反転: 闇社会の守護神と呼ばれて (幻冬舎アウトロー文庫 O 90-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (574ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344411524

感想・レビュー・書評

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  • これ、大傑作。ノンフィクションとしては最近読んだ中ではダントツ。著者は弁護士の先生、元検察官(所謂ヤメ検の方)なのだが、バブル時代に関わりのあった、ヤクザ、仕手筋、政治家等ありとあらゆるいかがわしい方々が総出演する。

    検察の実態を知るのにもいい本。最近の安直な検察批判とはちとちがう。権力とはもっと重層的な構造から成り立っているのがよくわかる。

  • この田中森一は、私は好きな人間に入るな。
    長崎県平戸での貧しい生活。
    そして、向上心を忘れずに、学ぶ。
    その時々の判断が的確で、集中力もある。
    政治家になりたいと思っていたが、
    司法試験を受けることを目指し、受かる。
    裁判官になりたかったが、ひょんなところから、
    検事になることに。
    検事という組織の中で、自分の仕事にあっていると邁進する。
    数々の成果を上げることになる。
    天からの声や上からの圧力などの
    検事という組織の不具合を感じて、飛び出し弁護士となる。
    6000万かけた事務所オープンに、ご祝儀だけで6000万円集まる。
    そこからは、バブル弁護士として、お金が流れ込む。
    仕事のルールは、トップと話ができること。
    仕手戦のトップやヤクザのトップ(宅見若頭)や
    安倍派清和会の顧問弁護士などをする。
    お金の使い方や人への接し方を学ぶ。
    人を見て、人に対応することで、人間関係を作り上げていく。
    その人のための正義を考え抜くことで、切り開かれていく。
    闇の守護神と言われて、結局 詐欺師として逮捕されてしまう。
    多分、人生に悔いはないだろうな。

  • 2008-06-17

    よくこれだけ覚えていて,これだけの分量が書けるなあ・・.

    と,そんなところで感心した.

    元々,大阪地検,東京の特捜にいながら,検察と行政の闇な関係に腹をたて,検察を飛び出す.つまり,検察が好きであった故に,
    検察をやめたタイプ.

    弁護士になってからはバブルという時代と,本人の非常に貧乏な少年時代に形成されたところの人格も手伝って,
    バブル紳士とのつきあいを深め.イトマン事件など許永中らに関わっていくことになる.さらに山口組組長との仲も深い.

    刑事事件オンリーで民事はやらないが故に,弁護するのは犯罪を犯したものばかり.

    じょじょにそういう世界の人たちとの関係も深く.

    バブルという時代も手伝って本人もバブっていく.



    本人は法は犯していないとずっとおもっていたが,最終的には検察(もと先輩)にねらわれ針の穴に糸を通すように立件され,
    逮捕されてしまう.

    その係争のなかで執筆された本だ.



    相当,ぶっちゃけて書いているので,かなりおもしろい.

    ほんと,「安倍晋太郎」だとか「福田パパ」だとかがどんどんでてくるので,やたらスゲー話です.

    バブルの時代の仕手の話にからんで,村上,堀江らへの言及もすこしあった.



    法治国家のバランスというのは非常に微妙なラインで保たれているのだなあ.と,真に思う.

  • とても読みごたえがありました。

    田中氏は政財界やアウトロー社会のたくさんの人々に慕われた。
    最終的には人間関係に恵まれたかどうかだが
    器の大きいひとにはカネもヒトも群がるのだろう。

    石橋産業事件で捕まってしまい地獄を味わうものの
    人生はサクセスストーリーそのもの。

    幼少時代は父親から勉学に勤しむのを反対されても
    どうしても自分の未来を築くための智恵には驚かされた。スゴイ!

    最終ページにコラムニストの中森明夫氏が解説しているが
    私も同感な部分が多かった。

  • 知らない世界で刺激的でした。忘れられない一冊。

  • 第26回アワヒニビブリオバトル「えん」で発表された本です。
    2017.06.06

  • 検事と弁護士の両方の立場から司法に関わり、しかも裏社会からの信頼厚く生きてこられた方の自伝。バブル期とその崩壊のインパクトはすごいものがあったんだなぁ、とか、人間の欲望が底知れなさ、とか、様々な人の生き様、とか、書かれてから15年過ぎていますが、読み終わってもなんだか諸々モヤモヤしてキモチをうまく整理できないでいる本です。

  • 1審懲役3年、2審無罪

  • 「ヤメ検」の実態を知りたくて読んだが、まだ記憶に鮮明なバブル期前後の政財界の闇を赤裸々に振り返ってくれる。事件に明るくもないので、ここに改めてその概要を知ったし、関わった人物たちも一部の政治家やフィクサーのほかは初めて知った。すべて実名なのでほぼ真実だとするならば、国を動かす表裏社会の実態は小説以上な異次元にある。巨額なカネをめぐる様々な人間模様は呆れつつも有りとして、検察組織のありようについては知るほどに憤りが増す。正義を貫徹する志が高いほどにくじかれる検事の心情も分かる。それでもって闇の守護神に転身することの是非は、どうだろう。

  • 日本社会の表と裏、政財官の実態と暗部を垣間見れる本。政治家が検察の捜査に圧力をかけたり、政治家が裏社会との繋がりの中で資金を作ったり。

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著者プロフィール

田中森一(たなか・もりかず)

 1943年、長崎県に生まれる。岡山大学法文学部在学中に司法試験に合格。1971年、検事任官。大阪地検特捜部などを経たあと、東京地検特捜部で、撚糸工連汚職、平和相互銀行不正融資事件、三菱重工CB事件などを担当。その辣腕ぶりが「伝説」となり、名声を博す。1987年、弁護士に転身。2000年、石橋産業事件をめぐる詐欺容疑で東京地検に逮捕、起訴され、無罪を主張するも実刑が確定。4年8ヵ月の獄中生活を経て、2012年11月に出所。
 著書には30万部のベストセラーになった『反転 闇社会の守護神と呼ばれて』、共著に『検察を支配する「悪魔」』などがある。

「2013年 『塀のなかで悟った論語 現代人を癒す24の答え』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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