グリコ・森永事件: 最重要参考人M (幻冬舎アウトロー文庫 O 30-8)

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  • Amazon.co.jp ・本 (250ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344400542

感想・レビュー・書評

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  • 当時、事件を表層的にしか理解していなかったけど、今こうして読み直すと単純ではない事がわかって面白い。
    犯人がなぜ捕まらなかったのか?とか犯人の真の狙いは何か?ということについての推察がすごい。

  •  本書は、日本犯罪史に残るであるだろう「グリコ・森永事件」を取り上げたものであるが、優れたミステリーを読むようなおもしろさで、一気に読み終えた。素材のよさもあるが、とにかくおもしろいと感じた。
     著者は、ジャーナリストの大谷昭宏氏と最重要参考人として注目されたこともあるアウトロー宮崎学氏。大谷昭宏氏の事件を語る内容は、さすが読売新聞の事件記者の経歴もある一流のジャーナリストだけに、この犯罪の特異性と特徴をあますところなく伝えてくれていると感じたし、宮崎学氏の、その波乱万丈な人生に裏打ちされた迫力ある見解は読んで、ぐいぐい引き込まれる思いがした。
     結局、この犯罪は未解決のまま時効を迎えるのであるが、それにしても、本書で指摘された警察の腐敗と、警察組織が抱えた問題はなんと根の深い問題であったことか。1980年ごろからの警官汚職に見られるパチスロ利権の問題は当時よく新聞をにぎわしていた記憶があるし、本件の捜査についても広域犯罪と言うことで捜査を指揮した警察庁の公安出身のキャリア官僚の捜査幹部が、その主導した公安手法の捜査方法にこだわったために、結果的に犯人を取り逃がしたとの本書の指摘は、興味深く読めた。
     本書では、事件の周辺事情として「報道協定」や「犯人グループ内に警察関係者がいたのでは」とか、きわめてリアルな事情も取り上げている。まさに時代を背負った事件と言えると感じた。
     それにしても、10人程度はいたと思われた犯人グループが、これだけの大捜査にもかかわらず逃げおおせたことは、本書を読んだ後でもやはり不思議としか言いようがないと思った。本書では、大谷明宏氏は「やっぱりあなたが犯人だ」と言い、宮崎学氏はそれに対し「いや、私にはアリバイがある」と自信たっぷりに断言しているが、現在でも謎の多い事件であると思った。

  • 事件の最重要参考人とされた宮崎学と、それを信じて疑わない大谷明宏の対談を中心に書かれている。事件の経緯から書かれているので、知らない人でも楽しめる一冊。

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著者プロフィール

写真家。1949年長野県生まれ。精密機械会社勤務を経て、1972年、プロ写真家として独立。自然と人間をテーマに、社会的視点にたった「自然界の報道写真家」として活動中。1990年「フクロウ」で第9回土門拳賞、1995年「死」で日本写真協会賞年度賞、「アニマル黙示録」で講談社出版文化賞受賞。2013年IZU PHOTO MUSEUMにて「宮崎学 自然の鉛筆」展を開催。2016年パリ・カルティエ現代美術財団に招かれ、グループ展に参加。著書に『アニマルアイズ・動物の目で環境を見る』(全5巻)『カラスのお宅拝見!』『となりのツキノワグマ』『イマドキの野生動物』他多数。

「2021年 『【新装版】森の探偵』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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