- Amazon.co.jp ・本 (481ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344407671
感想・レビュー・書評
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上巻に続き、下巻はよりハラハラ、ドキドキの連続でした。復讐というエネルギーから発せられるもので、3人の男たちがそれぞれの役割を果たしていきます。そして、その後は、生き抜いていこうとするもの、すべてに別れをつげるもの、それぞれが自分で選択した道を選んでいきます。
また、日本政府への復讐を目的とした犯行の計画の最後には、これに携わった4名の男たちが、それぞれの心の奥深くにしまいこんでいた思いを解き放ち、本当の意味で開放されていきます。
読後の率直な感想は、4人の男たちが、計画的な犯行を行ったにもかかわらず、悪者と呼ぶことができませんでした。逆にこの4名の犯行、言動、感情などに爽快感さえ感じてしまいました。日本政府の事件後の会見の最後の一言を読んだ瞬間「よし!やった!」と一緒に思ってしまったくらいでした。
移民問題は様々な国が抱える問題のひとつだと思います。メディアから流れてくる情報は水面に浮いてきたものだけの場合も多くあると思います。この作品を通して事実と真実を学ぶことができたのではないかと思いました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
熱い男達にこの上なく魂が震えた。
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面白く、勉強にもなる良作。
山本の告白に胸を締め付けられた。 -
南米移民政策の事など全く知らなかった。授業で事実だけを教えられても、真実は分からない。勉強になりました。
ブラジルって、面白い国。
山本さんが、切なかった。 -
上巻ですでに物語の終盤がみえたような気がして、面白いながらも下巻では1冊も必要?と思ってしまったけれど。
しけし蓋を開ければ上巻以上に面白く、いい意味で期待を裏切られる展開に一気に読んでしまいました。日本警察とブラジル移民2世の戦い。不思議な縁で繋がった仲間、友情、家族、そして新たな愛情。五感を揺さぶられ、ドキドキハラハラだけではおさまらないです。深い背景描写であるのに、不要なものは一切なく必要なものしか描かれていません。
生と死が常に隣り合わせであることを感じさせるストーリーなのに、不思議と重苦しいシリアスではなく未来を感じさせてくれます。読み終わった後の清々しい気持ちは未だかつてないほどでした。沢山の人に勧めたい! -
最後に来て、それまでで1番のめり込む事になった。『こういう展開かぁ』って感じ。久しぶりに『コレは、読んでよかった』と思えた。また、時間をあけて読んでみたい。
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移民政策の実体をテーマに血塗りの描写も、あけっぴろげな性描写もあるこの小説。
意外にも読後感は爽やか。この意外な気分の良さはこの作家、垣根涼介さんの『ヒートアイランド』に同じ。
復讐というマイナスエネルギーを持って生きる登場人物たちが、それを果たす途上で様々に思考し、前向きに呪縛から解放されていく。全体に暗い雰囲気が漂っていながらも爽快に感じるのはそれが理由だろう。
また、事件の首謀者ではないが、深くかかわっていく貴子。彼女が事件を通じて人間的に成長していく姿に勇気をもらった。最初に彼女の意地汚さ、心の荒み具合が遠慮なく描かれていたため、変化がとてもわかりやすかった。 -
移民問題というシリアスなテーマを扱ったサスペンスなのに、底抜けに明るいケイのおかげで最後までシリアスにならなかったのが良かった。
事件が解決していく過程も明快で分かりやすい。
ただ、それまで克明に描かれてきた事件の概要が終盤になって簡略化というか、「想像すれば分かるでしょ」的な感じでどんどん省かれたのが少々残念。
でもサスペンスものには珍しいハッピーエンド(?)なので、読後は爽快。
2015/12 -
こんな素晴らしい作品があったなんて!
戦後南米移民達の衝撃的な事実を知るだけでもこの本の価値はあるが、そこからスピード感あるストーリー展開は著者の取材や研究に要する時間を惜しまなくつぎこんだ渾身の作品となったのではないか。しばらく垣根涼介の作品にはまりそうだ。