てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410794

感想・レビュー・書評

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  • てるてる あした。 きょうはないても あしたはわらう。

    こんな親も居るのだろう。
    負けず嫌いで強がりで、誰かを愛して、愛されたくて仕方ない女の子の話だ。

    親も間違いなく人間であり、大人ではなく、子どもが成長した姿である。
    最後、母親に向けて言った台詞に、母親までも救ってしまう成長が見える。

    『ささらさや』の姉妹編の話である。
    サヤさんはじめ、おなじみの顔ぶれも、新たな佐々良の町の人々も登場する。

    不思議なことが起きても不思議ではない町。
    この町で暮らしたらきっと、お姫様みたいなオルゴールの中に入れるモノが見つかるのだろう。

    てるてるあした。きょうはないても…

  • 久代さんの言葉「本はいいよ。特に、どうしようもなく哀しくて泣きたくなったようなとき、本の中で登場人物の誰かが泣いてたりすると、ほっとするんだ。ああ、ここにも哀しみを抱えた人がいるってね。・・・・・・・・泣きたくなるようなことがあったら試してごらんよ。長い人生、そんな気分になることだっていっぱいあるだろうからね。」
    私が読書したくなる時ってこういう理由からなのかも・・とハッとした言葉でした。

    「親の夜逃げのため、ひとり「佐々良」という町を訪れた中学生の照代。そこで彼女が一緒に暮らすことになったのは、おせっかいなお婆さん久代だった。久代は口うるさく家事や作法を教えるが、わがまま放題の照代は心を開かない。そんなある日、彼女の元に差出人不明のメールが届き始める。その謎が解ける時、照代を包む温かい真実が明らかになる。

  • 「いつだって私は、人や物事の、ほんの一面しか見ていなかった。どんな人間にだってー自分自身にだって、思いもよらない部分が隠されているのかもしれない。」
    最後の照代の言葉が胸に響いた。

  • 「ささらさや」の続編というか姉妹編かな。
    ご主人の幽霊がいなくなってもサヤさんとユウ坊はささらの町で無事に暮らしているみたいね。
    そこへ3婆のひとり・久代さんの家に遠い親類の子という照代が転がり込んだところから始まるお話。
    相変わらずささらでは女の子の幽霊が出たり差出人不明のメールが届いたり不思議な出来事が起こる中、ダメな親のせいでささくれ立っていた照代が、町の人たちのお陰で素直さを取り戻すいい話。
    ただ、照代の母親がどうしてダメになったのかは分かったが、どうして今もああなのかが分からず。
    死ぬ時は久代さんのように人に迷惑を掛けないようにして死にたい。

  • 心に残るフレーズが散りばめられてた。
    ハッとすることも多く、自分の性格に落ち込みながらも、素直にまっすぐ成長していく照ちゃんと、厳格に一本太い柱を持った久代さんとそれを取り巻く人々。
    正直、両親にはイライラさせられること然りだけど、それも受け入れて、ちょっと達観していて、凄く面白かった。
    ので、残り2冊も一気買いです。

  • ささらさやの続編。
    さやがちゃんとお母さんやっててよかったって思っちゃった。
    今回もやっぱり、ほっこりあったかくなるような話。
    てるちゃん、幸せになってほしいなって、、
    で、てるちゃんが結婚してちゃんとお母さんになってるって続編書いてほしいな~♪

  • ささらさやの続編。主人公は不幸な星の下に生まれ育った15歳の照代。夜逃げ同然で久代さん宅に身を寄せて、たくましく生き抜く話。もちろんサヤにユウ坊、エリカにダイヤ、おばあちゃんズも再登場。でもスポットは久代、照代の2大ヒロイン。

  • 後書きにも書かれている通り、泣ける小説でした。加納朋子さんの作品は初めてでしたがふんわりと泣ける、人情深いファンタジーでした。最近はなかなかなく機会も少なくなっているので久しぶりにじんわり泣きたい人にもおすすめです。他の作品も読んでみたくなりました。

  • 「ささらさや」に続く「ささらシリーズ」第2作目で、2006年に黒川智花×木村多江でドラマ化されてます。私的には前作の、優しく温かいささらの雰囲気をまた楽しめると期待して手に取りました。でも両親の借金による夜逃げでささら村に来る事になった今作の主人公照代の境遇のせいで、棘のある世界観になっていました。感動する場面もありますが、序盤から中盤にかけて照代の自己中の荒波に圧倒され、心温まったのは最後のほんの一瞬でした。もっと違う目線でサヤさん達に会いたかったな。

  • あたたかくて少し笑える話が読みたかったので、ぴったりでした。むくれていた照代ちゃんが働きはじめて成長する姿に、千と千尋の神隠しを思い出したような。コンプレックスだらけの照代ちゃんが周りのひと全てに嫉妬するような気持ち、すごく共感できた。カツ丼がほんとうにおいしそうで泣けた。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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