ワイルド・ソウル 上 (幻冬舎文庫 か 16-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 197
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  • Amazon.co.jp ・本 (478ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344407664

感想・レビュー・書評

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  • 吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を受賞した作品。

    日本人移民について興味があったため手に取った本です。ブラジルのアマゾンという未開の地へ多くの日本人が渡ったお話から始まります。

    日系という言葉は耳にすることはありますが、この作品に出てくるようなブラジルでの日本人についてははじめて知りました。お役人からの話とはまったく違う悲惨な状況の中で、一生懸命に生きた人たちが描かれており、どんどん作品に引き込まれていきました。こういう人たちが「一生懸命」というのだと思いました。

    また、悲惨なアマゾンで暮らし、生き延びた人々は、色んな人に出会い、良くも悪くも刺激を受け、前向きに生きていく姿。出会いが彼らを救ったと思いました。そして、出会って刺激を受けた分、次へつなげていっている強さに、日本人の特徴?を感じたようにも思いました。

    悲惨なアマゾン暮らしの日本人を見捨てたお役人たちへの復習が始まりまるところまでが上巻です。下巻が楽しみです。

  • この本 すごく面白い。
    最初からどんどん引き込まれていきます。
    戦後の棄民政策がテーマです。。
    垣根氏の作品は登場人物がとても魅力的です。
    そのうちの一人はこんな車に乗っています。

    「ガンメタリックのマツダ・RX-7。通称FD。車両価格が400万円したこの車をさらに700万円以上の金を注ぎ込んで、エンジン本体から足回りからボディ本体の構造補強まで、すべてにチューンナップを施した。」
    無数のスポット補強。
    T-88タービン。
    ロムの書き換え。
    ロールケージ。

    最後は330km/hrまで出てしまいます。。
    限界まで引っ張ってブローしてしまいますが・・・

    また登場する女性もとても魅力的でファンになってしまいます。

    とても面白く、1000ページ近くある長編でしたが、読む時間を見つけてでも読みたくなる本でした。
    子供には勧めませんが、大人の方は読んでみてもいいかも。。

  • 熱い男達にこの上なく魂が震えた。

  • あまり期待しないで手に取った小説だが、夢中になって一気に読んだ。大藪晴彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞を受賞した作品である。推理小説や冒険ものとも言えるが、社会派小説だと思う。
    外務省の宣伝に騙されてブラジルに渡った日系移民達が、日本政府に復讐を企てる。南米への移民の背景やその後のことを詳しく知らなかったので、ショッキングだった。
    大好きな「レディ・ジョーカー」に似ていると思う。読みやすく、小気味いいスピード感ある展開。今年読んだ本の中でベスト3に入るお気に入りの作品。

  • 今から数十年前にこんな事が、実際有ったのか。。。
    読み始めると一気に引込まれる。上を読んだら、下を買わずには
    いられない。(実際上を買って読んだ休日の夕方に本屋で下購入。)
    映像が目に浮かぶ圧倒的リアリィテー。

    名は体を表すと言うが、この作家、垣根涼介。読後感がなんとも
    爽やか。疾走感。一気に駈抜けて下さい!一番好きな作家です。

    友達に薦めたら、深夜便の飛行機の中で朝まで読んだって(笑)
    細かい構成は抜きにして、圧倒的世界に浸って下さい。

  • 描写がとても丁寧な物語。

    荒々しくてどうしようもなくて、ただひたすらに生を求める。

    人間の奥底を覗き込むどころか、首根っこつかまれて見せられているような感覚。

    これでまだ上巻だから驚きだ。下巻に期待。

  • ブラジルへの移民という歴史的事実を取材をもとに書かれたノンフィクション小説。

    序盤から驚きと悲痛な気持ちでいっぱいになりましたが、懸命に生きる登場人物の生き様にあっという間に引き込まれていきました。移民という歴史があったということは教科書レベルで頭の片隅にありましたが、自分がどれだけ表面的なことしか知らなかったのかを思い知らされました。
    途中から自分でも歴史を知りたくなり調べ始めるという影響のされようです。
    とても読みやすく、夢中で読んでしまいました。
    下巻が楽しみで仕方がありません。

  • このあと何が起こるのか!
    ともだちのレビューを読んで自分も読んでみたくなったのだけどすごく読み入る、事実とフィクションのバランスがいいのか違和感なく読める。
    スポットを当てているテーマは国の行った棄民政策と言われる南米への移民政策、そう遠い過去ではない時代の事実、同じようなことが他の場所でもたくさんあった…
    文章から想像するよりもはるかに過酷で悲惨なものであったであろう。
    ケイはどうなるのか。

  • 2011年7月

  • 読み始めたとき、「あー重いなぁ、、こういう内容苦手かも」とか思っていたのが嘘のよう。

    丁寧、なのに疾走感。
    否応なしに引き込まれるリアリティ。
    暗いだけじゃなくて、パワフルで力がある。

    下巻が楽しみです。

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著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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