- Amazon.co.jp ・本 (188ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344409200
感想・レビュー・書評
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物語を読み終わり、あとがきのところを読んでいたら、知らず目頭が熱くなりました。ペットとの生活体験が全くない当方でも感じるものがあったので、楽しい思い出のある方であれば、もっと違ったかもしれません。一方で事実に即しているけれど、小説なのでデフォルメはあるなとも感じました。
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実話をもとに作られた戦争中の犬たちの物語。
戦時下での日本の様子が哀しく伝わってくる。
軍用犬として出征する犬たちの事情が描かれ、
それだけではなく、ペット犬たちまでもが、お国のために献納すべしと集められていたなんて!知らなかった。
犬達は警察に集められ、殺戮され、軍人さんのコートに毛皮が使われ、肉は食用になったと。。。
動物たちの受難と、家族同様に愛する犬を奪われた悲しみに、いたたまれない思いでいっぱいになった。
それだけでなく、重く心に残ったのは、集めた犬たちを殺す役割を担った人の、消えない心の痛み。
あとがきには、
"国の命令で犬を集め、殺戮に立ち会った経験は、記憶の中から消したくても、消すことのできない忌まわしい思い出"と。悲しすぎる。
様々な立場の方達の"伝えなければ"という思いが心に響いた。 -
文章力がすごいとか
世界観が独特とかそういう本ではなくて
第二次世界大戦に勝つため
軍用犬を育てて戦地に送り出し
その寂しさから飼った柴犬を今度は”供出命令”に従って
兵隊の防寒毛皮にするために献納しなければならなかった少女の数年を
感情的よりも説明的に穏やかに描いた実話ベースの物語です。
教科書に載っていそうだなと思いました。
戦争で悲しい思いをした飼い主と
無言のうちに犠牲になった動物たちが主役ですから
やっぱり涙は一筋も二筋も零れるんですけど
過度に扇情的ではないから冷静に受け止められる部分もあって
戦争をしないと決めた今の日本に生きるあたしたちの印象に
却って残りやすいのではないかなあ。
軍用犬のアルフとフリッツ。
献納された東亜。
必死になって逃がそうとしたサチマル。
他にもネコやカメなども出てきて
動物全般をこよなく愛する方にはすごく響くと思います。 -
この作品の主人公家族は比較的恵まれた環境で暮らしてるので、『火垂るの墓』より切羽詰った感じは少ないです。せやけど、さよ子の行動の一つ一つに胸を締め付けられた。こんな時代があった事を知ると、多少無責任な飼い主が減るかも知れないので動物を飼う前に是非読んでほしい作品です。さよ子に対する徳さんの気持ちは泣かせます。
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時は太平洋戦争末期。幼いさよ子のかわいがっていた二頭のシェパード犬が出征した。兵士と共に戦うため前線へ送られたのだ。悲しみに沈むさよ子。見かねた家族は、軍用犬にならずにすむ柴犬を飼い始めた。だがある日、飼い犬はお国のために献納すべし、と“供出命令”の通達が・・・。実話をもとに描かれた、戦渦の中の犬たちの知られざる物語。
目次
出征
別れの朝
思い出
供出命令
艦の中の東亜
犬たちの行方
多岐さんの秘密
二通の手紙
さよ子の決心
さよならサチマル
最後のひな祭り
炎の中から
犬がいた!
再出発 -
テレビのドラマで観ました。戦時中、軍用犬にならない犬までも集めて、兵隊さん用の毛皮を作ってたとは・・・(/ _ ; )
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戦時中の、ペットとして飼われていた犬の供出について、
実際に犬を供出した人の話をもとに書かれた本。
私が読んだのは文庫版ですが、もともとは
金の星社から出された児童書です。
事実を元に、ある一家族を追ったものなので
仕方ないのかなとも思いましたが、
終わりかたがやや唐突に感じられました。
でも、この本の話をしたら、やっぱりまわりも
「動物園の話はよくきくけど、ペットの犬まで
処分されたなんて知らなかった」という反応だったので、
こういう本はあるべきだと思うし、知ってほしいと思います。
(2009年11月24日購入) -
戦時下での実話。
軍用犬、犬の供出にびっくりしました。
戦争ではまともな判断、行動が出来ないと
改めて思いました。