そこにいる人 (幻冬舎文庫 や 10-4)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 93
感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (173ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344412651

作品紹介・あらすじ

初めての恋めいた体験に胸をときめかせる大学一年生の直子。だが、彼女には姉・幸恵の存在が重くのしかかっていた。幸恵は肝臓に欠陥があり、長く患っているのだ。ある時、直子の不注意から姉の病状は悪化し、肝臓移植の必要に迫られる。自分の肝臓を提供すべきなのか、悩む直子がついに決断をした時…。「命」を見つめる感動の物語。

感想・レビュー・書評

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  •  病気の姉を抱える妹の視点から、家族・友人らを捉え、自分の内面に昇華していく過程を描いた作品。家族だからこそ、お互いの内面がよく分からない状態に身を置くことになるのがよく分かる。働いている父親が、家庭から逃げているように見えたり、何でも世話してしまう母親が、ただ甘やかしているだけに見えてしまったり、病気で行動の自由がきかない姉が、家や病院を抜け出すことをただの我儘と捉えたり、そこにどんな思いがあるのかなんて自分の主観でしか捉えていないので全く想像しない。
     感動作というよりは、テーマも重く沈み込むように感じる。

  • 病気の姉に親の愛情を独占される胸糞な話かと思ったらちがった。だれが姉に肝臓を移植するのかをめぐる、心の動きの描写が生々しい。文体や台詞は少しくどめだが、感情表現がみずみずしく古くならない。「そこにいる人」というタイトルが、何もできない病気の姉のことなのか、姉のスペアかもしれない主人公のことなのか、ひっそり主人公を支える谷村のことなのか…。

  • 救いようのない結末。
    こんな終わり方しかなかったのかな。

  • 病気を患う姉への思いや姉中心の生活を送る家族への複雑な思いを描いた作品。切ないな、つらいよな、とは思うが、なんだろ、けっこうあっさり読んでしまったな。

  • 自分は病気の姉のスペアなのではないかと思うって悲しい。妹である自分が生まれた時から存在する姉はいつも両親の愛を一心に受けていたように思える。しかし、姉にも普通に暮らしたいという思いはある。一緒に暮らしていても心のなかまで思いやるって難しい。ぶつかったり喧嘩したりしながら分かり合っていくのかも。

  • 肝臓に欠陥がある姉、幸恵。その妹の直子。両親の愛情は幸恵へ、でも自由もなければ青春も謳歌できない。肝臓移植の必要に迫られ自分のを提供すべきか悩む直子。それぞれがそれぞれの立場なりに歯痒い…

  • 内容は主人公である直子は家事にうんざりしていた。それは病気を患っている姉を母が世話をしていたからである。両親ともに姉を溺愛していたため直子は嫉妬していた。しかし突然、姉の容態は悪化し移植を考えなければいけなくなった。という感じです。人間の主観の相違というのは怖いですね。私には兄も姉もいます。少しは家族として性格などを理解しているつもりでしたが、自分を理解しているのは自分なんだと思いました。家族との在り方を学んだ気がします。ちょっと私には辛いお話でした。

  • すごい短かったけど、よかった。羨みは憎しみには変わらないってのが印象に残った。めでたしな終わり方じゃないけど、好き。

  • 女子大学生とその家族、友人の話。
    とんとんと話がすすむ。

  • 09.04.27〜09.04.28読了

  • 09/03/14読了 重い題材を身近に感じられるように書いている印象。でも・・・という感じ。

  • 2009/2/13 7&yから届く。
    2016/3/14〜3/15

    7年ものの積読本にして2年半ぶりの矢口作品。
    家族の関係について鋭いメスを入れる矢口作品。今回は肝臓移植を待つ姉と健康体に産まれた妹。お互いの孤独を描く。切ないながらも、最後のシーンに一抹の希望。

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