哀しい予感 (幻冬舎文庫 よ 2-14)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344408951

感想・レビュー・書評

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  • 吉本ばななさんの初期の作品が懐かしくなって、再読しました。

    私立高校の音楽教師をしていた30歳独身のおば、ゆきの。
    ひとり眠るようにただひっそりと、古い一軒家で暮らしていた変わり者のおばを、なぜかとても好きだった私。

    19歳の私弥生と、そして弟哲生の、初夏の物語です。

    もう痛いくらいの感受性と、瑞々しさが溢れていて、わずか200ページにも満たない物語の中で、長い長い旅をしたような気持ちになれます。
    悲しみも喜びも何もかもがぎっしり詰まっていて、鳥肌が立つようでした。

    人が好きという気持ちの中に含まれるさまざまな想いが、ばななさんらしい言葉でまっすぐに伝わってきます。

  • わかっている。そう、わかっている。
    わかっていながらどうすることもできない。
    忘れたかったのかもしれない。
    少しづつ思い出してくる。
    やっぱり哀しいよ~

  • 吉本ばななの日本語の表現はなんて美しいんだろう。
    どんな情景も切なさとともに容易に想像できた。
    全ての人が優しくて、ものすごく愛おしく感じた。
    優しさが溢れすぎてどんな終わり方なのか読み進めながらすごくドキドキした。
    心があったかくなって、これから何度でも読み返したくなると思う。




  • 『あんまりたくさんありすぎるものを見ると、
        人間は不思議と悲しくなっちゃうんだよ』

    幸せな家庭で過ごしているが、幼い頃の記憶が欠けている弥生。
    変わり者だが美しいおばのゆきの。
    真っ直ぐで誰からも愛される弟の哲生。

    それぞれの想いや、明らかになる過去。

    弥生と共に、常にどこか切ないような、でも静かに満たされていくような感覚になりながら読み進められた。

    初めて吉本ばななさんの作品を読んだが、情景描写や心情を紡ぐ言葉がとても美しくて素敵で、こころが澄んでいくような気がした。
    今後も色々な作品を読んでいきたい。

  • 懐かしさと
    透明感ある
    世界観
    過去と寄り添い
    前に踏み出す

  • 81歳になる読書家の父が図書館で手に取り、面白かったからとお勧めしてくれた本。
    遠い遠い昔に読んだ事があるような、かすかな記憶。
    当時話題になっていた『つぐみ』。
    あの頃はピンと来なかった作家さんの魅力をこの作品で再認識。
    息子にも勧めてみようと思いました。

  • 10年以上ぶりに読みました。
    覚えていないけど、覚えている感覚。
    わーって読んで、ほわほわする。

  • これは…好きだ!!!

    いままでも結構吉本ばななさん読んだけど、
    普通に好き程度でした。
    でもこの本読んだら、ツボかもと思った。

    いいなぁーこれ
    って感じです。

    加筆してないほうも読んでみたい。

  • 吉本ばななさんの作品は、言葉が優しくて、愛があるように感じる。でも溢れるような愛ではなくて、どこか哀しい。主人公の境遇がそう感じさせるのかもしれない。

    主人公の弥生は、いろいろ抱えているけれど、みんなからたくさん愛されてて、、、この作品を読むと、少しだけ勇気が湧いてくる。すてきな作品でした。


  •  登場人物が全員優しい人たちの集まりだった。
     優しさの種類こそ違えどみんな優しい。
     
     あらあらと私の予想外の展開に進んでいった。
     暖かいはずの物語だけどどこか哀しい。
     どうかみんなが幸せになりますように。

     吉本ばななさんの優しい描写や比喩が好き。

     p122 (物への扱いは人間への扱いと似ている。自分は楽だけどそうされた側は切ないよね。)
    『2度と目に入らないように、そしていろいろなことを考えてしまわないようにほとんどめくらめっぽうに投げられている。おばは人間ともきっとこのようにきっぱり別れるのだろうと思って、私は少し悲しくなった。』

     p110
    『「あんまりたくさんありすぎるものを見ると、人間は不思議と悲しくなっちゃうんだよ。」』

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著者プロフィール

1964年、東京生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業。87年『キッチン』で第6回海燕新人文学賞を受賞しデビュー。88年『ムーンライト・シャドウ』で第16回泉鏡花文学賞、89年『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞、同年『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞、95年『アムリタ』で第5回紫式部文学賞、2000年『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞(安野光雅・選)、2022年『ミトンとふびん』で第58回谷崎潤一郎賞を受賞。著作は30か国以上で翻訳出版されており、イタリアで93年スカンノ賞、96年フェンディッシメ文学賞<Under35>、99年マスケラダルジェント賞、2011年カプリ賞を受賞している。近著に『吹上奇譚 第四話 ミモザ』がある。noteにて配信中のメルマガ「どくだみちゃんとふしばな」をまとめた文庫本も発売中。

「2023年 『はーばーらいと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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