暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)

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著者 : 乙一
  • 幻冬舎 (2002年4月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402140

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • どうしてこんな、夢に出てきそうに怖ろしげな表紙?!
    と首を傾げてしまうような、静かでうつくしい恋物語です。

    3年前、不慮の事故で視力を失って以来、ほとんど家に閉じこもったままのミチル。
    同僚がホームから転落死した事件の犯人として追われ、
    ミチルの家に潜み、警察の追及から逃れようとする青年、アキヒロ。

    ミチルが家の中にアキヒロの存在を確信するまでの
    触れたら切れそうなほどに張りつめた空気が
    お互いの存在を受け入れるにつれ、やわらかくふくらんで
    孤独なふたりを温かく包んでいく様子が、ちゃんと伝わってくるのがうれしい。

    強められすぎたストーブの火を、息をころして弱める。
    戸棚の上からミチルの頭上に落下する土鍋を、隠れ場所から飛出し、受け止める。
    ひとり暮らしだけれど、ふたり分のシチューを作って、テーブルにふたつ、皿を並べる。
    ひとりで外に出る決意をしたミチルに寄り添い、目的地に辿り着くまで見届ける。

    相手への思いやりから生まれる、アキヒロとミチルのひそやかな行動のひとつひとつが
    あまりにやさしくて、せつなくて、こちらまで息をひそめて見守ってしまいます。

    突然閉じ込められた暗闇の世界で、このまま静かに消えていきたかったミチルが
    否応もなく踏み込んできたアキヒロを受け入れ、追っ手から守りたいと願い
    人との接触を厭い、どこにも自分の居場所はないと思っていたアキヒロは
    ミチルによって、必要だったのは居場所ではなく、
    自分の存在を許してくれる人間だったのだと気付き

    「暗いところ」で巡り会ったふたりが、頼りない身体と、頼りない心を支え合って
    明るいほうへ歩き出す冬の日。
    しびれるような寒さのむこうに、温かい春の光が確かに感じられて
    幸せな気持ちになります。
    怖い表紙に惑わされず、ぜひ読んでいただきたい物語です。

  • 事件に巻き込まれた男が目の見えない独り暮らしの女性の家に勝手に住むという有り得ない設定に最初は驚いた。いくら気配を消しても気付かれないわけがないし、特に視力に障害のある人は聴力に長けていると思うし…。
    誰しも心の闇を持っていて、人と関わりたくないと思うときはある。心の闇に少し過敏な二人が、共にそれを乗り越えて行くのであろう結末に温かい気持ちになれた。

  • マイベスト3(著者問わない)の1冊です。
    ただ、この本が好きすぎて読書好きの友人皆にお勧めしたものの、読んでくれた人の感想は「そんなに頭のなかピンク色だったっけ?」「乙女過ぎて恥ずかしくて読めなかった。そんなキャラじゃないでしょ、あんた」と散々でしたw
    キュンキュンして、とても温かい気持ちになれる作品だと思うんですけど、、、共感してくれるひとが身近にいないですね。特に乙一さんの「百瀬、こっちを向いて」や「Calling you」とかを読んでからこの作品を読むと、彼の不器用な人たちへの理解や愛がすごく伝わって、ぶっ飛んだ設定の本作にもすっと入っていけるのかなと思います。

  • 夢に出てきちゃいそうなこの表紙!
    絶対怖い、絶対怖い、絶対怖い・・・!

    とぶるぶるしながらも、好奇心に負けて読み始めた。
    でも全然ホラーじゃなかった、むしろすごくハートウォーミングな。。。

    視力をなくし、父と住んだ思い出の古い家で、ひとり静かに暮らすミチル。
    職場の人間関係で悩むアキヒロ。
    駅で起きた殺人事件で、犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家にこっそり逃げ込み、息を潜めて居間の隅にうずくまる。
    ミチルは他人の気配に気づき、不安にかられるが、刺激しないようにいつも通りに生活を続ける。
    しかしある出来事をきっかけに、ミチルが知っていることをアキヒロは知り、二人は奇妙な同居生活を始める。

    奇想天外な設定。
    でも、乙一さんは、こういう「目に見えない」存在との共存を書くのが本当にうまい。
    ミチルの家の、不思議と静かでやわらかい空気が伝わってきて、私もその空気の中にとけこむように、自然と物語に入っていけた。
    孤独な二人が、言葉を介さず、視線も合わさず、接触することないように慎重に生活しながら、空気だけを共有して見えない糸によって魅かれあう。
    カズエに謝りに行こうとするも、玄関で足がすくんで寒さに震えているミチルに、初めてアキヒロが触れるシーンが好きだ。

    読み終わって改めて表紙を見て思う。
    もっと可愛くていいのに(笑)

  • 切なさが、滲むようにじんわりと、或は穏やかに、伝わってくる作品だった。
    cafeでコーヒーを飲みながらの読書中、涙が出そうになったりもした。
    質感を損なわずに、映像化されている作品があったら、観てみたい。

  • 盲目の女の子の家に事情ある男性がコッソリ棲みつくストーリー。
    不器用な二人の人生が少しずつ重なっていく過程が繊細。
    なんだか、自分まで真っ暗な世界を手探りしてるような感覚になってくる。

  • 裏表紙のあらすじから内容がずっと気になっていたお話だった。タイトルも作者も忘れてしまって出会うことを諦めていたところ、書店で偶然発見して即購入。
    こんなに自分の中でヒットした本は久しぶりで、心地よく満足感のある読み味でした。
    目の見えない女性と、殺人の容疑で終われた男のいびつな共同生活が、徐々に互いにとって心地よく掛け替えのないものに変化していく。その過程が切なく儚くてとても愛おしい。
    ミステリー小説と言うよりは恋愛小説のようであり、友情の物語であるようにも見える。
    この物語に「こんなこと有り得ない!」「リアリティが無い!」なんで余計な茶々を入れるほも ど不誠実な事は無い。書き手が語ろうとする事の意図も、登場人物の揺れ動く心も、リアルである必要は無いのだ。
    ただただ美しく、消えてしまいそうな程澄み渡るお話。それだけで、再読の価値がある。

  • 表紙とタイトルからホラーだと思っていたのだけど、ホラーな内容はなく、人と人との心温まる交流の物語だった。
    ミステリー要素もきっちりすっきりまとまっていて読後感良し。
    危うい均衡で成り立っている二人がこれからどうなるのかとのめりこんで一気に読んでしまった。

    違和感を口に出してしまった途端もっと大変なことになるのではないか。という緊張感すごくわかります。特に女性は共感しやすいかな。
    現実でもあるよね。
    「好き」って口に出したら終わってしまう関係。
    「やめて」っていったらくわえられる暴力・・・
    逆もしかりで、「いやだ」ってちゃんと伝えるところから始まる関係もまたあると。

    個人的に乙一作品は「夏と花火と私の死体」「平面いぬ。」に続く3冊目。
    まだ「黒」い部分を見ていないと思われるので楽しみであり、怖くもあり。

  • 夫が持ってました。
    乙一作品の中で一番好きです。

    相変わらず中身の切なさと、タイトルのホラー加減が秀逸です(笑)
    最初ホラー作品かと思って読まず嫌いでした(^^;

    少し、世間から反れた行き方をしているミチルとアキヒロ。
    最後のアキヒロがミチルに語りかけるシーンは、暗い部屋に光が差し込んできたような、そんな空気感が漂う名場面です。

  • 他人とうまく接することができない大石アキヒロと、外の世界に出ることをおそれている盲目のミチル。
    2人は生活を共にすることで、少しずつ心を開き、そのつながりが自信となって、自分の弱さと向き合うようになる。
    その2人の変化の過程が、とても繊細に描かれていて、引き込まれる。

    場面の設定から、2人の共同生活はほとんど無言なのだが、その静けさが美しい。
    思わず息を殺し、じっと体を固くして読んでしまった。

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暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)の作品紹介

視力をなくし、独り静かに暮らすミチル。職場の人間関係に悩むアキヒロ。駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチルは、身を守るため、知らない振りをしようと決める。奇妙な同棲生活が始まった-。書き下ろし小説。

暗いところで待ち合わせ (幻冬舎文庫)のKindle版

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