月の裏側 (幻冬舎文庫)

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著者 : 恩田陸
  • 幻冬舎 (2002年8月1日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344402621

月の裏側 (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 九州の水郷都市で起こった複数の失踪事件。
    失踪した人たちは数日後、何事もなかったかのように戻ってくる。
    ただし記憶を失って…。
    その事件に興味を持ち、調べ始める元大学教授・その教え子・元教授の娘・新聞記者。


    主人公の一人である多聞が印象的だ。
    「僕は愛される男なんだ」
    こんなセリフをさらっと自分で言っちゃうような人。
    だからといってナルシストなのではなく、淡々としていて周りにも自分にも執着がなさそうな人。いろんな意味でマイペース。

    決意の夜の多聞の長靴は藍子が履かせたのかと思ったけれど、最終章の藍子の独白を読んだ感じでは藍子ではなさそう。

    このタイミングのこの状況下で多聞に再会した藍子はなんだか不憫だなぁ。


    まだ恩田作品を少ししか読んでいない身で「いつもの通り」というのも気がひけるけれど、いつもの通り大きな謎の解決・解明はなし。
    お話の風呂敷がだんだん広がっていくのを読みながら「コレちゃんとたためるのかしら」と心配してしまったのだけど、たたむどころか、広げる余地があるままラスト。

    登場人物の一人の言葉
    ―この世の中には説明できないこと、説明しなくてもいいことがあるんじゃないかな

    この物語の謎もそれでいいような気がする。

  • 久しぶりの恩田作品。
    本屋で裏の内容紹介を読んだら、消えた老女と「人間もどき」真相が気になって買ってしまった(笑)
    思ってた以上にホラー色の強い作品でした。
    肌にねっとりとした湿度と恐怖を感じれる、さすが恩田先生の描写力。
    こわいこわい。中盤怖いです。
    恩田先生の作品はいつもラストがねぇ…好みでないんですけど、今回も見事……にこけました。急に恋愛色強くなってもねぇ…グロさでご馳走さま状態の心についていかないですねぇ……もういっそのこと恐怖状態のまま放り出しておいてくれても良かったですけどねぇ………
    あともう一点。藍子は子どもがいない設定の方が良かったなぁ。あんな狂気じみた状況で我が子の安否も分からず取り乱さない親いないでしょ。書く気がないなら半端な設定しなけりゃいいのに…。
    大体、戻ってきた奴らが半端すぎる。骨がないって…レントゲンしたら分かってまうやん(笑)白い餅って…??採血できんよね…とか医療職目線で見てしまう(笑)どうせなら完璧作ってお返ししてくれたらいいのに……
    不満ばっかりでてしまいますが、やっぱりここまで一気読みしてしまうのは恩田先生の魅力です。濃密な夜を過ごせました。

  • 怖かった。怖かったけど再読したくなる。この終わり方やから怖いんやろなぁ。スッキリせん気もするけど好きな作品。

  • なんという重厚な読み応え。
    面白かった。

    細かく分けられた章(チャプター)と、
    章の冒頭で語られる正体不明(少しずつ特定可能になってくる)のモノローグが印象的。

    最初は馴染みのない堀の街と多聞と協一郎という捉えどころのない不思議なキャラクターに警戒心がなかなか解けず、世界に入り込むのに時間がかかったけれど、
    4割を超えたあたりから、少し怖いくらい箭納倉の街に入り込んでしまった。
    そのあたりから面白さとともに、ゾクリと背筋が寒くなる緊張感がぐっと増し、却って休み休み現実の乾いた温かな空気を確認せずにはいられなくなった。
    この時期に読んだのもある意味当たりだったのかもしれない。私の住む街には梅雨はないが、やはりこの時期雨が多く、読んでいる間に天気の悪い日が続くと現実感が時々わからなくなる。
    最近久しぶりに恩田陸作品を読んでいる。
    今作は初読。
    けれど、この『月の裏側』を読んでやっと恩田さんの作風を思い出した、というか読んでいる時に受ける印象を思い出した。
    そうだ、この感覚だ、と。
    恩田作品は私の好きな他のどの作家とも全然違っていて、独自の不思議な世界観を持っている。
    謎が多く、少し怖いホラー的な要素を持っていることも多い。
    謎が謎のままで終わることもままあるが、
    ほどんどの場合はそれでも良いような気がするから不思議だ。
    ”なんて言うのかな。この世の中には説明できないこと、説明しなくてもいいことがあるんじゃないかなって。”
    そういうことなのだろう。
    もちろん、その手法が”逃げ”のために使われてはいけないけれど、物語の深みを出すために利用されるのならば、アリということか。

    先日再読した『Q&A』も、もう少しだけ全体像の輪郭がはっきりしていれば、もやもやを残すこともなかったかもしれないな。私見ではありますが。

  • あらすじをほぼ読まず読み、どういう方向へ行くのだと不安になりながら読み進み、あぁ、こういった小説は初めてだなと思った。ホラーやオカルト映画はたくさん観るが、小説は初めて。
    じんわり、じわじわが続き、映画では描かれない、恐怖の中で冗談言ったり、緊張感が途切れてなんかどうでもよくなる感覚などが描かれている。いつのまにか盗まれているという感覚も怖い。ただ、原因がわかってからは失速。というより僕の興味が失われてしまった。
    文章表現が魅力的で、じめじめとした雰囲気作りやニュアンスに膝を打つ。しかし丁寧すぎて不気味さがいまいち伝わってこない。例えば夢野久作のような不安定感が文章にあると、本当に怖くなるのではないか。まぁそんなん恩田さんに求めてないんなけど。

  • 独特な世界観。読み終わった後にも余韻に浸れるとてもいい作品だと思う。SF好きな人向けかも。

  • 表紙の印象から何故かずっと時代ものだと思い込み敬遠していたけど、全然違った。

    水路が張り巡らされた街、素敵だ。不気味さもあり美しさもありで夢中で読んでしまった。

    白雨みたいな猫が欲しい。

  • 柳川に旅行し、帰りの電車内で読んだ。
    本当は事前に読むべきだったんだろうけど、怖いんだもの!掘割が!雨降ってたし!!
    しかし農協倉庫は探すべきだった。
    鳩笛は入手したけど。
    水天宮の近くにあっただろうか…

    小説内に漂う得体のしれない不気味さが確かに存在する街だった。
    どこまでも水に囲まれているし。
    ふと気がつくと細い水路が張り巡らされている。
    柳川までの車窓から見るにつけ、周辺の街も溜池や水路が多い。
    こりゃ逃げられないわ。

    結局、集団で盗まれたのは箭納倉だけだったのよね。
    このあと、世界に盗まれた人たちが拡散して、無意識は大きな一つのものき集約して行くのかな。
    その世界でのお葬式はどうなるんだろう。火葬したらタールのようなものが残るだけになっちゃうんだよね。
    みんなが盗まれたあとは火葬って文化が自然と消滅するのかしら。

    またいつか柳川へ行こう。
    フランス料理屋さんを探して。
    合歓の木の盛りの時期に。

  • コレはホラーなのかな?
    面白かったよ。

  • 恩田陸は凄く好きな作家で、既刊は半分くらい手に持っている。でも、いつも思うのはオチが残念だという事。途中まで凄くわくわくするのに肩透かしを食らう事も少なくない。それでも読んでしまうのは、文章力とキャラの魅力だと思っている。
    今作も途中から「どこに着地したいのだろう…」と登場人物と共に不安になったが、多門と一緒ならどこでも良いかと思ってしまった。単に私がミーハーなのか、それを本の面白さとして評価しても良いかは分からないが少なくとも私は満足だった。
    何より恩田陸の魅力である“恐怖”と“不安”が遺憾なく発揮されていて地下の描写部分は本当に鳥肌が立った。相変わらずラストの気抜け感はあるがそれも一種のカタルシスという事で。

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