みなさん、さようなら (幻冬舎文庫)

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著者 : 久保寺健彦
  • 幻冬舎 (2010年8月5日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (427ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344415195

みなさん、さようなら (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

  • 過去のトラウマを抱え、団地の中だけで生きていくことを決心した少年の物語
    母親や小学校の友人を始めとした団地の住民とのコミカルな関わりから話が始まっていくが、少しずつ過激というか、ダークなテーマに移っていくうちに物語へ引きずりこまれていった

    (若干ネタバレになり恐縮だが)
    人が亡くなる結末はあまり好きではないが、本書では重いインパクトを受けた
    人には理解し難い心情を抱えていた少年に対し、矯正の無理強いをしなかった母親
    心のうちに秘めた本音はありながらも見守り、最も効果があるだろう方法でその意を伝え、少年は約20年の時を経てトラウマを超えることができた

    なんて愚かで、馬鹿で、あんな時間を過ごしたのか
    号泣する主人公を見て、自分も誰かからの愛情に気付けないままでいるのかもしれないと思うと、感情移入せざるを得なかった

  • 団地から一歩も出られない悟。ただ、日がなぼんやり過ごす普通の人以上に、多くの出来事に直面して、少しずつ成長していく。

    悟に関わった人は、最後には文字通り誰もいなくなってしまって、本当に「みなさん、さようなら」。その時々で別れる人たちのその後はほとんど描かれない。

    比較的分厚い本だけれど、一気に読み進められた。これがデビュー作というのだから驚き。

  • 団地から一歩も出られない悟。
    だから中学校にも行かず、高校へも行かなかった。
    団地に住む同学年の友だちの動向を見守るために団地内を巡回する悟。
    しかし、時は流れ、団地からかつての同級生たちは次々と去っていく。
    悟が団地から出られなくなった理由。
    それは小学校の卒業式で起きたある悲惨な出来事。
    あっけなく失われた命。
    「あなたなら、どこへ行っても大丈夫」
    母とはありがたいものだ。じっと悟を見守ってきた深い母の愛情が伝わってくる。
    主人公がどこまでも明るい。
    自分が置かれている状況の中で、決して立ち止ることなく前に進もうとする。
    だからこそ、悟が選んだ未来にほろりとしたあたたかさを感じた。

  • やっと団地を出られたシーンがアッサリ。

  • (*01)
    廃墟文学とも呼べるのかもしれない。人に住まわれなくなる建物は、廃墟化によりそこに潜在させているモノ性を現すこととなる。家や店が持続的には更新されえない(*02)ことは歴史を紡ぐことの困難を示し、この困難の代償として主人公らの警邏の意味をとらえうる。主人公は終盤に網羅的な団地史の困難に気付き、住人の数だけの個人史が集団し、編集される場所としての団地を悟る。

    (*02)
    後半には、団地という住むための機械の機能を継続させるために、既存ストックの活用として単身者や外国人労働者の受け入れを始められる。20世紀末からの日本という国、団地の集団の様な国の政策を反映してのことと思う。ゲーティッドなコミュニティの崩壊でもあり、団地にあったゲート性の劣化とも考えられる。団地にあった排他性(*03)は、経済成長期の住まいへの憧れの反面でもあった。団地への憧れが薄れれば、ゲートの敷居は低くなる。流失と侵入によりかつて憧れられた均質性は失われるが、異文化の多様に団地はどのように晒され反応していくだろうか。

    (*03)
    主人公が団地の敷地を出ないこと/出れないことは、個の心の問題であるとともに、団地あるいは日本の閉鎖性の戯画として描かれている。どこかいびつなマッチョは、子ども心に核があり、ゲートの外への通過儀礼(*04)を経なかったことによっても形づくられている。この小説はいわゆる学園ものではないが、ほぼ放課後のみを描いた学園ものであるとも言える。学校以後の小説でもある。同質性を橋渡しとしながら、学校を囲い込むものとしての団地、団地を囲い込むものとしての日本という入れ子構造をベースとした物語でもあった。

    (*04)
    通過すべき、乗り越えるべきゲートや壁というのは、空間的なものというでなく、時間的な、歴史、過去、上の世代であった。こうした象徴として主人公の師匠であるところの菓子職人が存在していた。主人公は、この菓子を基礎にビルドゥングしていく。そのケーキや契機にはトラウマが仕込まれている。このトラウマな事件は、廃墟としての団地の予兆となっているのだろう。

  • 時間としてはほんの17年。
    17年あればゼロから初めて再度ゼロになって、という人生のサイクルを繰り返すことができる。
    渡会悟君は、団地から出られなくても、そのサイクルを回すことが出来た。
    反して団地から出ていても、サイクルを回せない人間はいる。僕みたいにね。
    人生のサイクルを回すべきだと、この本を読んで思った。

    ところで、ヒーさんが連れてきた大学生。彼はなんだったのだろう?

  • トラウマによって団地に縛り付けられる主人公。でもそれは全然暗くはなく、むしろ滑稽ともいえる明るさで描かれている。団地の中だけで全て完結していたのが、時代の流れによって不自由が起きてくる。その中で自分の道を模索しなんとかうまくやっていく主人公。
    母の死によって団地を出ることになるのだが、殻から飛び出し新たな人生を歩んでいく主人公の未来が思い浮かべられました。

  • 団地から出られなくなってしまった男の子の物語。最初は淡々としていてなかなか話に馴染めなかったけれど、過去の傷が明かされる場面から徐々に惹きつけられた。師匠との会話はほっこりするのだけど、過去が現在の足を引っ張ったりと、全体的に影を纏っていて悲しみに満ちている。だからこそ、最後に一歩を踏み出せたことは良かったと思う。きっかけとなる出来事はあったとはいえ、けっこうあっさりはしていたけれど、意外と終わりはそういうものなのかもしれない。これからの悟の人生が幸せであれと願う。

  • 渡会悟 ヒーさん看護師 芙六小 コミセントレーニングセンター 演劇部キューちゃん モカとモンブラン 師匠 タイジロアンヌ 銀座 エンゲージリング 婚約 同窓会 社会ののぞき窓 松島有里 包丁が握れない 同窓会 PTSD プラトンの言うベターハーフ マスコミ嫌い テレビ的な演出 手刀で叩き落とした 団地の騎士ナイト 171㎝ 60kg 23歳 葉書 鳴子 拳骨 金的 目潰し 空手の練習 園児 薗田 大検3年連続失敗 簿記と会計 リフティング ポルトガル語 パイ マリア ワイルドターキー 広い世の中、そんなやつが一人くれえいたって、面白えじゃねえか 突き抜けたものの見方をするこの人が、俺は好きだと強く思った。 プリテンダーズstop your sobing モンブランつくんのは、骨だよな オールドパー バランタイン マッカラン オズの魔法使い 持てる限りのサービス精神を発揮 どういう死因なら納得できるんだい マヨネご飯 ナイトホークス 頭に100ボルトの電気を流す サミュエルバーバー 寄んな、変態 大山猛虎 刃傷沙汰 堀田明 エルザ エリダ サントス 青い雷 流しのケーキ教室 オブリガード 唾爆弾 松戸で工場でスリッターつくってる ポケベル PHS 大富豪 革命 しばり 海の花畑 蒼井は内蔵が破裂したけど死ななかった。木下は植物人間になりました。いまもどっかの病院で、母親に下の世話受けてると思いますよ 団地のナイトォ ガイジンのガキの、三本ぐわえだ すむんじゃないの、証拠残さないから。 俺は死ぬかもしれないが死んでもお前らをぶっ殺す 戎名 散骨 三十歳 足立区竹の塚 人生折り返しにきているなと突然実感 戒名(かいみょう)は、仏教において受戒した者に与えられる名前である。仏門に入った証であり、戒律を守るしるしとして与えられる。

  • 一生団地から外に出ず暮らそうと決心した悟。単純で真っ直ぐな彼の日常と、それを見守る母親の愛を描いた作品。団地は母親そのもので、悟は孫悟空の様にその手の上で自分のやりたい事を自由にやっていただけなのだ。きっと。映画も面白かった。

  • 団地内で生きる。古い団地に住んだ事がある者にとっては共感できる箇所があるはず

  • 映画を観てから1年以上経ってからの原作読了。
    原作には丁寧に描写されている部分が多くて、
    作品の詳細をまた違った形で味わうことができた。

  • とある団地に引きこもってる人の話。なんていうか…うーん。

  • 映画を見たあとに読む。
    映画はお母さんの大きな愛に泣け、
    小説は少年のひたむきさに心打たれた。

  •  2007年発表、久保寺健彦著。小学校の卒業式で起きたある事件をきっかけに団地から出られなくなった悟。団地内には彼が務めることになるケーキ屋をはじめ、幼稚園や医院があり、彼は一生団地で生きていくことを決心するが、団地に住む同級生達は一人また一人と去っていく。
     全体的に主人公の少し頭の悪い感じに馴染めなかった。特に致命的なのが、たまに当たり前の単語や地名を主人公が知らなかったりする描写があること。彼は団地内の噂を聞ける立場にいるわけだし、本だってたくさん読んでいるのだから、ちょっと描写としてやりすぎだろう。
     主人公の引き籠もった理由に関しては一応納得がいったが、何だか少しありきたりな気もする。ラストシーンもそうだが、著者が設定として配置したという感じが滲んでしまっている。そのシーンに絡むキャラの深みがもっと描写されていれば、そうは感じなかっただろう。
     その他のストーリーに関しては割とよくできていると思う。一点不満だったのは、団地が滅びる寸前に主人公が出て行ってしまったこと。あくまで主人公の物語なのでしょうがないのだが、もし仮に団地の滅びる時点までしっかり描き切れたならば、時代を象徴する名作になっただろう。

  • 団地から出られなくなってしまった理由、
    そうだったの・・・。
    知り合いが次々と団地を去っていくのを見送るのは、
    焦りの気持ちがあっただろうな。みんなは普通に
    平気で団地の外に出られるのに自分は出来ないって。

    団地の中だけで生活するって、意外とやろうと思えば
    できちゃうもんなんだなぁ。ただ何をするにもすぐに
    噂が広まるね。常に周りに目があるのは不自由ね。

    でも考えてみれば私だって似たようなものかも。
    ほとんど寄り道することもなく職場の行き帰りと
    スーパーへの買い物と図書館ぐらいしか行動範囲が
    ないんだから。さすがに団地よりはもう少しエリアが
    広いんだけど。限られた行動範囲の中で生活してる
    っていう面では私も悟とあまり変わらないことに
    気づいてしまった・・・。

    タイトルの「みなさん、さようなら」は一本調子の
    サラッとした言い方じゃなくて、小学校の下校時の
    挨拶、ほら、ちょっと伸ばしたリズムの
    「みぃなぁさん、さよ〜なら」の方なのね。

  • のほほんとした内容かと思っていたので
    びっくり!
    かなり重くて深い話だった。
    最初はちょっと退屈で後半は一気に読んだ。

    濱田岳くん主演の映画もDVDで観たい。

  • 今年見た本で、『ふがいない僕は空を見た』に次いでいい本かもしれない。

    泣けた!
    リアルだった。
    ぜったいどこかに、こうやって廃れていってる団地がある。

    気に入った。
    結局、彼にいちばん影響を与えていたのは、スーさんだった。

  • 風変わりな主人公で、一見、甘酸っぱい青春団地ストーリーのように思われましたが、読み進めると、主人公の心の闇が見られ、奥深い作品でした。主人公の周りの登場人物も個性があり、そこも魅力の一つでした。

  • 面白かったです。一気読みでした。主人公はとても素直な良い子。外に出なかった分純粋になれたのかもしれませんね。

  • 2013/03/05
    あまり表に出てこなかったお母さんだったけど、それだけに苦労や愛情が想像できて、最後は泣けた。
    映画も観たい。

  • 小学校の卒業式で異常者により同級生を失った渡会悟。そのトラウマから団地を出れなくなり、団地内で一生を過ごす決意をする。
    今度こそ同級生を守りたいという気持ちが痛いほど伝わる。身体を鍛え、団地内をパトロールし、恋愛も勉学も就職も友情も限られた範囲で叶える。そして、何よりも偉大なのは、そんな息子を黙って見守る母・ヒーさん。表舞台に出ない地味な存在だが、その愛の深さは計り知れない。

  • 小学生の時のトラウマが原因で団地から一歩も出られなくなた主人公。主人公は成長するのに反比例するかのように廃れていく団地。その様子に心当たりがあるだけにやけに切なくなりました。
    ものすごくせまいコミュニティの中でこうも人の成長を描けるのはすごいと思いました。

  • 団地で一生生活すると決めた主人公の少年・渡会悟。彼の生活は、引きこもりではなく、極めてストイック。極真空手家・大山倍達に師事(といっても関連書を団地内のコミュニティセンターで読み漁り)し、体を鍛えに鍛え続ける。勉強もコミセンの図書室で行い、仕事、恋愛、失恋、人生のイベント全てを団地内で経験していく。序盤ではその理由は語られないけれど、団地に執着する本当の理由を知りたいとページを進めることに。最近ドライアイになった僕の目が思わず潤みました。
    *文庫版で読むときは裏に書かれてある「あらすじ」、読まないことをお勧
    めします!

  • 中盤、涙が止まらなかった。

    幼い頃に負ってしまった心の傷を抱えながら、どうやって大人になっていくのか。どんな人生を送るのか。。
    どれだけの深い苦しみを抱えながら必死に生きているのか。。
    主人公の奇妙な行動の裏には深い心の傷。それに気づいた時、涙 涙 涙。

    終盤がなんだかあっさりだったのが残念ですが、面白かったです。

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