草原の椅子(下) (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (425ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344401013

感想・レビュー・書評

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  • -安心しているということは、能天気に油断しているのとは全く違う。物事にかしこく対処し、注意をはらい、生きることに努力しながら、しかも根底では安心している。そういう人間であろうと絶えず己に言い聞かせることだ。
    -人情のかけらもないものは、どんなに理屈が通っていても正義ではない  (孔子)

    これから50歳まで、どう生きるか、考えさせられた1冊。

  • 宮本輝さん、「錦繍」を数十年前に読んだのみ。
    よしもとばななさんのWEB上の日記に宮本氏の人格の高潔さを感じさせる文章を読んだ日に書店にて文庫本上下を発見し即購入しすぐに読み終えた。

    50才という同じ年令の、しかし私などとは違い社会経験も人生経験も豊かである二人の男性の友情を軸に、恋愛、親子愛、子供を育てるということ、生きていくということ、日本人であるということ、様々なテーマを、優しい箴言を登場人物の思いとして語らせている。
    自分はどう思うか?どうであるか?という問いかけを始終しながら読み進めた。

    非情に良い読後感。品性いやしくない人間らしい登場人物たちが秀逸。
    50年生きてきた自分を振り返り少々の落胆を禁じ得ないが、この本に出会ったことに感謝。

    フンザは無理でも、土を踏みしめ歩き、星をいつまでも眺めていたいと思った。近いうちに絶対に行ってこよう。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    憲太郎が恋心を寄せる篠原貴志子。両親に捨てられた五歳の圭輔。行き場のない思いを抱えた人間たちが、不思議な縁で憲太郎と結ばれてゆく。しだいにこの国への怒りと絶望を深める憲太郎は、富樫と壮大な人生再生への旅を企てる。すべてを捨て、やり直すに価する新たな人生はみつかるのか?ひとりひとりの人生に熱く応える感動の大長篇。

  • 下巻は一気に読み上げた。
    私利私欲にまみれ、志しをなくした政治家や官僚に怒り、それを変えることができない日本の社会に絶望していた主人公たち。
    しかし、次第に心根の綺麗な人たちがいる限り、世の中の歪みは正され、絶望は希望に変わっていくと考えを変えていく。
    そして最期のフンザへの旅で、「正しいやり方を繰り返しなさい」と教えられる。
    親から虐待を受け捨てられた圭輔を引き受け育てることで、主人公たちも昇華していったのではないか。
    心根を綺麗に、正しいやり方を繰り返していく生き方を貫きたいと思った。

  • 涙が出たどころじゃない。嗚咽。電車とかで読むの要注意。通学電車で読んで恥ずかしい思いをしたが、涙が止められなかった。
    圭輔が愛おしくて仕方ない。ただそれだけでこの作品の価値あり。是非是非多くの人に読んでもらいたい。

  • 殆ど最後のほうにある、「正しいやり方を繰り返しなさい」という一文で、以前の感動が蘇った。この言葉を人生の指標にしようと心に誓ったことを!
    本は何度か、時間をおいて読み返すものだと悟った。

  • 圭輔の瞳の中には無数の星がある。子供というのはたくさんの可能性を秘めているんだ。
    誰しもが弱さを内在して必死に生きてる。彼らの様に自身の弱さや思いをそのまま曝け出せる人が自分にはいるだろうか?そんな心穏やかな空間はあるだろうか?その存在が本当の地球最後の桃源郷。

  •  先に読んだ「三千枚の金貨」と多少設定が似ている感じもしましたが、
     
    流れる様な静謐な文体とストーリに

    読書生活がもたらす心の安定とゆとりを改めて感じ、

    作者様に感謝です。

  •  宮本輝の「オレンジの壷」を読んだのが、2006年のナポリ滞在中。ヨーロッパを中心に展開するストーリーで、何となく読み続ける事ができた。その後、2冊ほど彼の本を読んだのだが、署名をほとんど忘れてしまった。今回の「草原の椅子」を読み始めて、改めて宮本輝の小説は、小生の趣味に良く合うと感じた。
     ゆったりとした時の流れの中で物語は展開し、その一方で主人公の緻密な洞察力と高潔な思いが次から次へと展開して行く。旅の喧噪に疲れてホテルで一人読書にふけるにはもってこいの小説だ。
     物語の展開力がやや弱いので、果たして通勤本には向かないかもしれない。恐らくそのために、小生の通勤本としては根付かなかったのかもしれない。むしろ、数時間のゆったりとした読書時間が取れる様な環境では、じっくりと読み込む事ができて、逆に飽きる事無く読み終える事ができるようだ。
     と言う事で、日常のしがらみを外れた旅先で、ゆったりとした読書を楽しみたい方におすすめの一冊。贅沢な時間を過ごす事ができます。

  • 最後がちょっと物足りないなぁ

著者プロフィール

1947年兵庫生まれ。追手門学院大学文学部卒。「泥の河」で第13回太宰治賞を受賞し、デビュー。「蛍川」で第78回芥川龍之介賞、「優俊」で吉川英治文学賞を、歴代最年少で受賞する。以後「花の降る午後」「草原の椅子」など、数々の作品を執筆する傍ら、芥川賞の選考委員も務める。2000年には紫綬勲章を受章。

「2018年 『螢川』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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