ヤクザに学ぶ指導力 (幻冬舎アウトロー文庫 O 31-9)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344403659

感想・レビュー・書評

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  • 組織を強くするのも弱くするのも、存続させるのも滅ぼすのも親分次第。苛酷なまでに指導力が問われるヤクザ社会におけるリーダーの役割と存在とは?リーダーと組織のために命すら投げ出す部下を育て上げるヤクザ独自の指導力を徹底解明!

  • 指導力どうこうより、エピソード集として

  • 山平 重樹の【ヤクザに学ぶ指導力】を読んだ。

    なんとも物騒なタイトルではあるが、実用的エッセイとしてビジネスマンに熱狂的に支持された【ヤクザ

    に学ぶ】シリーズの作品だ。

    僕もこのシリーズは愛読していて、他に【〜交渉術】【〜恋愛交渉術】【〜決断力】を読んでいる。

    ヤクザと言ってしまえば聞こえがなにかと悪い感じがするが、このシリーズで多く語られているのは古き

    良き時代の「親分衆」の伝説的事柄が多い。

    つまり、庶民に慕われた「弱きを助け強きをくじく」任侠道である。

    ヤクザ組織がいかにして若い衆を指導していくかが、数々のエピソードを交えて語られている。

    時代というべきか、ヤクザ社会にあっても「最近の若いものは・・・」と嘆く言葉が往々にして聞かれる

    という。

    ヤクザ社会はまず、徹底的に礼儀から叩き込まれる。俗に「飯炊き三年、雑巾がけ五年」と言われるよう

    に若い衆は親分の家に住み込んで掃除、炊事、洗濯、使い走りなどをしながら礼儀作法や稼業のことを学

    んでいくという。こういった新人教育システムが近頃では、親分がマンション住まいであったり、近隣の

    住民の迷惑を考えたりで、なくなってしまってきているという。そんな時代の中での冒頭の言葉なのだ。

    その中で親分たちは、試行錯誤を繰り返しながら教育をしている。

    ヤクザ組織の中で重要なのは親分子分の絶対的な信頼関係であるという。若い衆が「この親分のためな

    ら」と思わなければ組織は生き残っていけない。逆もしかりで親分が「若い衆のために」と思わなけれ

    ば、誰もついては来ないというのだ。

    おそらく、これは一般企業の組織も同じことが言えるはずで、上司は部下を思い、部下は上司のことを思

    わなければ業績のUPには繋がらないだろう。

    この作品には様々な角度から、一般企業と共通する組織論や指導論が示されていて、非常に興味深い。

    中でも印象に残るのは「部下を惹きつけるのは力ではなく心である」という人望を重要視する項と、「組

    織の理想は釣鐘方式」という組織論の項目であった。

    人望については説明の必要はないだろう。読んで字の如く、トップに立つべき人間の「人間的魅力」であ

    る。名を残した人物に共通して言えることは「決断力」と「義理と人情を重んじる心」そして「指揮官先

    導型」であるということだろうか。トラブルが大きくなればなるほど、けじめはトップが自分で取る。部

    下に見本を見せるべく自らが先頭に立つのである。これこそが上に立つ者の在り方ではないだろうか。

    釣鐘方式の組織論というのは読んでいて本当に関心してしまう。釣鐘はゴーンと鳴らせば、釣鐘の中では

    不協和音が反響しあい、それはものすごいことになっているだろう。しかし、外に聞こえる音はそれこそ

    ゴーンというひとつの混ざり気のない音色である。つまり、組織というものは内部では喧々囂々と討論を

    し合うべきである、しかし組織の外に出る方向性は混ざり気のないひとつの音でなければならないと言う

    ことだ。組織の外に不平不満が伝え漏れるようではその組織は一枚岩と化してはいなく、歪が出来ている

    ため弱いというのだ。なるほど言う通りかも知れない。

    基本的に僕は任侠物の本や映画などが好きでよく見るのだが、けしてすべてを賛美しているわけではな

    い。好きなのは任侠道、つまり「極道」(道を極めるという意)であり、暴力団ではないのだ。

    同じではないかと言われればそれまでだが、僕の中では違うのだ。

    いかなる理由であれ暴力で物事を解決するのは許してはいけない。ましてや堅気の人物に後ろから引き金

    を引くなどと任侠道の風上にも置けない。ヤクザがどうこうというより人間として許しがたい愚行だ。

    「堅気さんにだけは絶対に迷惑をかけてはいけない」昔の大親分たちは口をそろえてこう言っている。

    昨今、世間を騒がせる暴力団絡みの事件に名を残した先代の親分衆の言葉は届かないのだろうか。

  • 高校のときにはまっていた一冊パート2!

  • 3年越しぐらいで読んでいた気がする。でも結局は、ここ半年ぐらいですんげえちょびちょび読み進め、ようやく完読。というかんじです。次はヤクザ大全。(20080916)

  • 040211

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著者プロフィール

1953年山形県生まれ。法政大学卒業後、フリーライターとして活躍。『ヤクザに学ぶ』シリーズなど著書多数。近著に『伝説のヤクザ18人』(イースト・プレス)、『爆弾と呼ばれた極道 ボンノ外伝 破天荒一代・天野洋志穂』『サムライ 六代目山口組直参 落合勇治の半生』(徳間書店)、『実録 赤坂「ニューラテンクオーター」物語』(双葉社)、『高倉健からアホーと呼ばれた男 付き人西村泰治(ヤッさん)が明かす――健さんとの40年』『最強武闘派と呼ばれた極道 元五代目山口組若頭補佐 中野会会長 中野太郎』『力道山を刺した男 村田勝志』(かや書房)がある。

「2023年 『東映任俠映画とその時代』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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