- Amazon.co.jp ・本 (461ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344407046
感想・レビュー・書評
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可憐でさえある、男たちの死に様。久兵衛の最後の前身、銃弾がやけにゆっくりと空間を走るような描写。倒れる身体、掲げられる誠の旗。
小栗が最後に、一度だけ妻を振り返るシーン。一切の心理描写を配し、風景や事物にも心情を託さず、ただただ振り返るという動作だけが端的に存在する。万感の思い、あまりにも雄弁な、素っ気なさ。
正しくハードボイルドである。北方時代劇は、本作に一旦結実した。心からそう思う。
この後の中国古典では、男同士が語り合わずしてわかり合うという描写が頻出しすぎて、どこか冷めてしまう。人間を信頼しすぎていると思う。
人間の孤独を描き切ったのは本作であり、怜悧で鋭い孤立が本当に鮮明で、一振りの日本刀のような作品。 -
このエンディングは、三国志の馬超とも通じるか。。
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新撰組ものは、大好きなので、一気読みだったがこれまでの通説を所々で違った解釈で描いていることが面白い。近藤の最期の、描き方だけイマイチ。
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【作品紹介】
時代は激しく動いた。徳川慶喜は朝廷に大政を返上。江戸幕府は終焉を迎える。だが新政府は追討令を発し、江戸に進軍を開始する。遂に土方歳三らは、壮大な計画に踏み切った。徳川慶喜を極秘に蝦夷地へ。数十万の幕臣を呼び、豊富な海産物・鉱脈を利用し独立国家を設立する。男たちの夢は、果たして叶うのか。新・幕末歴史小説ここに誕生。
【感想】
北方 謙三の歴史小説は、三国志に続いて2作品目。
三国志でも他の作家と違う独自の視点があると感じていたが、この作品は
「そう解釈もできるのか」
と、世の全ての情報について偏りのない自分自身の視点を持たなければならないと、改めて教えられた作品だった。 -
上下巻。土方歳三が主人公。
が、史実に沿っていながらその内実の定説とは大きく解釈が違っています。土方が何を見ていたか、幕府のそれぞれの要人たちが何を目指していたか。どんな「夢」を見ていたのか。史実上の結末はわかっていても、私も「もしかして」という夢を見てしまいました。
「土方歳三が何を見て動いていたか」というのが、この作品の大きな特徴です。最後に納得するかどうかは、人それぞれでしょう。話としては、特に江戸以降の後半がいい。これまでの新選組小説とは違う新しい切り口で、とても面白かったです。 -
北方謙三の土方歳三
今までにない土方像とストーリーはややもすればファンタジーのようだが、本当はこうだったかもしれない。
そう思わせてくる構成・文章力が素晴らしい。
我々読者は、北方謙三に「夢のかけら」を見せられたのかもしれない… -
うぉー。土方やたらとかっこよいー。
破滅に向かうのがわかってるからだんだん読むのつらくなってたのだけども
最後の最後がまた北方謙三くさくてかっこよい。
何を信じたら良いのかわかんないような時代を生き抜いたひとたち。
幕末ものを読むといつもおもう。わたしには想像もできないよ。みんなすごいなあ。