鴉 (幻冬舎文庫 ま 3-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (558ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344400368

作品紹介・あらすじ

弟・襾鈴の失踪と死の謎を追って地図にない異郷の村に潜入した兄・珂允。襲いかかる鴉の大群。四つの祭りと薪能。蔵の奥の人形。錬金術。嫉妬と憎悪と偽善。五行思想。足跡なき連続殺害現場。盲点衝く大トリック。支配者・大鏡の正体。再び襲う鴉。そしてメルカトル鮎が導く逆転と驚愕の大結末。一九九七年のNo.1ミステリに輝く神話的最高傑作。

感想・レビュー・書評

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  • メルカトル鮎シリーズ第5弾!

    こ…これは…Σ(ll゚Д゚ll)
    期待を裏切らない麻耶雄嵩作品!!

    メルカトル…お前は一体何者なんだっ(-∀-`; )



    凄い!!
    面白い!!大好き*.♡(*´∇`*)♡

    この作品、1冊で何味も楽しめます。

    今回の舞台は、地図に載っていない閉鎖村。

    主人公の珂允(かいん)は、弟、襾鈴(あべる)が死んだ手がかりを追い、この村に辿り着く。

    村に着くなり鴉の大群に襲われる珂允。
    親切な村人に救われ、傷が治るまで滞在させてもらえる事に。

    弟の死の理由を探っていくと、村には絶対的な神がいる事を知る…。


    メルカトルの洋風なタキシード姿に似合わず、時代に取り残された村で起こる殺人事件のお話。

    何が素晴らしいって、結末は勿論の事、要所に散りばめられた伏線とトリックがピカイチ!!

    これもか、これもか、これでもか!とミステリネタが目白押しです。

    洋館モノじゃなくてもドンピシャで私好みなんだなぁ〜(๑¯ㅁ¯๑)♡


    ただ、賛否は分かれると思います。
    こんなん分かるか!!
    って、イマイチに思う方もいらっしゃるかと…笑

    とにかくクセが強い!笑

    私はどハマり中ですので、大好きです(♡>艸<)


    綾辻行人と共に麻耶雄嵩大好きかも♡


    続きは『木製の王子』


    楽しみながら読みたいと思います(〃´-`〃)
    早くメルカトル鮎に会いたい♡
    大好きな探偵ダントツでNo. 1です!!


    おすすめです!!




  • 地図にも載っておらず、大鏡が支配する歪な村で起こる連続殺人。そこに錬金術や五行思想と色々な要素が盛り込まれていて、ワクワクしながら読めた。
    中盤までは少し冗長に感じたが、
    そこは麻耶雄嵩。ラストにかけての怒涛の解決編に圧倒されました!!
    「翼ある闇」や「夏冬」のような全てを無に返す結末は、初見は開いた口が塞がりませんが、今はもう虜になってますw

  • 麻耶雄嵩4作品目
    隔離された村と外人、細かい時代は分からないが雰囲気は良かったと思う。

    ■珂允・襾鈴・庚・櫻花
    珂允と襾鈴が同一人物でおぉとなって、櫻花も同一人物で???となった。
    どこまでが本当の話でどこまでが櫻花の妄想なのか分からなくなってしまった。
    一気に話の時系列がごちゃごちゃになったが辻褄合ってるのかな??
    驚きはしたが、確認する気力はなくなってしまった。

    ■村の絶対権力
    色々な作品で小さな村の絶対権力者や謎の掟が出てくるけど、限られた世界だとその中のことが当たり前で常識になってしまう。
    それは学校でも会社でも同じことだと思う。
    外から見るとおかしなことがまかり通ってることはよくある。
    村の人たちもそれを心の拠り所にしてるしてる側面もあるのかなぁ
    見たくないものは大鏡様(野長瀬)のせいにしておけば自分達は責任をとらずに済む。
    村人の罪も重いと思う


    メルカトルシリーズは初めて読みました。
    本作は比較的理解しやすいみたいだけど、個人的には螢とから神様ゲームの方が好みでした。

  • 正直に言うと、思ってたより普通。

    「神話的最高傑作」とか言うんだし、一瞬理解不能になるようなものを期待していたのだが、残念ながら予想の範囲内。
    叙述トリックが使われていると知っていたからか、櫻花は弟の名前が明記されないので怪しいとは思っていた。
    が、おそらくこっちがメインであろう村の秘密、大鏡の正体には驚いた。

    櫻花が履いていた汚れたズボン、カインの服の色などの伏線もあったし、独特の世界観やカタルシスはやはり一級品。
    だが色々な書評サイトでも取り上げられていたが、アンフェアな記述もあり、さすがにそれはいただけない。
    楽しみだっただけに少し残念。
    (御簾を開けたら御座に鎮座するメルカトルっていうのは笑った)

  • メルカトル鮎の神出鬼没っぷりはそういうものとして諦めるとして、解き明かした(と思った)謎が綺麗にひっくり返る不意討ち感が気に入った。

    殺された弟・襾鈴の真相を探るため、弟が滞在していた地図にない村に潜入する珂允。そこは大鏡様を信仰する村だった。そのうちに起きる、殺人のないはずの村で起こる殺人事件。半年前の村人の自殺と絡んでいそうなのに珂允は犯人に仕立てあげられていく。
    いったい何が起こっているのか?
    果たして真相は?
    みたいな話。

    ちょっと浮世離れした時代錯誤的な村の雰囲気は、何となく伊坂さんの『オーデュポンの祈り』みたいだった。
    でも麻耶ワールドは、ずっとおどろおどろしい。

    ミステリを読み慣れちゃって、櫻花が橘花の兄だと思わせるミスリードに引っ掛からなかったのが、逆に残念だった。もっと驚けたのに。

    麻耶さんの話って、高い確率で宗教が絡んでくる。
    で、だいたい教祖的な人が犯人なの。
    途中でがっかりしかけたけど、宮の御簾の奥にメルが座ってた時は本気で「メル教祖だったの??」と思ってしまった(思う壺)。

    大鏡様信仰に隠された村のシステム、村人の遺伝子的欠陥(色盲)、鬼子の正体(正常識別者)、大鏡様の正体(野長瀬)、そういうのがとても論理的で唸ってしまった。
    メルはやっぱり有能。能力は。人として駄目だけど。
    でももはやメルカトル鮎は私にとって、登場するたびに『翼ある闇』での死に様がフラッシュバックして、可哀想な人にしか見えなくなってる。

    珂允=櫻花は15年も前に弟を殺していて、珂允=襾鈴なわけで、自作自演というか、多重人格者になっちゃってるんでしょ。
    病み人じゃん。
    後出しで茅子が襾鈴の恋人だったとか言い出すの、いかにも病んでる人っぽい。
    ひたすら茅子さんが不憫すぎる。
    弟と出来てるだろ、とかワケわからないことで責められてたんでしょ。
    離婚して正解だよ、事故に遭ったと思って幸せになってほしい。

    結局鴉は何だったのか。
    村人に知られずして綻びかけていたシステムに呼応するかのような振る舞いは、案外と神の遣いというのは正しいのかも、という余韻を残してる。

  • 十数年ぶりの再読。初読時(取り分け死んだと思われた橘花が珂允の許に現れた箇所。495頁)に感じた世界がぐらつくような感覚こそ薄れはしたものの、今度はその構成の強かさに感嘆させられる。〈人格が変わると顔まで変化する〉というのはミステリ的にはかなりアウトな気がするのだが、それでも『夏と冬の奏鳴曲』と並ぶ麻耶雄嵩の二大傑作である点は揺らがないと自分は思っている。

  •  殺された弟、襾鈴の足取りを掴むため、「大鏡様」を神と崇める独特の宗教が信仰されている村に潜入した珂允。
     その村では夕刻になるとカラスが人を襲うのだが、そのせいで祭り事が中止になった翌日、男が死体で発見される。
     よそ者ということで疑いの眼差しを向けられる主人公だが、さらに第2、第3と殺人が起こっていく。

     探偵役は主人公かと思いきや、メルカトル鮎が出てくるし、謎解きもメルカトルが行うため探偵はメルカトル鮎だろう。


     トリックについては、複数の人物による一人称(珂允、橘花、櫻花)を使うことで、珂允視点では『赤色』と描写されているものをを村の住人である橘花が『緑』と称することにより、村人のほとんどが色盲であると判明し、事件の手がかりを掴むこととなる。
     色盲のトリックはダイナミックで上手いと思ったが、橘花が『紫色』を認識している描写があり、赤色が認識できないのに赤と青の混ざった紫が認識できるのだろうかと少しだけ疑問には思った。
     しかし、自然現象による密室や、暗示による放火殺人などの作品よりも、ロジックはきっちりしていたと思う。
     人を襲うカラスは説明がなかったので自然現象で、人を殺すと浮かぶ痣は信仰心による暗示かもしれないが。
     さらに、村での殺人とは関係がないが、襾鈴の殺人と関わる複数の一人称によるトリックとして、村の外に出るという夢を持つ橘花のパートの次に『櫻花』という橘花によく似た名前の兄の奔放な弟に対する憎しみの心境を語らせることで、『櫻花』が『橘花』の兄であると思わせているが、終盤メルカトルによって『櫻花』は『橘花』の兄ではなく、『珂允』自身の過去であると判明する。
     一瞬混乱したが、そう知らされると、確かに橘花の一人称中に、兄の名前はどこにも出てこなかったし、櫻花の一人称中にも、弟の名前は出てこなかった。
     名前が似ているからといって、同じ時代の兄弟とは限らない。終盤で、櫻花に殺されたはずの橘花が出てきたのは、珂允の妄想ではなく、橘花は殺されていなかったからなのだ。
     珂允(カイン)と襾鈴(アベル)と聞くと聖書の、兄が弟を殺す人類最初の殺人を思い出すが、よりによって男兄弟にそんな名前をつけるなんて親は変わっているなと思っていたのだが、弟を殺し、それを忘れた櫻花が無意識に自分の罪の記憶から偽名として名乗ったのかもしれない。
     主人公は死ぬし、主人公を庇った親切な村人一家も殺される。
     決して後味は良くないものの、散りばめられた伏線が見事で一度読むとすぐもう一度読み返したくなる作品だった。

  • 神話的最高傑作…。なのだろうか?

    ある程度ミステリーを読み慣れてる人にはそこまでの強い衝撃はないように感じる。

    むしろ色々とツッコミ所の多い作品だったかな。
    よく知らない作家さんなら完全に呆れてしまう所だが、まぁ摩耶さんだからな~と妙に納得してしまうあたりはさすがと言うべきか…。

  • 叙述トリックは意識してなかった。よくよく考えたら、弟視点のときに兄の名前はでてこないし、兄視点の時には弟の名前がでてこないという典型的なしかけが。完全に騙された。

    今回の閉鎖空間が色を使ったものだとして、それがどの程度不自然じゃないかといえば不自然過ぎるわけだが。どれくらいの人口がいるのかとか、たまに現れる鬼子が「周りが知らない色をなぜ『知る』ことができたか」とか。「見えた」としても、「存在し得ないそれを知っている」ことが「存在していることを知らない」周りにはっきりわかるレベルで発露するものだろうか。それを定義づける言葉すらないはずなのに。

    など、少し無理矢理感がないわけでもないなぁと。それが麻耶雄嵩だと言われたらその通りなんだけども(笑)

  • 素晴らしい。シリーズの中ではかなり普通な部類だがそれでもやはり麻耶作品で、攻めた作りになっている。シリーズとしてはメルカトルのバックボーンが気になりすぎて眠れなくなりそう……彼は一体……。ミステリとしても優れた一作。

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著者プロフィール

1969年三重県生まれ。京都大学工学部卒業。大学では推理小説研究会に所属。在学中の91年に『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』でデビューを果たす。2011年『隻眼の少女』で第64回日本推理作家協会賞と第11回本格ミステリ大賞をダブル受賞。15年『さよなら神様』で第15回本格ミステリ大賞を受賞。

「2023年 『化石少女と七つの冒険』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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