- Amazon.co.jp ・本 (262ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344402140
感想・レビュー・書評
-
これはすごい…
物語りは盲目のミチルの部屋に、同僚を駅のホームから突き落とし殺害したアキヒロが身を隠し生活をするという、何とも気味の悪い設定で進みます
読み始めた時は思いもよらなかった、読後のこの感情
感動という簡単な一言では表せない感情でした
境遇は違えど、1人でいることが幸せなんだ、傷付かない唯一の方法なんだと自分自身に言い聞かせている2人
でも、本当は自分に嘘をついていることを分かっている…分かっているけど変われない自分に蓋をする、そんな同じ匂いのする2人
そんな2人が特殊な設定の元、徐々に変わっていく姿に心が揺すぶられます
最後まで読むと、すべてに無駄のない展開であることにも驚かされます
初読みの作家さんでありましたが、凄い作家さんに出会えたと思いました
【読了短歌】
希望も光も見えないわたしを
救い出したのは見えないあなた
詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いや~、良かった。としか言えない。
どうしてこんな話を思いつけて、しかもそれをおもしろくかけるのだろう。
素晴らしいな。 -
すごく良かった。
アキヒロとミチルの孤独感や周りとの距離感に共感した。けどアキヒロやミチルみたいに生きるのは寧ろ強いからじゃないのかな?私はそうしたくても…出来ない。
初めて乙一さんのを読んだけどハマりそう。 -
久々の乙一作品。てっきりホラーだとばかり思って後回しにしてました。いい。乙一らしい切なさが満載で、もっと早く読めば良かった…と後悔。2人のお互いを気遣う距離感がもどかしくも絶妙で、読んでいるこちらまで息を潜めてしまいました(笑)奇妙な共同生活という点と、柔らかい空気感は『しあわせは子猫のかたち』と近いものがあるな、と勝手に思いながら読んでました。どちらも優しくて好きです。
-
おもしろかった!ミステリーだけど、人との結びつきを感じて心温まる物語で、個人的に好みな作風でした。
主人公のミチルは目が見えなく、自分の殻に閉じこもった生活をしているが、決して自分の状況を悲観することなく、受け入れて淡々としているように思えて、好感が持てる。
乙一作品を読むのは『夏と花火と私の死体』に続く2作目だが、文体がとても読みやすい。『死にぞこないの青』など他の作品も読んでみたい! -
警察に追われてる男が目の見えない女性の家にだまって勝手に隠れ潜んでしまうお話(あとがきより)
部屋にいる相手の気配に気がつくが気がつかないふり、相手に気がつかれたと気づいてやや気配をだしてくる相手。
こんなんやたら怖いわと思ってたらいつの間にか温かいお話に変わっていた
乙一様恐るべし -
警察に追われている男が身の見えない女性の家に黙って勝手に隠れ潜んでしまう、という無理矢理な設定なのに、最初から最後までとても納得するお話だった。
人付き合いの苦手な男の心情や行動はそうだろうなぁと思うし、交通事故で視力を失った女性が何のために生き続けるのかの疑問を持ちながら家でじっとして外に出ないとか。2人が少しずつ接点を探ろうとするあたりも描き方がとても良い。
乙一という作家は初めてだったが、この感じが他ではどうなんだろうか。いくつか読んでみようと思う。
タイトルも秀逸。 -
久しぶりの乙一作品読了。面白かった!
何という設定か!
主人公は事故で目が見えなくなった盲目の女性。かつて父と2人で暮らしていた駅の横の家で、今は1人暮らしている。
そこに駅のホームで会社の同僚を突き落とした罪で警察に追われている少年が転がり込んで、息を殺して潜んでいる。
という導入。
なんと無駄のない物語と登場人物か。その割にものすごくうまーくつながって、最後まで飽きさせない。
登場人物の個性や心情の描き方もうまくて、流れるように読めた。
盲目の人の目線(?)から物語の半分は出来ていて、家の中での動き方、外に出る恐怖、点字ブロックの重要性、サポートするサービスがあることなどなどを知ることができた。
全体的にすっきりまとまっていて、なおかつ面白い。ページ数もそんなに多くないので気軽に読める。良書。 -
"必要だったのは、自分の存在を許す人間だったのだと思う。"
とてもしっかり考えられた設定だと思う。
ミステリーの中で、2人の孤独な人間の成長や、
惹かれ合う描写も、とても綺麗に描かれていた◎