晴れた日は巨大仏を見に (幻冬舎文庫 み 10-3)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344413801

感想・レビュー・書評

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  • いやぁ、楽しい!
    数年前に本屋さんで巨大仏の写真集を見つけてから、巨大仏のことがずっと気になっていた。
    この本で取り上げられているのは40メートル以上の巨大仏。
    どうやらウルトラマンより大きいらしい。
    奈良の大仏は高さ15メートルとのこと。
    私が愛してやまない鎌倉の大仏は奈良の大仏よりも小さいはずだから、40メートルとはやはりかなりの大きさだ。
    そして、最初に訪れる牛久大仏は高さ120メートルとのこと。
    数字だけで圧倒されてしまう。

    巨大仏の旅は、著者の宮田珠己さんと編集者さんとの珍道中。
    同じものを見ていても、感動するポイントが違うのがなんとも楽しい。
    巨大仏の胎内のしょぼさに対するツッコミにニヤリとし、周辺施設の強引さに爆笑。
    愛のあるツッコミって心地よい。

    でもこの本の1番すごいところは、巨大仏に惹かれる理由についてきっちり考察しているところだと思う。
    少しオーバーなのではないか、と思うところもなくはなかったが、全体的には納得した。

    駅には必ず巨大仏が1体いるのが当たり前な世の中だったら、巨大仏にこんなに惹かれることはないかもしれない。
    巨大仏が街中で浮いていると感じるのは、普通の街並みの絵が頭にすり込まれているからなんだろう。
    でも、それでも、希少性とは別の魅力を巨大仏に感じるだろうか。
    そうなった時に感じる魅力こそ、巨大仏に惹かれる本当の理由なんじゃないかと思う。

    私の家から1番近い巨大仏は東京湾観音だと思われる。
    東京湾観音は巨大仏ファンの面々の評価も高かったので、かなり気になる。
    まだあるなら見に行きたいなぁ‥。

    • vilureefさん
      こんにちは。

      巨大仏には観音様も含まれるのですね♩
      私は大船観音を初めて見た時に、駅の景色に突如現れる姿にビビりました。
      巨大仏を見るには...
      こんにちは。

      巨大仏には観音様も含まれるのですね♩
      私は大船観音を初めて見た時に、駅の景色に突如現れる姿にビビりました。
      巨大仏を見るにはどうやら心の準備が要るようです(笑)

      牛久大仏、気になります。
      想像を超えてます・・・
      2013/06/04
    • takanatsuさん
      vilureefさん、コメントありがとうございます!
      大船観音!私も電車の中から発見して我が目を疑いました(笑)
      不思議なのは何回も同じ電車...
      vilureefさん、コメントありがとうございます!
      大船観音!私も電車の中から発見して我が目を疑いました(笑)
      不思議なのは何回も同じ電車に乗っていたのにずっと気付かなかったことです。
      それまで景色と同化していたのに、1度認識してしまうとそれからはずっと異物のままなんですよね。
      「巨大仏を見るにはどうやら心の準備が要るようです(笑)」
      同感です(笑)
      でもあの驚きもクセになりませんか?
      「牛久大仏、気になります。
      想像を超えてます・・・」
      はい。本で見ただけでもすごそうです。
      機会があればぜひ♪
      2013/06/04
  • タマキングが全国の巨大仏を訪問するエッセイである。

    最初のうちは笑いながら読んでいた。エキセントリックな同行者である袖山さんと和久田さんへのツッコミや、訪問する場所のズレた感じが面白くて。しかしその笑いの中に「ほお」という感心のようなものがところどころ混じる。柄谷行人さんの『坂口安吾と中上健次』のような本の記述をもとにして、巨大仏の不可思議さについてタマキングが少しマジメに説明を加えていく。そして、最後のページにたどり着くに従って、よくわからないけどなんだかほとんど感動していた。たぶんこれからもタマキングの本を読んでいくだろうと思った。

    感動した理由は、巨大仏を見る側の心理についてのタマキングの考察だ。名所などを訪れる時、おそらく私もタマキング的な視点がかなり混じっているような気がする。そして、どうしてそのような視点を持ってしまうのか、ということまでタマキングが書いてくれているのだ。普段、おぼろげに感じていたことが言語化されている、という意外な驚きが、感動につながっている。穿った見方でしか風景を見られない私に「それでいいよ」って言ってくれている気がした。

    そして、この本のいいところは、そんな鋭い考察を含みながら、ユーモアの比率が高く読む側を飽きさせないことだ。とても配慮の行きとどいた本だと思う。10年先に再び読んでも、面白く読めるような気がする。

    と、カタイことを書いてしまったが、基本は笑える本である。肩の力を抜きたいときにどうぞ。

    • takanatsuさん
      花鳥風月さん、こんにちは。
      この本とっても面白そうですね。
      巨大仏を集めた写真集を見て全国各地に巨大仏があることを知り、とても興味を持ってい...
      花鳥風月さん、こんにちは。
      この本とっても面白そうですね。
      巨大仏を集めた写真集を見て全国各地に巨大仏があることを知り、とても興味を持っていました。
      見慣れない人には違和感があっても、近くで生活している人達にはなんてことない風景の一つなのかなと思うと不思議な気持ちになります。
      「巨大仏を見る側の心理についてのタマキングの考察だ。」
      花鳥風月さんが感動した考察、とても気になります。
      2013/02/12
    • 花鳥風月さん
      takanatsuさん こんにちは

      この本とても面白いですよ! もともとは他の方のレビューで教えてもらったものです。

      なんていうんですか...
      takanatsuさん こんにちは

      この本とても面白いですよ! もともとは他の方のレビューで教えてもらったものです。

      なんていうんですかね…
      ガイドブックとかに載っているような名所とか観光地って私はあまり惹かれないのです。なんかこう感動を強いられるような気がしてですね…(ひねくれものなんですね)

      そんな感じなので、巨大仏みたいなツッコミ所満載なちょっとダメなところもあるものがいいんです。「そういう楽しみ方があってもいいよね」という気持ちになるのでこういう本が好きなんです。

      そういえばこの本にも出てくる太陽の塔(もはや大きいだけなんですが)の近所に実家がありますが、幼い頃から見慣れているのでなんてことない風景と化しているかも…
      2013/02/12
  • 小学校の修学旅行で京都に行った時、
    夜旅館に向かって歩く道の先に
    ボーッとめちゃくちゃ大きい観音様の顔が浮き上がり、
    衝撃を受けて以来ずっと気になる存在であった。
    大人になってから、あれは霊山観音で
    実は奈良の大仏のように座っていて、
    24mと巨大仏の中でもそんなに大きくもない
    という事を知るのだが、
    子供心にかなりのインパクトを与えた巨大仏だった。

    そんな霊山観音より明らかに巨大な観音様や
    仏様が日本中にわんさといるらしい。
    というのも、私は存在は知っていても
    実際見た事があるのは霊山観音と
    壺阪寺の観音石像(20m)や涅槃仏(8m)くらいだから。
    この本に出てくる巨大仏、特に牛久大仏(120m!)は
    是非是非見に行ってみたいな!

    巨大仏に限らず、巨大な物を見ると
    背中がゾワゾワする。
    恐怖とは違う何か。
    あれは宮田さんが言うところの
    「ぬっ」と現れる違和感なのかもしれない。

  • ふむ

  • 日本全国にある高さ40m以上の大仏(=観音)を訪ね歩く、という趣旨の紀行エッセイだ。
    文庫になる前の単行本の刊行が2004年で、2023年の今読むと、勝手に廃墟に侵入した話が普通に書かれていたり、ちょっとぎょっとするようなエピソードがあって驚く。
    昔はずいぶんいろんなことが緩かったんだな、としみじみ思った。

    刊行当時ですら、訪れる客は少なく「観光スポットとしては失敗している」大仏たちは、現在では解体されたものや運営が変わったものもあり、なんとも感慨深い。

    マヌ景と名付けたまぬけな景色を眺める、というエッセイのなかにちょっと真面目な筆致で景色と日本人についての考察なども織り込まれているのだけれど、全体的に古い印象は否めなかった。

  • 巨大仏の風景が好きなわけではないけれど、宮田さんの文章はいつも面白いので読みたくなりました。世の中には色々な興味の対象があるんだなぁと思いました。

  • 宮田珠己さんの別の本を読もうと思っていたのに、巨大仏という響きに負けてついついこちらを手にとってしまった。見仏記好きだし。

    全国にある40mを超える巨大仏と巨大仏のある風景をめぐる旅エッセイ。「日本について、人があまり相手にしないような呆れたテーマ」で書かれた連載とのこと。
    牛久大仏はかろうじて知っていたけれど、あとは本当になにそれ?だった、知らなかった。巨大仏がある風景、シュールでよい。挿話ではさまれた台湾の巨大仏も素敵。台湾旅行する前に知りたかった。

    時折、知的な分析がはさまれるのだが、それも含めてなにこねくりまわしてるの感が力が抜ける。病院の待合室とか保護者会の待ち時間とかヘビーな隙間時間に読む本としてもおすすめ。

  • 牛久大仏・茨城
    淡路島世界平和大観音・兵庫
    北海道大観音・北海道
    加賀大観音・石川
    高崎白衣大観音・群馬
    九州巨大仏旅行・長崎・福岡(長崎西海七つ釜聖観音・久留米救世慈母大観音・篠栗南蔵院釈迦涅槃像)
    会津慈母大観音・福島
    東京湾観音・千葉
    釜石大観音・岩手
    親鸞聖人大立像・新潟
    仙台大観音・宮城
    太陽の塔・大阪
    最後の巨大仏めぐり・静岡・香川

    著者:宮田珠己(1964-、兵庫県、エッセイスト)

  • 風景の中に、突然、ウルトラマンより大きな仏像が現れたら…。日本各地に点在する巨大仏。その唐突かつマヌケな景色(マヌ景)を味わうため、牛久大仏、釜石大観音など、“四十メートル以上”の巨大仏を探しては、いたってまじめに日本を巡る。巨大仏のある風景を見ると、なぜ胸が騒ぐのか。日本風景についても論じた、怪笑紀行エッセイ。(裏表紙)

    「日本風景についても論じた、怪笑紀行エッセイ」。
    前者2割後者8割といったところです。実際の文章としてはほぼ後者なのですが、前者の記述の固いこと。理屈付けは納得できるのですが、少なくとも私はこのタイトルにこの作者様でそういった話は求めていませんでした。ちょっと残念。

  • キンドルを読んでいて、1ページまるっとハイライトした経験は初めて。そんなのハイライトする意味ないだろう、と言われるかもしれないが、仕方ない。だって面白いんだもの。

    脱線する部分と読ませる部分の割合がちょうどよく、巨大仏を見たときの「ぬっ」っとする感じの正体について考えを深める過程もすっと読むことができた。

    こんな文章がかけるようになりたい。

    これまた、『地図のない場所で眠りたい』で紹介されていた本。プロの作家たちが、この本の著者は文章(書いたもの)で勝負している、と賞賛する理由も頷ける。

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著者プロフィール

旅と散歩と石ころと変な生きものを愛し、いかに仕事をサボって楽しく過ごすかを追究している作家兼エッセイスト。その作風は、読めば仕事のやる気がゼロになると、働きたくない人たちの間で高く評価されている。主な著書は『いい感じの石ころを拾いに』(中公文庫)、『東京近郊スペクタクル散歩』(新潮社)、『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』(大福書林)、『明日ロト7が私を救う』(本の雑誌社)など。

「2023年 『路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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