シンクロニシティ (幻冬舎文庫 さ 1-15)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (195ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344400283

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  • 寂しくて、寂しくて、強がって... でもやっぱり寂しくて。キリキリと締め上げるような息苦しさが漂う。

  • 芝浦のキャバクラ「TURTLE」で、angelという源氏名で働いている高校生の七瀬瑠璃は、瀬奥亨という音楽プロデューサーのもとで「angel」の名でCDデビューすることが決まっていました。彼女は、富士の樹海の近くで暮らしていた12歳の頃に関係をもったコウイチ(加納香佑一)という男を探しつづけています。そして、TURTLEにやって来た雑誌記者・ヒロトの首の後ろに、コウイチと同じ蠍のタトゥーを発見することになります。その後、ヒロトに蠍のタトゥーを入れた刺青師・MANIのもとを訪れた瑠璃は、誰もが首の後ろに自分の守護霊をもつという話を聞かされます。

    12歳のときにコウイチをうしない、阪神大震災で両親をうしない、そして新興宗教の教祖となった杉浦に姉の涼美の精神を蝕まれてしまった「瑠璃」と、風俗で働き気ままに男たちと関係をもつも、だれとも心から打ち解けることのない「angel」という、二つの人格のあいだで彼女の心は揺れつづけ、しばしば彼女の目の前にドッペルゲンガーの「彼女」が姿を現わすようになります。やがてangelは「シンクロニシティ」というタイトルのCDでデビューを果たします。そんななか、彼女は偶然にもコウイチと再会を果たします。その結果、コウイチを追いつづけてきた「瑠璃」と「angel」の齟齬はますます大きくなっていきますドッペルゲンガーの「彼女」の言葉に促されてMANIのもとをふたたび訪れた彼女は、「瑠璃」を生かすために「angel」は守護霊に戻らなければならないと告げられ、涼美、コウイチ、ヒロト、そして「瑠璃」の4人に別れを告げることを決意します。

    読者の喉元に引っかかってすんなりとは飲み下すことのできないエピソードを、ちぎっては投げつけるようにして綴られる物語は、構成の整った近年の作風とはややかけ離れており、『イノセント・ワールド』や『ガール』など、著者の初期の作品を彷彿とさせます。ただしMANIのキャラクターだけはややエンターテインメント寄りで、正直なところ物語全体の雰囲気と少しズレているような気がしました。

  • 「愛するのをやめたら、世界は無意味だ。愛する事でしか、あなたは世界と繋がれない。」

    星2つ

  • 俺にはついて行けない設定。表紙は好きだ。

  •  物語は。
     富士の樹海で出会った自殺志願の大学生コウイチと、十二歳だった少女瑠璃の話。
     年の差を越えて惹かれあった二人だったけど、ある日突然、コウイチは瑠璃の前から姿を消してしまう。

     という、お話。
     うん。そんで、また……再会して……って感じなんだけど。
     何かね、物語はちょっと突飛な感じがするんだけど……この人書いてることは案外普通なんだよね。
    「人を信じて傷付けられるのが怖い」
    「傷つけられるぐらいだったら、そんな人間愛さなきゃいい」
     どこの誰でも抱えている感情。
     怖さ。
     恐怖。
     でも。
     きっと、普通はそれでも誰かを愛さずにはいられないんだよ。

     羨ましいな……(苦笑)

  • ・ほんの一瞬だけでも、愛された記憶は自分が生きてきた証だ。
    ・相手の傷みや悲しみを受け止めない愛なんて、ただの自己満足の偽善だよ。
    ・誰かが言ってた。ドアを入ってきたときと同じ微笑みを浮かべて、ドアから出ていける女。それが大人の女だって。
    ・愛するのをやめたら、世界は無意味だ。愛することでしか、あなたは世界と繋がれない。眼を見開いて、美しいものを見て。どんなに顔をそむけようと、あなたは空や花や風や溢れるような美に囲まれていて、心を打たずにはいられない。そこから運ばれてくる、生命をいとおしむ不思議なせつなさ。それがあなたを世界と1つにする。

  • 愛を失い、誰も信じれなくなった彼女はもう一度誰かを信じることができるのだろうか・・・。

  • 実は卒論の題材のひとつに挙げた亜美小説。不完全ながらも解離としか云いようが無い主人公の状態が大変興味深い。

  • 作中にも出てくるけれど、<br>
    この小説を読んでるとCoccoの『樹海の糸』が流れるんだ。<br>
    <br>
    誰にでも忘れられない場所がある。<br>
    永遠が住んでる場所。<br>
    <br>
    大人になるとゅうコトは、<br>
    選びとった選択に責任を持つコトなのかもしれないって思う。<br>
    そして大人になるにつれて感じる切なさは、<br>
    きっと選ばずに通り過ぎた選択への哀感。

  • なんだかよく分からないけど桜井さんの書く文章に引き込まれました。

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