高校教師 (幻冬舎文庫 の 1-5)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344403154

感想・レビュー・書評

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  • 「守ってあげる!」
     あちこちの壁に当たってはね返ってくるスカッシュ・ボールのように、これらの言葉はいつまでも隆夫の中を飛び交った。そのうちその球は、壁の中へ吸い込まれた。

     カチャンと軽い音がした。「十円玉入れたよ」と繭が明るい声で言う。(きっと、この時のためにこの十円玉はあったんだ。そして役立ってくれるんだ)そう思うと十円玉がいじらしかった。
    「なら、あと三分話せるか」
     言い方に優しさがあった。繭にそれが伝わった。微笑している彼の顔が見える。
    「うん」
    「といっても、何話そう?」
    「あたしね…」
    「…」
    「ペンギンの話が聞きたい」
     その声が、かすかに震えた。

    「それに…」と繭が言いよどむ。「ひょっとしたら」と無理な笑顔を作る。「ひょっとしたら、先生ならそれでもって…ほんのちょっと期待したりしちゃって…だから、頑張って来たの、一生懸命来たの」
     隆夫は反応しない。頬杖をついたまま、じっと動かない。
    「けどやっぱり…先生はヤだよね。こんなあたし、ヤだよね。…あたし…先生大好き」

     あたし、先生と普通の恋がしたかった。映画みたいな出会いじゃなくていい。普通に出会って、手をつないで、オシャベリをして、時々はヤキモチもやくの。春が来て夏が来て、秋が来る。ちょっとずつ、ちょっとずつ二人の間に同じ雪が積もる冬も来て。
     バカだねあたし、自分はちっとも普通じゃなかったのにね。あたしはお父さんと…あの人と遠くに行きます。あの人は少なくともあたしが必要なの。きっとあたしも、一人っきりは寂しいから。
     いつも思ってたことがあるの。人が周りにいないからじゃなくて、自分をわかってくれる人がいないから寂しくなるんだね。
     先生も時々寂しそうだったね。できればあたしがずっとそばにいたかった。いつか先生に恋人できたら、きっとあたしのことは忘れちゃうね。けど、あたしは忘れないでもいい?鎌倉で、一緒に結んでくれたオミクジのこと、忘れないでもいいよね?

  • 学生時代にドラマにハマった。

  • 野島伸司の恋愛ドラマ。

    生徒と先生の禁断の愛。

    TV放送は見てなかったので、いつか読みたいと思ってた。

    予想してた以上に描写がザックリで、展開が早い。

    こういうスタイルなのかな、この人の作品て。

    え、っていう急展開が何度かあって、読み返すことも多々。

    でもなんだろ、そこが魅力なのかな。

    他の作品も読みたいと思ったな。

    基本、救われない話なので、好みが分かれそうな感じ。

    僕は好きです。

  • 時代を感じた

  • 今さら再読してみた。やっぱ影絵につきますな!(笑)

  • ドラマは全く見てませんでしたが読みましたが、この作品はやはりドラマでやるべき作品ですね。ドロドロさがすごいです。自分女子高生ですが、こういうことになるのは有り得ないですね;でも、同性愛は入れなくても良かった気がする。途中までしか先輩も出てこないし。色々問題詰め過ぎちゃってて少し薄っぺらさを感じます。

  • ドラマは全く見てませんでしたが読みましたが、この作品はやはりドラマでやるべき作品ですね。ドロドロさがすごいです。自分女子高生ですが、こういうことになるのは有り得ないですね;でも、同性愛は入れなくても良かった気がする。途中までしか先輩も出てこないし。色々問題詰め過ぎちゃってて少し薄っぺらさを感じます。

  • これで(ドラマだけど)真田さんにはまりました・・・・・・。

  • これはもう…切ない。

  • ラルクのてっちゃんも大好きですね。
    僕も大好きです。
    教師×生徒・同性愛・近親相姦・強姦。
    大変濃い内容ですが、素晴らしいものが伝わってきます。

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著者プロフィール

1963年、新潟県生まれ。88年脚本家デビュー。数々の話題作を手がける。

「2015年 『お兄ちゃん、ガチャ(2)<完>』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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