ワイルド・ソウル 下 (幻冬舎文庫 か 16-3)

著者 :
  • 幻冬舎
4.19
  • (333)
  • (233)
  • (170)
  • (8)
  • (1)
本棚登録 : 1588
感想 : 159
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (481ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344407671

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 上巻に続き、下巻はよりハラハラ、ドキドキの連続でした。復讐というエネルギーから発せられるもので、3人の男たちがそれぞれの役割を果たしていきます。そして、その後は、生き抜いていこうとするもの、すべてに別れをつげるもの、それぞれが自分で選択した道を選んでいきます。

    また、日本政府への復讐を目的とした犯行の計画の最後には、これに携わった4名の男たちが、それぞれの心の奥深くにしまいこんでいた思いを解き放ち、本当の意味で開放されていきます。

    読後の率直な感想は、4人の男たちが、計画的な犯行を行ったにもかかわらず、悪者と呼ぶことができませんでした。逆にこの4名の犯行、言動、感情などに爽快感さえ感じてしまいました。日本政府の事件後の会見の最後の一言を読んだ瞬間「よし!やった!」と一緒に思ってしまったくらいでした。

    移民問題は様々な国が抱える問題のひとつだと思います。メディアから流れてくる情報は水面に浮いてきたものだけの場合も多くあると思います。この作品を通して事実と真実を学ぶことができたのではないかと思いました。

  • この本 すごく面白い。
    最初からどんどん引き込まれていきます。
    戦後の棄民政策がテーマです。。
    垣根氏の作品は登場人物がとても魅力的です。
    そのうちの一人はこんな車に乗っています。

    「ガンメタリックのマツダ・RX-7。通称FD。車両価格が400万円したこの車をさらに700万円以上の金を注ぎ込んで、エンジン本体から足回りからボディ本体の構造補強まで、すべてにチューンナップを施した。」
    無数のスポット補強。
    T-88タービン。
    ロムの書き換え。
    ロールケージ。

    最後は330km/hrまで出てしまいます。。
    限界まで引っ張ってブローしてしまいますが・・・

    また登場する女性もとても魅力的でファンになってしまいます。

    とても面白く、1000ページ近くある長編でしたが、読む時間を見つけてでも読みたくなる本でした。
    子供には勧めませんが、大人の方は読んでみてもいいかも。。

  • 熱い男達にこの上なく魂が震えた。

  • 面白く、勉強にもなる良作。
    山本の告白に胸を締め付けられた。

  • 南米移民政策の事など全く知らなかった。授業で事実だけを教えられても、真実は分からない。勉強になりました。
    ブラジルって、面白い国。
    山本さんが、切なかった。

  • 上巻ですでに物語の終盤がみえたような気がして、面白いながらも下巻では1冊も必要?と思ってしまったけれど。
    しけし蓋を開ければ上巻以上に面白く、いい意味で期待を裏切られる展開に一気に読んでしまいました。日本警察とブラジル移民2世の戦い。不思議な縁で繋がった仲間、友情、家族、そして新たな愛情。五感を揺さぶられ、ドキドキハラハラだけではおさまらないです。深い背景描写であるのに、不要なものは一切なく必要なものしか描かれていません。
    生と死が常に隣り合わせであることを感じさせるストーリーなのに、不思議と重苦しいシリアスではなく未来を感じさせてくれます。読み終わった後の清々しい気持ちは未だかつてないほどでした。沢山の人に勧めたい!

  • 最後に来て、それまでで1番のめり込む事になった。『こういう展開かぁ』って感じ。久しぶりに『コレは、読んでよかった』と思えた。また、時間をあけて読んでみたい。

  • 移民政策の実体をテーマに血塗りの描写も、あけっぴろげな性描写もあるこの小説。

    意外にも読後感は爽やか。この意外な気分の良さはこの作家、垣根涼介さんの『ヒートアイランド』に同じ。

    復讐というマイナスエネルギーを持って生きる登場人物たちが、それを果たす途上で様々に思考し、前向きに呪縛から解放されていく。全体に暗い雰囲気が漂っていながらも爽快に感じるのはそれが理由だろう。

    また、事件の首謀者ではないが、深くかかわっていく貴子。彼女が事件を通じて人間的に成長していく姿に勇気をもらった。最初に彼女の意地汚さ、心の荒み具合が遠慮なく描かれていたため、変化がとてもわかりやすかった。

  • 移民問題というシリアスなテーマを扱ったサスペンスなのに、底抜けに明るいケイのおかげで最後までシリアスにならなかったのが良かった。
    事件が解決していく過程も明快で分かりやすい。
    ただ、それまで克明に描かれてきた事件の概要が終盤になって簡略化というか、「想像すれば分かるでしょ」的な感じでどんどん省かれたのが少々残念。
    でもサスペンスものには珍しいハッピーエンド(?)なので、読後は爽快。
    2015/12

  • こんな素晴らしい作品があったなんて!
    戦後南米移民達の衝撃的な事実を知るだけでもこの本の価値はあるが、そこからスピード感あるストーリー展開は著者の取材や研究に要する時間を惜しまなくつぎこんだ渾身の作品となったのではないか。しばらく垣根涼介の作品にはまりそうだ。

全159件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1966年長崎県生まれ。筑波大学卒業。2000年『午前三時のルースター』でサントリーミステリー大賞と読者賞をダブル受賞。04年『ワイルド・ソウル』で、大藪春彦賞、吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞の史上初となる3冠受賞。その後も05年『君たちに明日はない』で山本周五郎賞、16年『室町無頼』で「本屋が選ぶ時代小説大賞」を受賞。その他の著書に『ヒート アイランド』『ギャングスター・レッスン』『サウダージ』『クレイジーヘヴン』『ゆりかごで眠れ』『真夏の島に咲く花は』『光秀の定理』などがある。

「2020年 『信長の原理 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

垣根涼介の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×