- Amazon.co.jp ・本 (249ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344400184
感想・レビュー・書評
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熟れた果実のような恋愛短編小説集。人物や場所の描写が不明瞭なときがある。ただそれが気にならないくらい、筆者独自の考えのインパクトがすごい。ねっとりした描写と反転して考える独特の思想。人生や恋愛や幸福やセックスについて酒を片手に語りたい、人生が熟れはじめてきた40代女子におすすめ。
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「何だかよく分からないけれど哀しく、切なくなる」9つの短編集。
チャラ男との恋、SM女王様との恋、マンションの隣人との不倫…普通に見えない恋愛は、その実至るところに転がっている。特殊に見える立場の人間だって、普通に食事や排泄もすれば、普通に恋愛だってするのだということ。
そんな中、小さな頃事故で右手を失った渚子が姉の夫に恋をする「天国の右の手」と、性的に変わった抑圧を自分に課している友人の男がその抑圧によって失敗する様を見ている「高貴な腐食」がとくに好きだった。
人間はどうしようもない。表面を良く見せても根底にあるものが不意に表に出てしまうことがある。
そして似たような傷を感じで惹かれ合ってしまう、理屈ではない感情。
昔一度読んだ本だけど、当時よりも大人になった今、このよく分からないけれど哀しく切ない余韻が心に残った。乾いていて、淋しい感じ。 -
韻を踏むようなラストに打ち震えた。とりとめない日常を描きつつ、その日常になぞらえた感想を抱く主人公達は幸せなんだなと。
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山田詠美さんの小説はわりとよく読んでいる(はずだ)が、これまで読んだ中でいちばん切ないようにおもう。そして、その切なさがあるからこそ官能的だった。
いつも、山田詠美さんの本はわたしにとっての女性性のバイブルだけれど、この本は特に。だった。 -
山田詠美本はなんとなく読んでしまう。
個人的には、どうと言うことは無い位、読後の感想も湧かないのだけど。 -
「天国の左手」が素晴らしくて。
ほんのり切ない読後感のとりこ -
しかし、本当は、私たちだって、このままの姿で完璧なのだ。
はっとした。 -
解説が重松清だった。