てるてるあした (幻冬舎文庫 か 11-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (377ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344410794

感想・レビュー・書評

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  • 美人だけど経済観念の無い母、車好きの父親を持つ一人娘の照代。

    念願の志望校に合格し、晴れて高校生になるはずだった彼女は、
    親の夜逃げのために「佐々良」という見知らぬ町に一人降り立った。

    母親の言っていた久代さんを頼って、不本意ながらもこの町で暮らすことになる。

    そこで出会う人々みんなに不満を抱く照代だが、取り巻く人々とのやり取りを通して、
    母と久代の過去を知り、また自分自身のあり方を見つめていく。



    とても読みやすかったです。
    念願の高校に受かったものの進学できず、
    全く見知らぬ街で働かないといけない中学生、という設定が珍しいなあと思いました。

    社会の厳しさや大人の優しさに出会うことで、中学生らしさで自分を守ってきた照代の徐々に成長していく様子がとても丁寧に描かれていて面白かったです。

    主人公が中学生ということもあり、読書感想文に推薦したい一冊です。

  • 他の人のレビューを見てこれが2作目だと知った(笑)
    親の借金が原因で合格した高校に行けず、1人で夜逃げすることになった照代。夜逃げ先として母から指示されたのは佐々良という田舎町。

    なにもかも正しい久代さん。自分にも厳しく他人にも厳しい。でもそれが一番照代にとって大切なんだなぁと思う。そうやって過ごすのはとても難しいけれど。

  • 加納朋子さんを知ったのは友人から勧められた「モノレールねこ」という一冊の短編集がきっかけ。それから何冊か手に取ることがあったが、本作も人と人の何気のないつながりがなんとも心を温かくしてくれる。まるで自分もその世界に携わっているかのように。
    一人の人生、一人の命、自分と関係ないとするならばいくらでもさらりと流れていってしまうものだけれども、一度つながりを持つとこんなにも大きなものになるんだと、当然のことを改めて実感。
    かいせつにあった「ささらさや」も近々読んでみる。

  • 感動した思い出深い作品です。

    【紙の本】金城学院大学図書館の検索はこちら↓
    https://opc.kinjo-u.ac.jp/

  • 好きな作家のひとり、加納朋子さんの作品。加納さんを知ったのはこの作品のシリーズ1作目、『ささら さら』。佐々良の町で起こる不思議なこととそこで生きる人たち。今作は三婆のひとり久代さんのところを女の子が訪ねてくるところから始まる。名前に秘められた思いと届いた謎のメール、そして出会いと別れ・・・。この作品も泣けます。

  • 『はるひのの、はる』を読んで また読み返したくて読んでみたら 最初に読んだ時よりも 佐々良の人々のやさしさや思いやりなどがじんわりと沁みる 素晴らしい物語なんだと思いました。癒されます!

  • 高校に合格したのに、親が入学金振り込めなくて行けなくなり、さらに夜逃げされて一人会ったこともない遠い親戚に預けられる…って、こんな親マジでないわー、と年甲斐もなく主人公の両親にムカつきまくり。

    後半、過去の境遇だったりで母親の方には多少同情してもいいんじゃない?的エピソードが出てきましたが、私には無理です。自分の親だったら「一生泣いてろ!」と外に放り出しちゃうと思います。こいつのせいで、照代も久代さんも辛い思いしてきたんだからね。

    そこを許すというか「ママの、ママになってあげる」といえる主人公はすげーわ。最初は自分の不幸さ加減から世の中に当たっているようなところも感じられましたが、佐々良の人たちとの関わりが彼女を成長させたんでしょうか。クライマックスの主人公の行動には、共感はしませんでしたが少し感動しました。

    全体的にほっこりした心温まるお話。ただ、主人公の境遇が少し前に読んだ「優しいおとな」に近い印象もあって、ろくでなしの大人(本作では両親)に対する嫌な気分も同時に抱えることに。ほっこり8割、苛つき2割、という感じの読後感でした。

  • 知らずに手にしたのですが、「ささらさや」の続編でした。
    主人公は、さやさんではなく、新しい女の子が登場してきますが。
    いやー・・・なんか、いろいろよかったです。逆境に負けずに、強く生きることを押し付けずに教えてくれる・・・久代さん、好きだなぁ・・・。
    ラストは、まさかの・・・涙、涙です。。。

    もちろん、他のふたりをあわせた三婆も好きなので、今後も続編、期待しちゃいます♪

  • 昔、ドラマ化した作品。最後が思い出せず、思わず購入。
    夜逃げ同然で、ささらと言う町に逃げてきた照代。そこで厄介になる久代お婆さん。昔、厳しい学校の先生と言うこともあり現代子の照代とは考えがあわないが、徐々に心を通わせる。そこに幽霊も現れて。。

    自分の失敗や境遇を自分以外のせいにするのは、簡単だと思うし、簡単にそれに流されてしまう。子供に限らず、大人にだってそんな人はたくさんいる。「正しいことは優しくない」と言う台詞がある。逆に言えば、正しくないことは楽なことだとも言える。照代が、苦難の道に陥って、初めて人と向き合わなきゃいけなくなる。楽な道とは、自分と気が合う人ばかりと付き合い、同じ価値観を共有することだと思いました。それは、何か間違いがあった時に、間違いに気付かないこともあるかもしれない。最悪は戦争かな。違う価値観の人と付き合うことは、嫌な思いもするかもしれないけど、正しい考えの幅や思いやりの心を育てることになるのかも。最後まで読んで成長した照代にそんな感想を持ちました。

    久代と照代のふたりがお互いを不器用ながらに思いやる姿が悲しい。最後に、母と仲直りが出来たようで良かった!

  • サヤは相変わらず頼りない感じやけど成長してたし、ユウ坊も大きくなってた。今、表紙のユウ坊に気づいた。やっぱり、まだまだ小さいな(笑) 裏表紙には「わがまま放題の照代」と書いてるが、1話目で出された食べ物を残すのが失礼やと感じたぐらいで、1話目以外は中学卒業したばかりで、この状況なら素直な方やと思った。 涙が流れるまでは行かなかったが、胸が熱くなった。ダイヤも優しいなぁ。

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著者プロフィール

1966年福岡県生まれ。’92年『ななつのこ』で第3回鮎川哲也賞を受賞して作家デビュー。’95年に『ガラスの麒麟』で第48回日本推理作家協会賞(短編および連作短編集部門)、2008年『レインレイン・ボウ』で第1回京都水無月大賞を受賞。著書に『掌の中の小鳥』『ささら さや』『モノレールねこ』『ぐるぐる猿と歌う鳥』『少年少女飛行倶楽部』『七人の敵がいる』『トオリヌケ キンシ』『カーテンコール!』『いつかの岸辺に跳ねていく』『二百十番館にようこそ』などがある。

「2021年 『ガラスの麒麟 新装版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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