- Amazon.co.jp ・本 (324ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344407800
感想・レビュー・書評
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人工妊娠中絶を扱った作品。非常に掘り下げてあって面白かった。
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優生保護法、後期妊娠中絶、出生前診断、精子バンクなど人間の誕生に関わる問題が盛りだくさん。ひとつひとつが考えさせられる事ばかりでした。
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胎児の命を守る“天使の代理人”という組織を運営する桐山冬子。突然銀行でのキャリアを捨て精子バンクを利用する出産を決意した川口弥生36歳。妊娠が分かった直後、人違いで中絶させられた佐藤有希恵26歳。一時は中絶を考えたが産み育てることを選んだ佐藤雪絵20歳。それぞれの人生と“天使の代理人”が交錯した時、奇蹟が起ころうとしていた。
(「BOOK」データベースより)
読み終えた今、一番感じるのは、この作品を男性が描いたということへの驚きだ。妊娠について考える女性の複雑な思いがリアルに表現されているように思う。文庫の最後に多くの参考文献が紹介されている。この作品を産み出すまでに、著者がどれだけの力を傾けたかということを表しているようだ。
中絶手術の申し込みをしたものの、まだ迷っているようだという女性を説得するために活動していたはずの「天使の代理人」が、いつしか運営者の冬子の思いから離れて一人歩きし、「絶対に中絶してはならない」という脅迫まがいのことをするようになってしまった。冬子の思いは違う。産まれてきたがために、母子ともに破滅してしまうケースもあり得ると考えているのだ。その過激な活動がある不幸な事件のきっかけとなってしまった。ここで「天使の代理人」の活動はターニング・ポイントを迎える。
男性は信用できないから、精子バンクを利用して自分だけの子供を作るといって妊娠した女性。彼女は出生前検査で胎児に障害があるとわかったら迷わず中絶を選ぶような女性。完璧な子供しか要らない、そうでなければ精子バンクを利用して妊娠した意味がないと考える。検査の結果は? そしてそれを知った彼女の決断は・・・。
妊娠・出産。一度も考えたことのない女性というのはいないだろうと思う。その言葉に対する思いは人それぞれだろう。自分の身体に宿った胎児は誰のものなのだろうか。宿した女性の思うがままにして構わないのだろうか。いろんな考え方をする女性が本書には登場する。それぞれ、いろんな言葉を持っている。だけれど、誰もがその自分の言葉に対する迷いも持っているわけだ。自分の意思は揺るがないと思っていたって、いざ目の前に事実を突きつけられたら、どうすべきなのかわからなくなる。不安になる。
本書は「中絶=悪」ということを訴えているわけではない、と思う。「妊娠・中絶」について、読者のみなさん考えてください、と言っているように思えた。 -
ドラマで見たのをきっかけに、原作へ。
ドラマとは違う設定も多く、どちらかというと私はドラマの方が好みだったかな。
しかし、男性である著者が、ここまで「中絶」というテーマに迫り、著したということに心から敬意を表したい。
桐山冬子の願いは、この本の出版・ドラマ化で確実に大きな一歩を踏み出したと思う。
ドラマを見ていない人は、読むことを薦める、というより、絶対読んで欲しい。 -
中絶をめぐる女たちの話。
自分が親になることへの不安が原因の人もいれば
人生設計を基準に考える人もいて
中絶の理由は本当に人それぞれ。
胎児の命を尊重すべきなのはわかるけれど
自分の人生が変わることに躊躇してしまう
女性の葛藤が生々しく書かれている。
また中絶に関する法律や現場の実態の描写が
まるで見てきたかのようにリアル。(だと思う)
これを書いたのが男の人だって言うのがびっくり!
将来子供が欲しい人も欲しくない人も
これは読んでおいた方がいい。 -
天使の代理人と名乗る中絶を思いとどめる人達。
人違いで中絶されてしまった人。
同姓同名の人を捜し出し殺すつもりがその人の出産を助けていく。
中絶について考えさせられます。
胎児は物か人間か?
中絶医療の進め方中絶医のあり方など、知れます。
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レビューはブログにて。
http://tempo.seesaa.net/article/102896318.html -
終わり方がよかったです。
中絶は殺人だとは思いますが、確かに妊婦本人ではなく回りがどうこう言うのはどうなんだろうとも思います。どうしたらいいんだろう…本当に難しい問題だと思います。 -
命は大切にしなきゃ。
全てを託される立場は怖いぐらいに重い。