生を踏んで恐れず―高橋是清の生涯 (幻冬舎文庫) (幻冬舎文庫 つ 2-6)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (390ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402249

作品紹介・あらすじ

日本では相場師から首相までを経験した高橋是清。蔵相七回をつとめた不世出の政治家は後に、二・二六事件に倒れる。労苦と挫折を糧に金融政策で日本の危機を何度も乗りきった男は何を優先し、どう決断したか。渾身の力作評伝。

感想・レビュー・書評

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  • 高橋是清の伝記小説。

    高橋がどんなにか波乱万丈な一生を送ったか、はっきり言ってこれ程までに内容の濃い人生を送ったとは正直驚いてしまった。
    幕末絵師と女中の間に生まれた私生児で、仙台藩足軽に養子に出され、14歳で騙されてアメリカに奴隷で売られる。自由の身になってのち、芸者遊びにうつつを抜かし、芸者に養われる。株屋、牧場経営、翻訳家、ペルーの銀山経営と職を転々とし、やがて日銀総裁の地位に達する。
    日露戦争の戦費調達を一手に引き受け、英米独仏の要人とコネクションを持ち、欧米を駆け回って海外金融市場での日本の信用確立、起債を成功させる場面は圧巻。金融危機ではモラトリアムを実施。軍部の暴走に敢然と立ち向かい軍事費の抑制に努力した結果、最後には二・二六事件の凶弾に倒れた。

    勿論彼の持つ幸運もあったろうが、抜群の英語力と一心に努力を続けること、そしてその人柄から出会った多くの人々から愛された人たらしの面が彼をしてこの波乱万丈な一生を走りきったのであろう。

  • 高橋是清が首相、蔵相等大臣を歴任した人、2.26事件で亡くなった人ということくらいしか知らなかったが、池上彰の本に若い頃アメリカに渡り奴隷にされたとの記述があったので興味が湧いて読んでみた。色々な仕事に就くところ、日露戦争時の外債発行のあたりは特に面白い。解説の方が書いている通りだと思った。彼のように国と自分の尺度が重なっている政治家はなかなか現れない。

  • 日露戦争において外債を調達し日本の勝利に欠かせない役割を果たした高橋是清の生涯について。 明治維新前後の人物によくある波瀾万丈の人生や、身分の違いは関係なく人の縁や紹介によって実力やその才能が認められていくとても面白い話。

  • 14歳で留学したアメリカで奴隷に売られ、帰国後の日本では相場師から首相までを経験した高橋是清。昭和初期の金融恐慌を鎮めるなど蔵相を7回務めた不世出の政治家は後に、2.26事件に斃れる。この国の危機を何度も乗り切った男は何を優先し、どんな決断をしたのか?

  • 人生を逆転させた男・高橋是清 (PHP文芸文庫) 文庫 – 2017/11/8
    津本 陽

    題違うだけ。

  • ホリエモンの帯にひかれて購入。
    歴史の授業で出てくる名前の一人で せいぜい名前と、ダルマ宰相のあだ名ぐらいが 有名な感じではあるけれど、 印象が全く変わってしまうくらい 八面六臂の活躍する是清の生涯が面白い。 日本の金融の危機を救い 何度不幸や失敗に巻き込まれても 持ち前のバイタリティーと明るさで乗り越えていく姿は 豊臣秀吉のような出世物語の趣である。
    「力によって立つものは滅び、徳を持って立つものは栄える」と是清は言う。同時に、自国を自分で守る力も「徳」であると考えている。日露戦争当時、英米が日本に金を貸したのは、その「徳」を日本にというより是清に見たからであった。その国に卓越したスピリットがあるとすれば、それは個人によって体現されているはずであると、英米は信じたからだ。世界の分断と対立構造に対し、何らアイデアを世界に提示できない日本、中国・韓国との対応でバタバタする日本を見て、是清はあの世でなんと言うのだろうか。

  • 是清の自伝を読んだ事がないので確かな事は言えないが、アマゾンのレビューにもある通り、作品から新鮮味を感じず、著者の是清感が全く感じられなかった。

    作品の内容自体は星2つだが、是清の人生には大いに関心があるのでそこを加味して3つとした。他の作家が書いた作品をいつか読んでみたい。

    ジュンク堂書店近鉄あべのハルカス店にて購入。

  • 高橋是清の業績として代表的なものはやはり日露戦争時の外債募集成功であるが、それまでのあまりに修羅場な数々の経験が、自己の保身ではなく国家へ尽くす覚悟とそれに伴う楽天的な姿勢を培い、海外の様々な立場のひとから信頼される人物となったんだ、というのがとてもよくわかった。器の広さ、というものだろうか。

  • こういう人が時代を引っ張っていくんだなと思います。
    とにかくパワフルな人生に圧倒されました。

  • 高橋是清の波瀾万丈の生涯。本人は幼児の頃の体験から幸運に恵まれていると信じ、終始楽観主義を貫いたとのことだが、彼の人間の大きさ、無私の心、魅力が周囲をして彼を助けずにはいられない気持ちにさせたのだろう。その意味で、幸運は彼自身が呼び込んだものに違いない。
    外債発行や金融政策のくだり、良く分からない点も多かったが、彼の手腕は現代でも十分通用するのではないだろうか。そういえば少し前に、平成の高橋是清と呼ばれた政治家がいたっけ。

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著者プロフィール

1929年和歌山県生まれ。東北大学法学部卒業。78年に『深重の海』で直木賞受賞。その後、織田信長を描いた『下天は夢か』がベストセラーになる。95年『夢のまた夢』で吉川英治文学賞、2005年菊池寛賞受賞。1997年に紫綬褒章を、2003年には旭日小綬章を受章。剣道三段、抜刀道五段で武術全般に造詣深く、剣豪小説をはじめとして多くの武道小説を執筆。2018年5月26日逝去。著書に『明治撃剣会』『柳生兵庫助』『薩南示現流』『雑賀六字の城』『修羅の剣』『大わらんじの男』『龍馬』など多数。

「2022年 『深淵の色は 佐川幸義伝』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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