竜の道 下 (幻冬舎文庫 し 14-14)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (375ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416543

作品紹介・あらすじ

矢端竜二は、エリート官僚の世界に飛び込んだ。兄・竜一との約束-ある大物実業家への復讐-を果たすために。表と裏から攻めて、あいつを叩き潰す…。第二、第三の殺しに手を染める竜一、企みを抱いてある女を篭絡する竜二。金と欲が行き交う修羅の道を鋼の意志で突き進む双子が行き着く先は?息苦しいほどの命の疾走を描いた傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 緊急事態宣言の時に、ドラマ化されることもあり、店頭にたくさん並んでいたので、思わずまとめて買ってしまったシリーズ。
    生まれたばかりで親に捨てられ、養父母にも虐待されて育って来た容姿端麗で天才と言う双子の復讐劇と言うあらすじだったので、どんな復讐劇が描かれるのか、楽しみにしていたのに、実際の内容は復讐の為に整形し、戸籍も変えた兄・竜一のマネーゲームの話。
    自分の不利になる人間は、やくざでもないのに簡単に殺すし、終始竜一の自分勝手さに読んでいて、気分が悪くなる。
    上巻で完結しないことはしようがないとして、下巻まで読んでも、全然復讐劇の話は出て来ない。完全に騙された気分。
    著者は初読みだが、解説によると作者本人がマネーロンダリングなどで逮捕され、収監中に小説を書き始めたとのこと。
    そのような経験が主人公・竜一に反映されているのだろうけど、時代設定のせいもあるのか、男性社会の派手な面だけ描かれ、女性軽視の描写も嫌悪感を感じる。
    2015年に出された作品らしいが、「ザ・昭和」のサラリーマンぐらいしか受けないのではないだろうか…

  •  ある男への復讐を成し遂げるために暗躍する双子の活躍を描く。本書は下巻であるが、復讐を果たす場面までは描かれていない。
     兄は裏社会へ、弟は官僚へと異なる道を歩むが、二人の目的はただ一つ。自分たちをどん底へ突き落した男への復讐。そのために兄は顔を変え、他人になりすまし、裏社会の中心へ進む。ある程度の荒稼ぎをしたら、一旦は海外へ身を隠し、ほとぼりが冷めたころに再び別人になりすまし帰国。そして復讐を果たすという筋書きのようだが、本書は海外逃亡直前の場面までが描かれている。
     かなり遠大な計画だが、どういった形で結末を迎えるのかは非常に気になるところ。

  • ん??これで終り??いやいや、ここまで盛り上げたら竜一が戻ってからの復讐劇は絶対にあるハズでしょ。で、続きが出版されてるのかを調べてみると、そもそも本書の単行本時のタイトルには"飛翔篇"と付いてるのに文庫化に伴ってサブタイトルが消えてる…。えっ??
    まさかの打ち切り??
    …と、先ずはこの続きが気になるほどに後半は盛り上がって、面白かった。

    上巻から引き続き、双子の兄弟が世間と巨大企業への復讐のために金と権力と地位を築いていくのだが、その野望も大きければ突き進む道もスケールがデカい!裏社会でのし上がる兄の竜一は非情な手段を講じながらも仕手戦で着実に資金をつくり、絶対権力とのパイプを強固にしていく。一庶民としてはいささか現実離れした世界で繰り広げられるハードボイルドな展開ではあるが、竜一に反感を抱く者たちを掌握していく手法だったり、仕手戦の戦略や立ち回りだっりにはリアリティが感じられて策略家による頭脳戦としての面白味と読み応えがあった。

    少し残念だったのは、期待していた弟の竜二の活躍がほとんど見られず、切れ者とは言われつつも竜一と同等の頭脳明晰さには思えなかった。故に、どのようにしてキャリア官僚としてのし上がっていくのかの説得力と現実味に欠いた気がしてしまって…。
    まぁ、それを含め続編のあることが前提での展開なのだろうから致し方ない部分ではあるが、本作では登場機会の少ない主要人物たちの伏線が未回収になっているので、是非とも収束させてほしいものだ。。。
    …そもそも、原動力である「復讐」は計画だけで何も実行されてないんだし。。。。

  • 裏の社会で株と人間を動かし、莫大な金を作る竜一と、エリート官僚の肩書きを武器に、復讐の舞台を築く竜二。無関係な人達が次々と犠牲になり、予想以上にダークな展開だった。最後の準備に姿を消す竜一。2年後、どんな展開が待っているのか楽しみ。

  • 矢端竜二は、エリート官僚の世界に飛び込んだ。兄・竜一との約束―ある大物実業家への復讐―を果たすために。表と裏から攻めて、あいつを叩き潰す…。第二、第三の殺しに手を染める竜一、企みを抱いてある女を篭絡する竜二。金と欲が行き交う修羅の道を鋼の意志で突き進む双子が行き着く先は?息苦しいほどの命の疾走を描いた傑作長編。

  • 間違った方向は修正出来ず

  • The yakuza's daughter also decided to go to America for him to study business administration. Studying is important in any world.

  • 竜の道 昇龍篇

    著者:白川道
    発行:2015年10月20日
       幻冬舎
    初出:ポンツーン(幻冬舎月刊PR小説誌)2014年7月号~連載

    前作の単行本発行が2009年。5年後に連載が始まった本作は、2015年4月に著者急逝のため未完のまま単行本化された。両作品あわせて1000ページを超えているが、まだまだ物語はこれからという感じだった。
    九州・小倉の貧しい廃品回収業の両親に虐待を受けながら育った一卵性双生児の竜一と竜二。産みの親は別にいるという。蔑まれた目で見る人々ばかりの街で、唯一、彼らを可愛がってくれたのが妹のように仲のいい美佐という少女の両親だった。しかし、その両親は地元で信頼を得ながら経営していた運送会社を、広島発の成り上がり運送会社に乗っ取られ、自殺に追い込まれてしまった。一命を取り留めた美佐も視力を失う。
    竜一と竜二は、広島の運送会社を経営するあくどい社長の二階堂への復讐を誓いあう。それと、彼らを捨てた産みの親への復讐も。

    竜二は東大を出て国土交通省のキャリア官僚に。将来の事務次官とも噂される優秀さ。竜一は裏の道を歩む。18歳の時に自分の身代わりとなる別の人間と育ての両親の3人を火事に見せかけて殺し、自分は死んだことにして別の戸籍を得て生きている。超大物ヤクザの曽根村に可愛がられるも、自身は組員にならず投資会社を作って不正なお金100億円をためた段階で、いったん、ブラジルへ逃げる。途中、台湾で殺されたことにして、犯罪追及からも逃れる。ここまでが「飛翔篇」。

    本作「昇龍篇」は、竜一が日系ブラジル2世の身分を新たに得て日本に帰国し、100億円をもとにさらに資金をつくり、二階堂運送の社長をおいつめていくという話。大物ヤクザの曽根村が娘同然に育てた咲と(本当に愛し合って)結婚した竜一は、夫婦ともども事業を順調に大きくしていく。一方、竜二は二階堂運送社長の一人娘をつきあい、ベタ惚れさせていた。結婚を要求されつづけたが、竜二は美佐が好きだったので、そんな娘のことは歯牙にもかけていなかったが、いよいよ復讐のために役所を辞め、娘と結婚して二階堂運送に入社する。二階堂を追い詰め、自殺に追い込むのが彼らの復讐手法だった。

    そんな時、曽根村が脳梗塞で倒れてしまう。一命は取り留めたが、重い後遺症が残るというのが医師のみたてだった。復讐劇のために欠かせない曽根村が力を失ってしまうかもしれない。また、竜一は生きていると嗅ぎつけていたヤメ検のフリーライター沖は、竜一の手配で殺される前に、その件は昔の検察仲間にも話してあると言い残していた。心配の種がいくつかある、さて、これからどうなるか・・・

    本当にいいところで著者急逝。
    誠に残念。
    でも、このペースでいくと、シリーズがどんどん増えて、復讐を達成するのはまだまだ先だったかもしれない。

  • 原作を読む前に、ドラマを見ての感想
    は、竜一を軸とした展開で後ろ盾にな
    る人物とのエピソードが深く描かれて
    いる。
    ドラマの竜一とは全く違う冷血さをも
    った人間性であり、初めはギャップの
    差が激しく感じた。
    株の仕手の話は、新鮮でのめり込んで
    読み進めた。
    次作は、未完結だけど展開に期待。

  • 基本的に竜一の視点で進んでいくので
    本当に竜一がうまくやられているのか、実は裏切られる可能性があるのか
    信用しきれない感じで緊張しながら一気に読み進めてしまう。

    多少、あっさり人を殺しすぎる印象があったのと
    竜二や美佐の活躍がほぼ無かったのは寂しいが
    2年の空白を経て竜一がどう動いてくるのか気になるところ。
    コイントスで人の命をどうするか決める
    人情があるような無いような軽薄にも思える振り切れぶりが良かった。

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