上と外 上 (幻冬舎文庫 お 7-9)

著者 :
  • 幻冬舎
3.73
  • (218)
  • (323)
  • (394)
  • (31)
  • (7)
本棚登録 : 3015
感想 : 210
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (447ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410190

作品紹介・あらすじ

両親の離婚で、別れて暮らす元家族が年一度、集う夏休み。中学生の練は妹・千華子、母とともに、考古学者の父がいる中米のG国までやってきた。密林と遺跡と軍事政権の国。すぐさま四人はクーデターに巻き込まれ、避難中のヘリから兄妹が落下、親子は離ればなれに!?疲労困憊でさまよう二人の身に、異変が…。息もつかせぬ面白さの新装版上巻。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 両親が離婚し、普段は離れて住んでいる練と妹の千華子は、年に1度の家族旅行でマヤの遺跡を見に行く途中、クーデターに遭遇し、ヘリコプターから放り出される。
    幸い怪我もなく、ジャングルのなかで力を合わせて生き延びようとしていたが、謎の地下の王国に引き込まれてしまう。

    一方、両親と父の同僚のミゲルは、子どもたちを助けに行くため、軟禁場所から抜け出す。

    両親とも離れ、中学生と小学生の兄妹が、ジャングルの中で限られた持ち物を使って生き延びること自体がすごいが、話の展開も早くて息つく暇がない。
    早く下巻を読みたい。

  • これは、素直に面白いです。まだ上巻を読み終えただけなので100%言い切れるものではないですが、とってもストレートなストーリー。直近で読んだのが理瀬シリーズや常野物語だったこともあって、こんなにストレートな作品も恩田さんなんだとビックリです。

    ただ、そうは言っても恩田さんです。作品途中までの時間軸を混ぜこぜにしたような展開はまるで時と踊っているかのようです。そして、一気に作品世界に我々を引き込んだ後は、エンタメ・アドベンチャーの世界がスピード感を持って展開しはじめました。ところどころ少々都合が良すぎるように感じられる部分もありますが、なんと言ってもこれは小説ですから、それも含めて楽しめばいいんです。

    それよりも登場人物の複雑な親子関係を背景に恩田さんの親と子に対する見方が垣間見える部分がそこかしこに出てくるところがとても興味深いです。
    一番印象に残ったのは「親は概ね子供を信用しているが、最後のところで信じていない。子供は普段の生活の細々としたところでは親のことを信用していないけれど、最後のところでは信じている。そのボタンの掛け違いが、お互いに不信感を生んでいることになかなか気付かない。」という父親の自問自答の箇所です。確かにそういう部分があるのかもしれない。だから、追い詰められた親が、また一方で最後のところで親に裏切られた子が、相手を殺めるような悲惨な事件がこの世から後を絶たないのかもしれない。親と子についてこういう見方もあるんだ、できるんだ、と。まさかこの本からこんなことを考えることになるとは思わなかったです。

    こうなってくると下巻もとても楽しみです。この期待がどうか裏切られませんようにと、マヤの神々にお祈りして続きを読みたいと思います。

  • クーデーターに巻き込まれて離れ離れになった家族。というあらすじからは、どんなストーリーか全然わからなかったけど、とにかく訳もわからないけど読み進んでいくと「王の息に触れるな」あたりからどんどん面白くなってきた!心配でずっとハラハラしてる。14歳にしては賢いな!と思ったり。回想による、おじいちゃんの言葉がすごく刺さる言葉が多くて恩田さんの言葉選びすきです。あと恩田さんの少年少女が主人公のお話しいいですよね。

  • 2000年に文庫6冊で書き下ろしされた作品を2007年上下巻にまとめた新装版。
    子どもの視点で書かれているので、子どもにも読みやすいでしょう。
    祖父と暮らす中学2年の練と、母と暮らす小学6年の妹・千華子。
    両親が離婚した後も、一家4人で年に一度は集まっていた。
    この夏休みも中米G国で発掘調査をしている考古学者の父・賢のもとへ。
    異様な緊張がただよっていたのは、母が恋人との再婚を決めていたから。
    しかし、クーデターに巻き込まれて事態は急転、子ども達はジャングルに放り出されてしまう?

  • ありふれた日常から非現実的な世界へと入っていった。今回は紛争、秘境的な所だが、日本人で海外にあまり出たことのない私からすると日常ではなかった。どのように下巻に続くのか気になって読み進めた。

  • ワクワク、ドキドキ 
    子供も好きそうだ

  • 離婚の末にバラバラになって暮らす家族の年に一回の行事である再会旅行。父親の勤務先であるG国で過ごす休暇中に家族でクーデターに巻き込まれる。クーデター発生時彼らはヘリで遺跡に向かう途中であったが、クーデター側と思しきパイロットに子供たちはヘリから密林へと落とされてしまう。

    上巻ではローティーンの兄妹たちが知恵を絞ってジャングルを生き抜く描写が中心。
    但しそこは恩田氏。生死がかかっているとはいえ、青春テイストがかおるのは「夜のピクニック」の作者ゆえか。訳あって異母兄妹である二人は、頼りがいがある爽やかなアウトドア系の兄と、新体操に打ち込む美しい妹として、わずかにお互いを異性として見ている雰囲気があります。仄かな恋の雰囲気を匂わすもキレイなままで終わるのがいかにも恩田流といってもよいのかもしれません。

    そのほか、上巻では残された大人たちがクーデターによる軟禁下から脱出し子供たちを創作に行くのがもう一つのシーンとして描かれます。
    ただ、より印象的でキャラ立ちしているのは日本の家族であり、主人公である錬の従兄、また彼らの祖父などが色々な伝手を使ってこの四人の安否を確認しようとする様は非常にエキサイティングでした。

    下巻ではまた流れが変わりますが、両編通じてまずまずの面白さだと思います。

  • 舞台は好み。マヤ遺跡とかワクワクする。
    地下迷宮とかも大好き。もっとスペクタクルでミステリー感あればいいな。ダビンチコードみたいな。

    森林サバイバルものかと思いきや、意外な展開。

  • 私の年齢ではこういうのをゲーム感覚というのかな、ということになる。
    変化に富んで、急展開でジェットコースタに乗っているごとく面白かったということ。

    あらすじは、夏休み、離婚した夫婦とその子供の兄妹がマヤ文明の遺跡のある土地で再会する。
    さて、無事に観光を終えて帰る前日、その国にクーデターが勃発、ジャングルをヘリコプターで飛んでいるうちに事故にも合い父親、母親と兄妹が離れ離れになってしまう。
    放り出された秘境のジャングル。
    果たして再会できるのか。生き残れるのか、冒険と、ゲームがが始まる。

    マヤ文明聞いたことはあるけれどよく知らないな(恥だが)と思わず世界史年表と地図帳を出して確かめた。あった、メキシコのそば、ユカタン半島、ティカル、王のピラミッド。G国らしき国。そのシティ。

    私の友人にそういういわゆる秘境が好きで選んで旅行している人がいるが、なにを好き好んででいく必要があるのか思う私。中国の桂林しか行ったことがない。桂林が秘境ならだが…。(川下りの船上はトイレの凄さとか食事に生臭さに辟易としたので、そうだったのだと思うのだが)

    そんな貧弱な経験に照らしていうのだが、そんなところ厭だなーと思う、さよう、主人公の兄妹「レン」(15歳)「チカ」(12歳)の二人も絶えず東京の、文明の便利さを懐かしんで慨嘆しては余儀なく冒険している。しかーし、様々な試練に立ち向かい兄妹は強くなっていくのだろうか?というところが物語り。

    ところどころ、恩田さんらしい書き込みがはいる、「じいちゃん」の人生哲学。
    その地の文が「恩田ワールド」と私は思う。

    自分のことにかまけている大人。大人って者は目配りが出来てこそ大人なんだよ。どうしようもない情けない父親のいつわらない姿。自分勝手なタイプの母千鶴子。悔いて行いを改めて変わっていけば普通なのだが、どっこい。(あれ、ネタバレでないよね)

    単行本の緑色っぽい表紙と中表紙の見開きのイラストがいい。読み進むとヒントになるから面白い。

  • 恩田陸さんの子供が主人公っていいですね。

全210件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

恩田陸の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×