳、死を目前に対話を用いて遺された言葉。


    何かで紹介されていて読んでみました。
    日野原氏については存じ上げていないのですが、知らないながらにも徳のある方なんだろうなと感じられました。
    対話形式の文章の中にはいつも感謝の気持ちが滲み出していて、特に最期のほぼ編集されていない日野原氏自身の生身の言葉は、感謝の気持ちに溢れていました。死を目前にしてここまで慈愛に満ちた言葉を紡ぐことができるこの方が眩しくて仕方ありません。
    自分自身何歳まで生きるかは分からないけれど、もし明日にでも死んでしまうとして、こんな風に考え言葉にすることが出来るだろうかと思うと、とてもできないな、自分はまだまだだなと感じました。




  • いつも私を支えてくれたのは「言葉」
    いちばんしたいのは対話です。

    死は終わりではなく、新しい何かが始まるという感覚です。自分がいかに本当の自分を知らないでいたかということを感じる。

    物事の真理というのは、すぐにはわかるものではないと実感しています。時間をおき、繰り返し考えることで、後になってだんだん本当の意味が姿を現すのです。

    「命というのは君達が使える時間の中にあるんだよ」

    君達は、子どものうちは与えられている時間を全部自分のために使いなさい。だけれども、君達が大きくなったら、その時間を他の人のため、社会のために使わないといけない。そう気づく時が必ず来るよ。

    「ありのままの自分」で生きていく
    無理をしない、「あるがまま」でいるということ。

    自分が戦っていたのが、実は病そのものではなく、病によって表出した「こうありたい理想の自分」だったということに気づく
    感謝という恵み

    使命のある限り、生きる意味があると信じている。

    見えないものの中にこそ物事の本質があるということを、妻は今でも僕に教えてくれているのです。

    生きることと死ぬことの片方だけを選ばないように、出会いと別れというものもどちらか一方だけをとるというわけにはいかない。

    別れなければ、出会ったことの意味、本当の喜びを知ることはできません。

    人間とは弱いものです。

    「悲しみはいつか和らぐよ。いつかその悲しい気持ちが和らいだら、僕と出会ってよかったて思うよ。」

    家族とは何か?と問われたら、
    「一緒に食卓を囲む存在」だと答えます。

    本当の友
    大切なのはインスピレーション。

    医学とはサイエンスの上に成り立っているアートである。 ウィリアム・オスラー

    音楽も絵画も技術の素晴らしさが人を感動させるのではなく、そこに秘められた優しさや悲しみ、愛が人々を魅了するのです。

    医者と患者が与え合い一体となる。その素晴らしさ。
    数珠はみんなの心を結ぶもの。

    希望と愛の種を悩む友の心の中に蒔きましょう。

    生まれ変わるためには、一度死ななくてはならない。でもそれは、肉体が死ぬということではないのです。

    甘えということを考えるとき、同時に「自己」についても考える必要があります。

    自己がある生き方というのは、簡単に言うと、自分という人間がどこに向かって生きていくのか、きちんと意識できている、確信が持てている状態です。

    年をとった僕たちの方が経験があるのですから、若い人に歩み寄っていくべきでしょう。

    人生には、つらく悲しい出来事や思い通りにならないことがたくさんあります。むしろその方が多いかもしれません。

    泣きたくなったそんなときは、その気持ちに素直になって、思う存分泣くことが大切なのです。

    人の痛みを知ることができます。慈愛の心

    海外留学
    先進的な医師教育による一人一人の医師の意識の高さ、徹底したチーム医療のシステムなどを肌で感じまさに骨身にしみた経験。

    同時代の人がすぐにはわからなくても、真に価値のあるもの、つまり真に美しいものに時代は必ず追いついてきます。

    本物というのは、僕は「限りのないもの、区切りのないもの」だと思っています。
    だから、いっときの流行りすたりには影響されず、永遠のメッセージを発し続けられるのです。

    「なぜやるのか」ということを自分に問いかけ続けるということ。

    新しいことを始めるとき、そして周りの人がそのことを理解せず反対されたとき、「遠くを見つめる」ということを思い出してください。

    ◼︎ 遠くを見る。表明する。そして実践する。

    これをしなさい、あれはダメというのは、子どもを守っているつもりでも、実はその可能性をつぶしてしまっているかもしれないのです。

    それは親の意見であり、自分の価値観を知らず知らずのうちに子どもに押しつけているだけかもしれません。その子だからこそ神様が与えた才能がある、ということを信じて待つ。
    親の持つ、最大の役割

    常に新しいの自分との出会いを大切に過ごしているからではないか。

    人間というものは、苦難にあわなければなかなか目が覚めない。

    「キープオンゴーイング」
    前に進み続けよう

    どんな未来が来ようとも、医療従事者にとって最も大切なことは変わりません。それは患者さんを自分の家族だと思って接するということです。

    機械化が進めば進むほど、これからはますます愛を大切にする時代になってくるでしょう。

    最近僕は運動不足より感動不足の方が深刻なのではないかと感じています。

    ユーモア
    笑いの効能。一緒に笑うということは、何より人と人との一体感を深めてくれるものだと思うから。

    偉い人とは、目に見えないものをたくさん持っている人だと思います。そしてそのことで光り輝いている人。目に見えるものを、人々のために捧げることのできる人です。

    得たものではなく、与えられたものをどう使うか。自分に与えられた命という時間をどれだけ人のために使えるかどうかということが、働くということなのです。

    一歩を踏み出せば
    見えてくる景色が変わる。
    行動こそが不安を打ち消してくれる

  • 105歳で亡くなられた日野原重明医師の愛情あふれる言葉
    ●命はどこにあると思う?命というのは君たちが使える時間の中にあるんだよ。子供のうちは与えられている時間を全部自分のために使いなさい。だけれども、君たちが大きくなったら、その時間を他の人のため、社会のために使わないといけない。
    ●生きる事と死ぬことの片方だけを選べないように、出会いと別れというものも、どちらか一方だけを取るというわけにはいかないのです。出会いと別れというものは一つのものなのです。別れなければ、出会ったことの意味、本当の喜びを知ることはできません。
    ●家族とは何かと問われたら、「一緒に食卓を囲む存在」だと答えます。そこに血のつながりは関係ありません。食事を共にできること、それ自体がどれだけ素晴らしい事か。
    ●許せない心を持ち続けることはしんどいことです。だからゆるすことで、私たちは楽になれるのです。
    ●イエスキリストの言葉「自分によくしてくれる人に善いことをしたところで、どんな恵みがあろうか」自分にとって居心地のよくない人間関係の中に、実は人生を豊かに生きるためのヒントが隠されているのだという事を教えてくれる。
    ●生活習慣病という言葉を作った。人間ドックを取り入れた。地下鉄サリン事件の時に600人の患者を聖路加病院に受け入れた。
    「キープオンゴーイング」(前に進み続けよう!)

  • 日野原重明先生のご著書を読むのは、初めてでしたが、付箋を付け始めるととてもたくさん、つける箇所があるほど、心に留めたいことばが沢山ありました。
    「自分によくしてくれる人に善いことをしたところで、どんな恵みがあろうか」
    自分にとって居心地のよくない人間関係の中に、実は人生を豊かに生きるためのヒントが隠されているのだということを教えてくれてるのです。(P103)
    イエス・キリストの言葉、聖書の引用がとても多いです。
    「人間にはわからないけれど、すべてには神様のご計画があろうと、僕は信じています。そして僕にそれを信じさせるのは、『神はこえられない苦しみはあたえられない。そしてそのなかで逃れる道を与えてくださる」という聖書の言葉です。(P118)
    「病や困難によって、新しい自分を見つけたら、その恵みを受け取ると同時に、過去の自分の川を脱ぎ捨てましょう。常に「キープオンゴーイング(前に進み続けよう)」(P155)
    先生の長い人生が深い信仰とともにあったということがわかります。時々そばに置いて読みたい本かもしれません。

  • 医師という肩書きからではなく、人として非常に高貴なものを持っておられた方だったのだと改めて感じさせる一冊だった。感情を素直に語り、気取らない先生のことを非常に尊敬する。

    いのちとは、自分が使える時間のこと。
    そのいのちは、人のために使いなさい。

    この言葉は一生大切にしようと思った。

  • 日野原先生の真摯な生き方に感銘を受けました。
    慈愛に満ちた共感の姿勢が伝わり、例えば斜に構えながら読みはじめた人でも胸に響くものがあるのではないでしょうか。

    「人生の午後をどう生きるか。選ぶ物差し、価値観が必要で、自分自身の羅針盤を持たなくてはならない。午後は午前よりも長いから。」
    本当にそうだなあ、と思いました。
    私の人生はまだ半分なんです。
    残り少ない時間をめいっぱい使って、人のために捧げ、その過程で未知なる自分と向き合い、自己発見をすること、それを最期のその時まで絶え間なく続けていくこと、それが先生の生き方でした。

    また、そうやって日々を大事に過ごしていく過程で、耐え難い悲しみに出逢うことがあります。例えば愛する人の死・・・
    でも先生はこうおっしゃいます。
    「死ぬということは、まるでとかげのしっぽが切れるように終わるものではなくて、亡くなった後の方が、むしろ生きていたときよりも、その人の姿が鮮やかになっていくのです。」
    そして、辛い経験をし、本気で泣いた経験のある人は人の痛みを知ることが出来るそうです。傷ついている人にただ寄り添ったり、励ましの言葉を掛けたり、そんな慈愛の心が育まれるのです。

    先生の言葉にはキリスト教の教えが根底にありますが、説教じみていたり宗教臭いということはなくて、人間としていかに生きることが幸せなのか、生きる目的はなにか、素晴らしいお話を聞くことが出来ました。
    ご冥福をお祈りいたします。。

  • 2017年に105歳で亡くなられた日野原先生の最後のインタビュー。生きていること、生かされてきたことに感謝し、その命を他人を助けるために使いたいというキリスト教への信仰心を土台にした日野原先生の姿勢、行動、言葉には、俗世間に生きる人間とは思えないほどの純粋さ、優しさ、美しさが滲み出る。
    こういう素晴らしい先生がいらしたこと、その言葉は、折に触れ思い出し、読み返して、これからも頑張っていきたいと思わされた。

  • 人生訓という言葉がふさわしい本。
    読んでいると、自分とは違う視点から
    しかし、優しく諭される思いがする本。


    クリスチャンでもあり
    医師でもある日野原先生の言葉だからこそ
    重みがある。


    時間を置いてからまた読み返したい本。


    第1章死は命の終わりではない

    ☆子どものうちは与えられている時間を
     全部自分のために。

     大人になったら、その時間を
    他の人のため、社会のために使わないといけない。

     地上での時間が終わった時
     神様が天秤を持って待っている。

     生きてきた時間のうち
     人のために使った時間が多いか、
     自分のために使った時間が多いかを測って
     人のために使った時間が多い人が天国に行ける


    ☆最愛の人が病気になったら、なんと声をかけるか?
    →自分がかけてほしい言葉をかける。
    最愛の人に感謝の気持ちを伝える。
    共にいられることを喜び、
    その時間が少しでも長く続くよう祈りながら
    励まし、寄り添う。


    第2章愛すること

    ・愛されたいと求めるとき、
     人は自分の内側にある理想の愛に
     相手を合わせようとしていることが多い。
     それは本当の意味で相手を愛していることには
     なりません。
     愛するというのは、
     相手をそのまま受け入れて大切に思うこと。

     相手を見ないで、自分のことばかり見ていたら、   
     もしも誰かがあなたに愛を向けていてくれても、  
     気づけない。


    ・別れなければ、出会ったことの意味、
     本当の喜びは知ることはできない



    ・家族とは一緒に食卓を囲む存在
     一緒に食事をしたくてもできない人もいる

    ex最後の晩餐
     裏切り者と一緒に食事するのは考えさせられる


    ・本当の友達とは、
     自分のために祈ってくれる人

     見つけるためには
     インスピレーションを働かせる


    第3章ゆるすことは難しい

    ・いのちを大切にするとは
     いのちを上手に使うこと
     つまり君のもつ時間を
     君だけでなく誰かのために使うこと


    ・若い人を敬う
     最近の若者は〜というのは自己中心的。
     年配から歩み寄る必要あり


    第4章大切なことはすぐにはわからない


    ☆見えなくても信じる

    新幹線で富士山の前を通る。
    雲で見えないこともある。
    でも、富士山は存在する。

    運やチャンスは目には見えない。

    でも、あると信じること。


    ☆新しいことをはじめるとき反対する人はいる
    同時代の人がすぐにはわからなくても、
    真に価値のあるもの、
    つまり真に美しいものに時代は必ず追いついてくる。

    遠くを見つめることが大切。


    なぜやりたいのか何度も自分に問いかける


    ・親がこうなってほしいと
     子どもに理想を抱くことは
     子どもの潜在能力を封じ込めることに
     つながりかねない




    苦しみに感謝する
    keep on going

著者プロフィール

1911年山口県生まれ。1937年京都帝国大学医学部卒業。1941年聖路加国際病院内科医となる。学校法人聖路加国際大学名誉理事長、聖路加国際病院名誉院長、一般財団法人ライフ・プランニング・センター理事長などを歴任。予防医学の重要性を指摘し、医学・看護教育の充実、ターミナル・ケア(終末期医療)の普及に尽力。2000年には「新老人の会」を結成。1999年文化功労者。2005年文化勲章受章。2010年には国際コルチャック協会名誉功労賞受賞。2017年7月18日逝去。

「2022年 『2023年版『生きかた上手手帳』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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