闇の子供たち (幻冬舎文庫 や 3-11)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344405141

感想・レビュー・書評

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  • あくまでフィクションのタッチで綴られているが、限りなくノンフィクションに近い。映画も制作されているが、現地での上映は拒否されている。幼児の売買春や臓器売買(ここは本意気に否定されている)がテーマで、読み進めるのがとにかく気持ち悪い。でもこうした弱者が構造的に作られていることは否定できないし、事実であることは間違いない。なぜ人は慎ましやかに生きられないのだろうか。



  • タイ山岳部。貧困に喘ぐ地。
    カンボジアやミャンマーその他アジアの各地にある集落より、売られ、攫われる。
    幼児売買、幼児売春、臓器売買。十歳にも満たない子供達が性の奴隷として売り買いされる。数千円を手にする為に親は子を手放す。
    モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の欲を描いた一冊。

    読了感はすこぶる不味い。人によっては途中で読むのを止めるかもしれませんね。

    臓器売買。命の重さ。
    自分の子供が臓器移植を受けなければ死んでしまう。しかし、自国では移植手術が受けられず、欧米に行ってもドナーが見つかるかどうか分からない。
    待つ残された時間はなく一刻を争う。
    そんな時、タイならば臓器移植が可能だという。しかしながら、その移植される臓器は現地で幼児売買され行きながらに殺された貧困地区の子供のものである。
    命は平等である。さて、自分の子を救いたい思う親は悪なのか。移植されなければ、富める国に住む子は死ぬのである。

    70年代あたりはこういう類の小説が多かったような気がする。先進国入りをした国の後ろめたさというか。
    貨幣価値。前澤前社長がお金を配っておりますが、お金のない世界を目指したいなんて仰ってましたな。
    はるか昔、世界中が自給自足だった時代にはこういった道徳問題はなかったんだろうな。

  • 目を背けたいけど、背けてはいけない…
    いろんな事を考えさせられる作品でした。

  • 「読書好き」になって以降の10何年かのうちで、史上最低に胸くそ悪くなった作品。

    序盤、中盤の性描写もしかり、結末もしかり・・・・。

    ただ、、、、、この作品はフィクションではあるが、その最低最悪な作品世界で描かれた児童売買や児童買春、臓器売買等は現実にある事実。
    ならば、あの凄惨な性描写も恐らくは現実に日毎夜毎に繰り広げられているのだということも、必然。
    現状を訴えようとする一部の善意の者が、武力や暴力を用いて闇に葬られるということも、現実に起きていることは必然。


    筆者の訴えたいであろうことは、十分に伝わってきた。
    平和ボケした国に生まれ育った我々は、一度は読んでみる価値がある作品なのかもしれない。

    ただ、、、、、ただし・・・。
    フィクションの「物語」として見ると、いかがなものか・・・。
    登場人物の視点がころころと変わり過ぎて、落ち着かない。
    回収されずに放りっぱなしな伏線らしき描写が多数。
    胸に迫ってこない、取って付けたような薄い恋愛描写。





    この題材(人身売買にまつわるエトセトラ)を世に広く知らしめるという目的がメインであるならば、小説としてではなくノンフィクションとして出版すればよかったのに、と思えてならない。

    ★3つ、7ポイント。
    2017.11.14.古。


    先日、レンタル店にて同名タイトルの映画を発見。胸糞悪くなった思い出しかなかったため、
    あらすじ読む気にもならなかったから、本当のとことはどうか知らないけれど……「原作者」の欄にこの筆者の名があった。

    映画化されてたのか……。

    あの内容、映像化できるのかしら?

    と……

    ついこの前のW杯セネガル戦への煽り番組にて、臓器移植を受けた少年と原口元気との交流がクローズアップされていたが……

    「その臓器は、どこからきたの?」
    と思わずにはいられず、感動エピソードに素直に感動し切れなかった(苦笑)。

    2018.07.12.追記。

  • 人間は鬼畜を通り越してもはや動物以下の存在と再認識。

  • 存在を知っていたが、手に取っても買うことはなく、でもいつかは読まなければと思っていた一冊。今年の正月にブックオフで84円で購入。やっと読み始めました。知らないことは罪。知らないとは恐ろしいと思った。残虐過ぎて、休憩をしなければ読み進められないほどの内容であったが、同じ地球に生きる者として、最低限、読み切ることは自分に課した。背景を何も考えずに安いものを好んで買い、この平和な日本で、自分が最も不幸であると思う時さえある今の私。今、読むべくして読んだのだと思う。私のどんな思いも言葉も軽すぎて、何も言えない。

  • 貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最低辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作!
    (裏表紙紹介文より)

    ***

    内容は重いし、描写もキツイ。
    本編はもちろんだけど、あとがきに書かれていることが胸に痛い。

    色々考えさせられます。
    考えるだけじゃダメなんだろうけど。

  • 読み終えて本作に書かれている内容がフィクションである事を願いながら、その可能性は限りなく0に近いのだろうと思うと心が痛む。

    日本でも貧困ビジネスと呼ばれる問題があるが、世界に目を向けるとそこには金の亡者、いや、もはや人ではない魑魅魍魎達のために犠牲となる罪のない子供達がいる。

    幼児売買、幼児売春、臓器売買等、金に取り憑かれた者達の飽くなき欲望を満たす為に同じ世界に生まれた同じ人間の子供が単なる商品として取り扱われ、用がなくなるとゴミと同じく捨てられていく。

    1人でも多くの方に読んで欲しいと思える一冊です。


    説明
    内容(「BOOK」データベースより)
    貧困に喘ぐタイの山岳地帯で育ったセンラーは、もはや生きているだけの屍と化していた。実父にわずか八歳で売春宿へ売り渡され、世界中の富裕層の性的玩具となり、涙すら涸れ果てていた…。アジアの最底辺で今、何が起こっているのか。幼児売春。臓器売買。モラルや憐憫を破壊する冷徹な資本主義の現実と人間の飽くなき欲望の恐怖を描く衝撃作。

  • 東南アジアでの人身売買、幼児売春、臓器売買などの貧困社会に蔓延る闇。今まで小説を読んでいて、これほどまで苦しく切なくなるという経験はなかなか無かった。
    小説の中の物語でしかないけれど、世界の片隅で実際に起こっている出来事だと思う。確実に。
    救いのない結末もまたこの問題が現在進行形のまま、終わりなき課題であることを彷彿とさせる。
    梁石日さんの作品を初めて読んだが、衝撃的。

  • 映画化の件で話題の作品ということもあり、本屋で目立つ場所に陳列されていた。なので(今さらながら)購入するに至ったわけだけど、この内容をそのまま映画化は無理だろうというのが正直思ったところ(映画見てないのでわかりませんが;)。
    内容についてはここでは触れませんが、顔を顰めながら読んで、何だかいろいろ考えてしまいましたね。例えば、タイ料理を食べる機会がある時、小学生くらいの子供を見る時、我が子を思う時。
    経済格差はますます広がるけど、その最底辺では何が起こっているのか…子供たちが犠牲になるのは買い手があるからで根本原因は…とかなんとか。
    あくまで小説だけど、似たようなことは世界であるでしょうね。そう考えると恐ろしい。
    (過去読書記録の登録のため評価なし)

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著者プロフィール

1936年生まれ。『血と骨』『夜を賭けて』など作品多数。

「2020年 『魂の痕(きずあと)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

梁石日の作品

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