檸檬のころ (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (283ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344409224

作品紹介・あらすじ

保健室登校の女友達とのぎこちない友情。同級生と馴染めない、音楽ライター志望の偏屈な女子に突然訪れた恋。大好きな彼とさよならすることになっても、どうしても行きたかった、東京-。山と田んぼに囲まれた田舎の高校を舞台に、「あの頃」のかっこ悪くて、情けなくて、でもかけがえのない瞬間を切ないまでに瑞々しく綴る、傑作青春小説。

感想・レビュー・書評

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  • 「成瀬は天下を取りに行く」の著者 宮島未奈さんが旧TwitterXで殿堂ゾーンとして本棚の一部を公開していました。豊島ミホさんの作品ばかりだったのでその中の1冊(20年程前の作品)を手に取ってみました。
    短編か?と思いきや、意外な所で繋がっていて「おっ!」と思わず声が出てしまう連作短編集です。著者が「底辺」だったという高校時代。底辺でもそこには人が存在していて必ず物語があります。そしてそこでは誰もが主役です。
    解説で「豊島ミホは、ふつうをかがやかせる達人」と称してましたが、この本を読みながら昔を思い出し、私も都合よく自分自身の記憶を改ざんして高校時代を輝いていた事にしておきました。
    リアルタイムで読んでみたかったと思いはしますが、その時代、読書よりも楽しい事が沢山あったので、この本を手に取った「今」がリアルタイムなんだろうなぁとこの歳になると思います。
    支離滅裂で申し訳ないですが、タイムスリップさせてくれる小説。またいつか再読する機会がありそうです。

  • 豊島ミホは自分でもあちこちに書いているように、決して幸せで楽しい充実した学生生活を送ったタイプの女子高生だったわけではなくて、どちらかというとその対極に位置するような、彼女自身の言い方をすれば「底辺」の女子高生だったわけだ。

    その彼女が紡ぎ出す物語はどれもこれも繊細でナイーブな登場人物がキレイでまるできらきらと結晶化しそうなくらい美しい。

    なんでこういう、高校時代にロクな思い出のない、友人の名もほとんど思い出せないような不遇な青春時代を送った者の琴線に触れるようなストーリを次から次へと作り出せるのかなぁ、と常々思っていたのだけれど、やはりそれは彼女自身の資質もさることながら、独特の「底辺」からあたりを見上げた高校時代の経験のたまものなのではないかなぁと最近思う。

    「痛いの」


    凄い!世界ってこんなにも熱いものだったんだ。


    こういう台詞、シチュエーションも含めてなんかもう宝物のように感じるね。
    彼女が創作活動をやめてしまっているのが本当に残念。

  • ままならない青春の日々。
    この傷ついた経験があれば先に進めるような気がする。

  • 「痛いの」(ルパンとレモン)

    どの文章を切り取ればいいのか分からないくらい、一文一文が刺さりすぎた「ルパンとレモン」。

    西と秋元との甘酸っぱい日々は、いつしか過去のものとなり、今や互いにとって「痛い」ものに変わっていた。
    この痛みと正面から向き合った西は、大好きな秋元が、既に両思いである友達の富蔵と、最高の形で付き合い始めるために、次の試合でホームランを打とうと心に決める。
    うん、かっこいい。かっこいいぞ、西。

  • 久しぶりに大好きな短編集に出会えた感じ。
    豊島ミホさんの描く何気ない田舎の風景、登場人物の心情、青春の1ページがキラキラと輝いていました。青春の思い出って、全てが全てハッピーエンドってわけじゃなく、どこかほろ苦かったりするまさに「檸檬のころ」。
    でもだから青春っていいのよなあ
    好きだったお話は「ルパンとレモン」、「ラブソング」。自分の青春時代と重ねて読んでしまって震えた…

  • 高校生の頃、教科書に載っていた「檸檬」という小説にちなんで、国語の先生が勧めてくれた本。

    高校生の独特の青くて尊い感じがいっぱい詰まった本で、東京に行っちゃうから彼と別れる話、何回も泣きながら読んだ。

    けどこれ、大学の図書館で見つけて読み返したら、あの時みたいに心が揺れなくて、ああこれが歳をとるってことか、とほろ苦くなった本。

  • 自分が高校生だったときのことを思い出しながら読んでいた。
    クラスの中心で、いつもみんなの笑いを起こしていたような男の子、飽きることなくずっと話し続けた女友達、嫌なことがあって学校に行くことがめんどくさかった日も通った通勤電車、あの頃抱えてたたくさんの葛藤…。
    今となっては全てが過去のことだけれど、この短編を読むと、いろいろあった私の青春時代もこんなふうにきらきら輝いていた日常だったんだなあと、過去が煌めいて見えた。
    それはつまり、自分の今の生活もきらきら輝く日常だということ。あの頃があったから今の自分がある。今自分のまわりにいる人たち、日常を形作ってくれているものたちに感謝の気持ちがわいた。
    今日も私の日常を大切に生きよう。

  • <保健室登校の女友達とのぎこちない友情。同級生と馴染めない、音楽ライター志望の偏屈な女子に突然訪れた恋。大好きな彼とさよならすることになっても、どうしても行きたかった、東京―。山と田んぼに囲まれた田舎の高校を舞台に、「あの頃」のかっこ悪くて、情けなくて、でもかけがえのない瞬間を切ないまでに瑞々しく綴る、傑作青春小説。 >「ふつうの人々の、ふつうの日々の、ふつうの感情と行為が、豊島ミホな作品のなかでは、きらきらとかがやく」解説より抜粋。「ふつう」だからこそわかる、そういう青春が描きだされているきらきら連作短編集。最初の話と音楽バカの恋の話が特に好きだったなあ。

  • 本当に檸檬の香りをかいだときのよな「つん」とくる、そんな感覚を感じました。

  • 最近短編オムニバス小説しか読んでないな、好きだからしゃーない
    高校生の純粋な恋愛って強いのに弱くて尊い
    自分の出身が田舎の自称進学校の北高だからちょっと親近感〜〜
    最後の話、遠距離恋愛が始まるやつ、めちゃくちゃ切なかった、続かないだろうけど好きって気持ちとか、なんかいろいろ思い出してちょっと泣けた、よかった

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著者プロフィール

2002年、新潮社「女による女のための『R-18』文学賞」で読者賞を受賞し、同年『青空チェリー』刊行でデビュー。著作に『檸檬のころ』『夜の朝顔』『リテイク・シックスティーン』などがある。

「2010年 『神田川デイズ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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