孤高のメス1外科医当麻鉄彦 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.59
  • (51)
  • (128)
  • (136)
  • (17)
  • (7)
本棚登録 : 1014
感想 : 111
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344408999

作品紹介・あらすじ

当麻鉄彦は、大学病院を飛び出したアウトサイダーの医師。国内外で腕を磨き一流の外科医となった彼は、琵琶湖のほとりの民間病院で難手術に挑み患者達の命を救っていく。折しも、大量吐血して瀕死の状態となった「エホバの証人」の少女が担ぎ込まれる。信条により両親は輸血を拒否。一滴の輸血も許されない状況で、果たして手術は成功するのか?

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 古本屋で纏めてあったので取り敢えず1-3の3冊を購入。医者が書いた医療の本だが、熱い人間ドラマでも無く、医療技術の頂点を目指す内容でも無い。「泣くな研修医シリーズ」に近いかも知れない。
    とにかく主人公が淡々としている。外科手術医として高名な医師の後継に望まれても、別な世界を求める。招聘されても医長を望まず副医長となり、また敵対している相手の失敗でも責めていない。目指すのは僻地医療で何でもできる医者。著者の現在を調べると、確かに淡路島の診療所にいる。高度に専門化した現在の医療とは一線を画している。
    ただ、最後の章は疑問を残した終わり方で、次の本に続けさせる工夫がされていて読まざるを得ないのがズルい。

  • この作品は最初「外科医 当麻鉄彦」という漫画をつくり、それを上下2巻の小説にしたものに、その後 加筆して単行本 全6巻にしたものだそうです。

    クライマックスから とっても 面白くって一気に読みました。
    最後は本当に感動でした。
    信念を持って働く当麻医師の周りにはその世界が広がり、みんなに愛されています。

    この作品の中にはとても多くのテーマが入っていました。
    脳死問題、大学病院の医局体制の問題、地方病院の医師不足の問題、大学間の勢力問題、男女・親子の人間関係 等・・・。

    この作品はずっと手元においておきたい作品でした。

  • 1巻完結と思っていたので最後の展開にはちょっとびっくりで早く続きを読んでみたいです。
    当麻という医師がどれだけすごいのか、それがさらにわかっていくストーリーかな

  • 自分が外科的オペを施すような病になった時、当麻鉄彦のような医師が身近にいたら、どんなに心強いでしょう。
    数ある医療モノの小説の中で、著者のように実際に手がけたオペが6000件を超え、今なお現役でいる医師の小説は、手術シーンに臨場感とリアル感があります。

    術例解説や術野の医学専門用語がやや難解ですが、本書を読むことで、いつか患者側になる私たちに多少なりとも医療知識を与えてもらえることは嬉しい。特に、腕の悪い医師が誤診やオペの失敗で患者を危ない目にあわせている様は、多分日本のあちこちの病院で起こっていることなのでしょね‥。そんな告発もこの小説には含まれています。
    米国で最先端の肝移植の実践を積んだ当麻医師が、なぜ日本の地方病院にUターン就職したのか、今後が楽しみな第一巻。近日映画化。

  • 久し振りにBook off で題名に惹かれて買った一冊。
    面白いじゃあないか、『当麻鉄彦』。大門未知子を彷彿させるが、オペシーンが映像じゃないのにドキドキさせてくれる。
    しかも最後が2巻に続くときては、2巻も読まんといかん。Book off でまとめて購入しておくべきでした。

  • 面白かったです。オペのシーンに引き込まれました。

  • 医療小説を何冊か読んでいるが、ここまで専門用語が連なる小説は初めてか。
    並外れた医療手術の腕を持ちながら、地方の民間病院に赴任するという、医者の理想像とも思える主人公。
    そんな彼の生き方の原点には、父の存在があるようだが、彼のキャラがすんなりとは立ってこない。
    シリーズで刊行されているようなので、続けて読めば、そこら辺ははっきりするのだろうか。

  • 主人公の人格がまったく見えてこない。周囲の人間の言葉で当麻医師について多元的に語られてると思いきや、あくまで作者の「理想(妄想?)」としての人物像としてしか表現されないため、奥行きや重みがなく「それらしい雰囲気」のみ。むしろ、悪として描かれる周囲の医師像に対して、作者本人が抱く怒りのような感情の方が生き生きと感じられる。
    話に現実的なリアリティを表現したいという気持ちは汲み取れるが、総じて話の捉え方も作者本人の一方的な視点で切り取ったものでしかなく、やはり重みに欠ける。

  • 淡々と進んでいく感じで完結モノだと思っていたら、二巻に続く!

  •  全6巻約1900ページの大作。本書はその第1巻。
     大学病院という枠を離れ、国内の病院で研鑽を積み、肝臓移植を学ぶため単身渡米した主人公・当麻鉄彦。彼には地域でも都会の病院に負けないような医療を提供するという目標があった。アメリカでも惜しまれつつ帰国した当麻は琵琶湖のほとりの民間病院に空きが出たこともあり、そこに赴任することに。しかし、医師不足からどうしても医局から医者を派遣してもらわなければ回らないという民間病院の状況。派遣された医師のなんともテキトーくさい対応。当麻はそんな中でも淡々と仕事(難手術も含む)をこなし、周囲の信頼を得る。
     大学病院と民間病院。この二者の問題を皮切りに日本の医療現場が抱える闇を浮き彫りにする。

全111件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

医師・作家。一九四三年愛知県生まれ。 京都大学医学部卒業。早くより癌の告知問題に取り組み、「癌患者のゆりかごから墓場まで」をモットーにホスピスを備えた病院を創設。手術の公開など、先駆的医療を行う。「エホバの証人」の無輸血手術をはじめ手がけた手術は約六千件。現在は淡路島の診療所で僻地医療に従事する。医学学術書の他、小説やエッセイなど、著書多数。

「2020年 『緋色のメス 完結篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

大鐘稔彦の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
東野 圭吾
宮部みゆき
宮部 みゆき
宮部 みゆき
湊 かなえ
有効な右矢印 無効な右矢印
  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×