代筆屋 (幻冬舎文庫 つ 1-7)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 856
感想 : 103
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344411128

作品紹介・あらすじ

何かを待つ、というのは大事なことだ。待っているものが来ると信じているあいだは、不思議なほどに力が湧く。手紙を待つ、という行為には生きる希望が潜んでいる。手紙を書くことには力がいるが、手紙によって勇気が生まれる。私はその力を信じてみたかった-。手紙の代筆で人助けをする、売れない作家の日々。人生観を変えるハートフルストーリー。

感想・レビュー・書評

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  • 筆者が代筆した手紙にまつわるエピソードと実際の手紙が書かれた短編集。

    第八章「八十八歳のわたしより」が、心に残りました。米寿を迎えたばかりの老婆が、65年連れ添った90歳の夫と離婚するための手紙を依頼してくるというお話。

    代筆のためには65年分の記憶のインプットが必要ということで、筆者のヒアリングがスタートするのですが、思い出を振り返るうちに老婆の心境に変化が。離婚ではなく、これからの2人についての内容の手紙になる、というストーリーでした。

    怒りとか欲望みたいな強い感情って、一瞬で自分を支配してしまうものです。でも、表面的な感情の後ろにある、本心とか、信念みたいなものって、言語化、それも目に見える形で書くという行為を伴わないと、なかなか自分でも認識出来ないものなんじゃないかなと、思いました。
    手紙って、相手に向けて書くものと思っていましたが、最終的には自分と対話することになるのですね。

    普段読書や作品を観る、聞き役にまわるというような、インプットしかしない自分ではありますが、手紙を書くということをしてみたくなりました。

    便箋買お。

  • よかった

  • 優しい気持ちにさせてくれる物語だ。
    日頃から辻仁成さんのツイートを読んでいるが、その人柄がよく出た短編集だった。

  • #代筆屋 #読了

    読んだのは小説だったのか、手紙だったのか。

    今となってはLINEが普及し一文毎、或いは単語毎で気持ちを伝えられるが、だからこそ手紙の一文一通は相手の心の奥まで届きやすくなっていると思う。

    手紙の良さ、小説のよさ、どちらも感じられる話だった。

    #読書
    #辻仁成

  • 手紙を普段書かない。
    だって手紙を書くのがめんどくさい。
    LINEで済むやん。Twitterでいいやん。
    違った。
    手紙が1番気持ち伝わるよね。
    自分も手紙書こうってなった。

  • 2話くらいまでは面白かったが、後半は手紙が長くてやや飽きた。

  • 手紙を書きたくなるし、もらいたくなる
    話とは関係ないけど、まえがきとあとがき部分が好き

  • 売れない小説家が手紙の代筆をすることで
    人助けをするというストーリーです。
    これは辻さんの実話なのでしょうか。
    それとも全くの作り話なのでしょうか。

    代筆された手紙の一つ一つが素晴らしく、
    こんな素敵な手紙を書ける人はそうそう
    いないのではなかろうかと思います。
    代筆していることを気付かれてはいけないと
    言いますが、本当に気付かれない?と
    心配になってくるぐらい素敵な手紙の数々。

    手紙とは結局「人」なのですね。
    その人そのもの。
    生きているその人自身。
    そう思うと時間や手間隙が掛かるのも
    納得できます。
    機械で大量生産することなどできません。
    そういう類のものであることがつくづく
    よくわかります。

    代筆するものは圧倒的に恋文が多いのですが、
    私が特に印象に残っている手紙は、
    90歳の夫への手紙でした。
    最初は別れを告げる手紙でした。
    この手紙を代筆するにあたり、代筆屋は依頼人に
    夫婦が過ごしてきた日々について語らせます。
    それはカウンセリングをしているような
    効果をもたらします。
    代筆屋も話を聞くと同時に依頼人の気持ちの機微に
    敏感に反応し、書き上げた手紙のなんと見事なこと!

    私はしょっちゅう手紙を書いていますが、
    子供の頃から小説のような手紙を書きたいと
    ずっと思っているのにできた試しがありませんでした。
    それがどうしてなのか、辻さんの手紙を読んで
    分かったような気がします。
    改善の余地あり。
    それがこの本を読んだ一番の収穫かもしれません。

    この小説を読んで、手紙というものの特性や価値、
    面白さ、素晴らしさを再認識できたことは
    言うまでもありません。
    手紙の良さがいまいちわからないという人へ
    おすすめしたい本です。

  • 内心、文章が拙くても字が下手でも代筆させちゃいかんだろ…と思って読み進める。手紙によって生まれる勇気や愛情があるなら尚更ね。でも第10章の手紙のやりとりには…切なくなりましたね。しかし、私も手紙は全然書いてないなぁ…

  • 参考になります。本当に手紙は相手に伝わるかな。作文力と読解力の双方が揃わなければなりませんね。実際、手紙を書くのは難しいです。

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著者プロフィール

東京生まれ。1989年「ピアニシモ」で第13回すばる文学賞を受賞。以後、作家、ミュージシャン、映画監督など幅広いジャンルで活躍している。97年「海峡の光」で第116回芥川賞、99年『白仏』の仏語版「Le Bouddha blanc」でフランスの代表的な文学賞であるフェミナ賞の外国小説賞を日本人として初めて受賞。『十年後の恋』『真夜中の子供』『なぜ、生きているのかと考えてみるのが今かもしれない』『父 Mon Pere』他、著書多数。近刊に『父ちゃんの料理教室』『ちょっと方向を変えてみる 七転び八起きのぼくから154のエール』『パリの"食べる"スープ 一皿で幸せになれる!』がある。パリ在住。


「2022年 『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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