- Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344405042
感想・レビュー・書評
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たしか、読んだのは高校1年くらいです。もっと小さかった記憶もあるのですが、文庫本出版の年度とか見てると違うみたいですね。
初めて読んで感激し、以来、何度も繰り返し読んでいます。
最後の場面はいつも泣いてしまいますね。
私は、自分の弟をとても可愛がっており、小さいときから寝る前によく本を読んであげていたのですが、
弟が小学校のときにこの本を読んであげたところ「面白い!」とハマって、毎日一場面ずつ読み聞かせていました。
弟も本当にこの話が好きなようで、私は弟が小4から結構しばらくの間、何度も「ささらさや読んでほしい!」というリクエストに応えました。
最後の場面はもう、泣かないように必死で読みました。
弟は、大学生になっている現在も、「ささらさや」の文庫本をふと気づくと机の上に置いてあったり、手に持っていたりします。ああ、また読んでたんやな、と微笑ましく思っています。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
加納朋子さん、いいですね~!登場する人々が魅力的で、ファンタジックなのに夢物語になりすぎない、やさしいストーリー♪
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加納朋子さんは文教大学短期大学部文芸科の卒業生。1992年、『ななつのこ』で第三回鮎川哲也賞を受賞、作家デビューしました。短期大学部のあった湘南キャンパスの図書館には、当然のことながら加納さんの著書が揃っているのですが、越谷図書館でもこのほど、未所蔵だった文庫作品をすべて購入しました。みなさんの先輩が創る作品世界を、どうぞお楽しみください! (展示作品全18点:七人の敵がいる、少年少女飛行倶楽部、ぐるぐる猿と歌う鳥、スペース、モノレールねこ、てるてるあした、コッペリア、レインレイン・ボウ、虹の家のアリス、ささらさや、螺旋階段のアリス、沙羅は和子の名を呼ぶ、月曜日の水玉模様、掌の中の小鳥、いちばん初めにあった海、ガラスの麒麟、魔法飛行、ななつのこ)
事務局 T.S
越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000450903 -
ああ、これはゴースト、だ。
冒頭いきなり乳飲み子と若い奥さん残して事故で死んでしまう。幽霊になっての独白から始まる物語。あまりにも若くて頼りない奥さんの、ピンチのたびに色々な人に憑依して現れる。憑依は一回きりで同じ人にはできない。坊さん、おっさんの駅員さん、おばあちゃん、郵便局員、そんな人々が表題ごとに赤ちゃん抱いてる挿絵が、ものすごく可愛い。
「そのダイヤだか、真珠郎だかを・・・」
一言でミステリマニアだとわかるおばあちゃんたち三人もいい味だしてる。
いい話だった。 -
涙は流れなかったが胸が熱くなる作品やった。最初はサヤの御人好しっぷりにイラつくが、葬式でのサヤの服装について死んだ夫の説明が無ければサヤを嫌ったまま読み進めて行くとこやったわ。ホンマ「馬鹿っサヤ」やで(笑)。賑やかな婆さん3人組のユウ坊の奪い合い、サヤと正反対タイプのエリカと息子のダイヤ。最終的には切ない印象より楽しい印象の方が強く残ってる。今、感想を書くのに少し読み返したら泣きそうになった。もしかしたら再読・再々読と重ねる内に号泣するかも。
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いいといわれるだけはある。
さきにはるひのの、はるを読んでいたので
祐介が小さいってなんか無ズ痒い気分だった
苦手だった「馬鹿っさや」や、旦那の口調にもめげずに
読み進める
正直エリカさんが出てくるまではあんまりだった
エリカさんが出てくるあたりから
面白さが花開いたよう
ぐんぐん読み進んでいった
たぶん彼女の世界が以前はあまりにも
受け身だったから面白くなかったんだろう
数十頁のなかでさやが確実に成長していくのがわかる
旦那さんがいなくても、人と関われるようになる
強い母親になれる
彼女の世界はまだまだ優しいものであふれているね
そういえば、マスターとはつきあわなかったんだね
残念
でもそれがさやかな
さやが出した本の知識は三人のゆかいなばあちゃんにおしえてもらった知識なんだね
小さなキセキを読める作品 -
夫が事故で泣くなり、幼子を抱えて佐々良に引っ越してきたサヤ。
サヤのピンチに他人の姿を借りて助けに来る夫。
サヤが佐々良のおばあちゃんズやエリカと一緒に
夫が居なくてもユウ坊を守っていけるようになるまでの話。
サヤがお人よしすぎる。
母親なら息子を守るためなら、もっとシャンとするだろうと
ちとイラッとした。
が、おせっかいな三婆やエリカの存在はおもしろく
読んでいて優しい気持ちになれる話だった。 -
不思議な街・佐佐良。
事故で夫を亡くし、生まれたばかりの子・ユウスケと共に
佐佐良の街に引っ越してきたサヤ。
サヤの周りで起こる事件に、亡き夫が他人の体を借りて
いつも助けにきてくれる。
次第にサヤには3人のお婆ちゃん、ヤンキーママ・エリカなど
たくさんの友人ができる。
夫視点の、別れを迎える最後の章は切なくて悲しかった。
サヤの成長話でもあり、それぞれの話にはミステリの要素もあり
どちらとしても面白い本でした。 -
交通事故で無くなった夫が妻と子どもを見守るという物語ですが、
ファンタジー的でありながらもミステリーの要素も含んだ素敵な一冊です。
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大人しく控えめでオドオドとしたところもあるサヤは、
優しい夫と生まれたばかりの可愛い息子ユウ坊と幸せに暮らしていた。
しかし、買い物帰りに夫が信号無視をした車にはねられ亡くなってしまう。
夫の両親からユウ坊の親権を譲るよう迫られたサヤは、
唯一の親類であり既に亡くなった叔母が残してくれた家のある佐佐良の街へ移住する。
一方、亡くなった夫は亡くなってからも不思議と意識があり、
自分を見る事の出来る人に一時的に"入り込んで”サヤと話が出来る事に気づいた。
サヤとユウ坊を巡って起こる事件でサヤ悩まされるたびにそっと現れる夫。
二人が永遠の別れを告げるまで愛しく切ない日々が続いていく。
この物語は事件毎に解決する短編集が集まってひとつの物語を形成しています。
短編連作と呼ばれる構成で進んでいくこの物語は、
ひとつひとつの事件によってサヤの心が成長していくとともに、
サヤを取り巻く人々の優しさと温かさが胸にしみてきます。
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最愛の夫を不慮の事故で失ったサヤ。
しかし、物語の当初から夫がサヤの近くに居るということが分かるため、
読者は必要以上の悲壮感を味わうことはありません。
逆に夫の視点から書かれた部分を読むことによって、
読者自身がサヤとユウ坊を見守っているかのような気持ちになることができます。
「不慮の事故で夫を亡くした主人公」という設定にもかかわらず、
読みはじめから心穏やかに読み進めていけるのも、
こういった独特の構成があるからかもしれませんね。
主人公のサヤに関連する登場人物も個性的ですが、
それぞれ優しいところもあれば癖もあるという、
人間が本来持っている良い点・悪い点が表現されています。
そこがまた読者の共感を得る部分だと感じました。
加納朋子さんの著書は鮎川哲也賞受賞作品の「ななつのこ」を読みましたが、
主人公を取り巻く事件を通じて心温まるストーリーが展開し、
読み終わったときに心のコリがほぐれるような感覚を覚えました。
こんかいの「ささら さや」は「ななつのこ」以上に心温まるストーリで、
心が洗われるとともに心が優しくなる感覚を覚えました。
疲れた心に効くサプリメントのような一冊です。