- Amazon.co.jp ・本 (512ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344410206
作品紹介・あらすじ
千華子を人質にとられ練は、ニコと名乗る少年から危険なマヤの儀式への参加を強制された。それは生死をかけて争う苛酷なレース。刻一刻と過ぎる時間。制限時間まで残りわずか-。しかし、そのとき国全体をさらに揺るがすとんでもないことが起こった。神は二人を見捨てるのか。兄妹は再会できるのか。そして家族は?緊迫と感動の新装版下巻。
感想・レビュー・書評
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土日の二日間、家にこもって上下巻を一気に読み切りました。これでズッコケな内容だったら耐えきれない気分で月曜日を迎える羽目になっていたでしょうが、スッキリとした読後感。文庫本で1,000ページを超える文章量を制覇した達成感に乾杯!といった気分です。「そこに本があるから」と言った諦観の感慨がここにあります。
あとがきで恩田さんが書名を「上と下」と勘違いする人が後を絶たないと嘆いていらっしゃいますが、恐らく読んでらっしゃらない方だからだと思います。練と千華子のこの大冒険を共にした(と言っても自分は快適な環境で読書していただけでしたが)身としては、どう考えても「上と外」だと思いました。間違っても「下」じゃない。「下」なんて冗談じゃない。
下巻も上巻同様にスピード感が最後まで衰えることもなく物語は一気に進みましたが、上巻が緑一色だった世界が下巻では黒一色に変わり、同じ冒険・探検でも随分と感じられるものが違いました。その分、最後の最後まで飽きることなく楽しめたのだと思います。まあもちろん長かったということには違いなく、最後の方になって大団円が予感される雰囲気に舞台が展開しだすと、助かれ、助けてやってくれ、と必死に応援している自分がいました。ストレートな冒険もの作品として楽しませていただきました。
ところで、この長い作品中で一番恩田さんを感じられたのは下巻の最初の方、〈成人式〉を前にしての練の心の葛藤を描いた部分だと思いました。迫りくる時間の中、自らの居室で、ただただ、ああだこうだと、くどくどといつまでもいつまでも自問自答を続けます。こんな長編でこんなグダグダしたシーン、普通だったら単に読者に拷問を強いるだけだと思いますが、これぞ恩田さんの作品を読んでる感を半端なく感じさせてくれた名シーンだったと思いました。
また、長い作品が故に印象的な言葉も多々ありました。下巻では「人間は何にでも慣れるのだ。どんなひどいことにも。その時は最悪だと思っても、見方さえ変えれば最悪に底はない。」人が生きていく中で、場面によっては救いにもなる言葉だと思いました。
上巻に続いてちょっと出来過ぎかなと思えるシーンも多々ありましたが、逆に恩田さんの作品とは思えないくらいにモヤモヤ感が一切残らない読後感、実にスッキリ充実した気分を味わえた作品でした。こんな恩田さんの世界もいいものですね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
あっという間に読み終わりました。面白かった!ずっと辛いし、本当にぎりぎりまで過酷でハラハラしっぱなし。登場人物のぶつける感情で涙したのは久しぶりでした。過酷な環境の中で、若さならではの純粋さと、か弱さがなんとも読んでいて胸が苦しくなる。14歳にしては、賢いし運動能力も凄いのだけど、そこはフィクションとして楽しむ!また、シリーズで練とチカに冒険してほしい。(過酷な冒険になると思うけど)少し登場する家族のみんなも魅力的キャラクターでした。このような設定で読ませる恩田さんますます好きになりました。
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密林にヘリから落下した練と千華子兄妹。
マヤの遺跡を目指してサバイバルが始まる。
異様な轟音と巨大な人工の建築にぶつかり、どこからともなく現れた少年ニコに助けられるが…
ジャガーのいる地下洞窟での成人儀式への参加を強要される。
一方、火山の噴火も始まり…
どう広げるのだろうかと思っていたら、描ききりましたね〜映画のような大冒険活劇!
新生G国の登場と、家族それぞれの特技を生かした健闘、子どもが大人になっていく〜なかなか夢のある展開。 -
ずっとドキドキハラハラできる、「冒険小説」ってこういうのなんだ、というような本でした。
とにかく一秒でもはやくページを捲りたくなるような、面白い本です -
上巻ではこの先どうなるのだろうと謎めいた期待感があった。
下巻で一気に展開していくが、割と現実的に収束していった。
小中学生とは思えない利口な判断力と行動力に関心し、その根源は子供達のお爺さんの影響が強いようだ。
作中に出てくるお爺さんの教えが割と金言だなあと思った。
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少し時間が空いてからの下巻。
冒険小説として、かなり面白い作品。
最後の最後までハラハラさせられました。
高いところが余り得意でない私は、読んでいて本当に足がすくんでしまう様な感覚に。
しかしこの作家さんは幅が広い。
作品を読む度に違う印象が残る。 -
児童文学は、未来に希望を与えるものでなければならない、と言ったのは誰だったか。主人公は中学生だか、これは児童文学ではない。しかし、あり得ないような展開を読者を飽きさせない筆力とスピードで、一気にラストまで持っていく、そして、読後に残るのは
、登場人物たちの鮮烈な印象と明るい力に満ちた未来。ところで、タイトルの意味は何かな、筆者あとがきまで読んでも分からない。 -
数年後の連とニコのやりとりをもっとみたい気もした。壮大でハラハラドキドキの展開に読むスピードが上がったし、遭難したら役立ちそうなことも書かれていて、そこも実用的で読んでいて楽しかった。