21(twenty one) (幻冬舎文庫 し 27-3)

著者 :
  • 幻冬舎
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感想 : 45
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  • Amazon.co.jp ・本 (292ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416796

感想・レビュー・書評

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  • 作者買い♪

    小路さんの作品に、外れはなし、今のところ。
    今作も、もちろん楽しく読めた。

    が、しかし・・・結末にはちょっぴり消化不良かな。
    同級生同士の不倫騒動には、胸が塞いだ。。。

    というわけで、
    (物語にはかなり引き込まれて読んでいたけれど)
    ★3つ、7ポイント。
    2021.01.22.古。

  • 今は閉校になった学校の卒業生21人。21世紀に21歳になる21人。
    その中の一人晶がある日閉校になった母校で自殺してしまう。
    それぞれが抱える秘密、そして先生と晶の秘密。
    ちょっと重いお話ですがちゃんと未来に向かっていくお話です。

  • 晶みたいな人が身近にいたら…
    自分はどうするんだろうな。


    みんなと離れてしまって心にポッカリ穴が空いてしまって、悲しくて、淋しくて、ダメだ。死にたい。

    そう思ってしまう人が居たら。


    しかし、この物語はそこを考えるのではなくて、友人を亡くしたという悲しみの処理。


    晶は、みんなと離れてしまって
    生きていく意味を見出せなくなり
    死んでしまった。

    残されたみんなは
    その悲しみを、どう抱えて
    その悲しみと、どう寄り添って生きていくのか。



    晶には晶の悲しみがあって、
    みんなには晶を失った悲しみがあって。
    それぞれの悲しみとの向き合い方が描かれている。

  • 今はなき榛中学校の同級生21人。その中の一人の自殺にそれぞれ何を思うのか?

  • 国道食堂に続いて読んだので 個人名でまとめられた進行に期待をして読み進めた。
    微妙な感じ
    面白くない訳じゃないが 盛り上がれない
    そのまま ズルズルと最後のページへ
    でもやはり盛り上がらない。

  • 少しずつ層が厚くなるように読み進めるにつれ関係性が繋がっていくのがよかった。
    21人もいるので読み手も自分と相通ずるキャラクターがいるかも。
    結末はあまり好みではなかったが、独特の世界観と表現が素敵だった

  • 面白かったです。キレイゴトも多いけど、むしろ自殺を扱っているのに重たくなく読み易くしていると思います。続きが気になって、あっという間に読んじゃいます。

    ただ、最終的な結論は最初に気付いてしまった。。。
    でもこの終わりじゃあ21人の絆に相反するとおもうので、もうひと工夫あって、すとんと落ちることがあるとよかったなーとは思います。

    この作者さん、大筋というより流れが面白い人のバターン?!!

  • 21世紀に21歳になる21人のクラスメイトのうちの一人が何も告げすに25歳で自殺した。それぞれの喪失感と意味付けが書かれてる。
    しかし皆が出木杉君やしずかちゃんのような印象。クラスメイトの絆が強すぎて、しらけてしまい、なかなか共感できなかった。
    そんな自分の感情を晶に重ねることで物語は深まるかもしれない。

  • 特別な関係があるからと言って、それに信頼しすぎた。それが怖い

  • 21世紀に21歳になる21人――僕らはただの同級生じゃない。

    物語は彼らが25歳のときの視点で語られる。特別な絆で結ばれていたはずなのに、なかまの一人が自殺した。場所は当時の教室だった。ミステリーっぽい設定ですけど(っぽいというかミステリーなんだろうけど)、ミステリー色は強くなくて、むしろ同級生の自殺を知ったことで、原因は自分にあるんじゃないか、生きるってなんだよ、とか登場人物が色々考える話です(アバウトで申し訳なし)。

    羨ましいなあ。この設定を読んだときに最初に思った。僕が中学生のときはそんな特別なことはなかったから。2010年に21歳になる38人(ぐらい)でしたからね。ただ、こうゆう距離が近くなりすぎると、人とのちょっとした差異が気になるものです。第三者からみれば本当に些細なことなんだけど、本人にしてみれば、ましてや中学生という多感な時期ですから、他人と比べて自分は普通じゃないとか思うことってあると思うのです。ちょっと【ネタバレ】になるかもだけど、本書を開くと最初のページに名簿が載っております。よーく見てくださればわかると思うのですが、自殺した半沢だけが1981年生まれ(2月22日)、つまり、他の皆が21歳になってるときに彼だけがまだ20歳というわけなんです。このわずか数カ月が彼を悩ませ、自殺をする理由の一つになってしまいます。「俺だけ仲間はずれにされないだろうか」という不安を抱えながら。

    半沢が作成した〈twenty one〉というサイトがあって、そこに皆の近況を書きこむのですが、その役目を半沢自身が担っていました。半沢が皆に電話やメールをして近況を聞きだすというものです。本文に書かれてるか忘れたけど、そうゆう目的もありながら、一方で皆とやりとりすることで繋がりを確かめるという目的もあったかもしれない。「仲間はずれにされてない」という安心感を得るために皆と連絡を取り合っていたという考えです。あと、同級生の女の子と関係もっちゃうとか、男の子と寝ちゃうとか、しちゃうんですけど、それだって、俺が役に立つならばという気持ちでやってたのだと思いますよ。皆から頼りにされてるんだこんな僕でも。みたいな。

    半沢は残念がら死んでしまうわけですけど、彼の死が仲間にもたらしたものは少なくなかったと思います。最初にも書きましたけど、彼の自殺の原因を巡って、皆が思案するんだけど、その過程で秘密にしていたことを仲間に話すことになったり(奥さんに浮気を告白する決意に至ったり)、と半沢の自殺によって皮肉ながら残された20人の絆が強くなったことが感じられます。だからといって「半沢グッジョブ!」なんて手放しで褒める気なんてサラサラなくて、むしろ彼らと同じように「バカヤロウ」と思っております。やっぱり人生思い通りにいくなんてことはあまりないと思うし、楽しいことがあればその分嫌なこと苦しいことつらいこともあると思うし、だからって人生終わりだなんて投げるのは勿体ないと思う。死んだら何も残らない。「残された人たちの記憶の中で生き続けるよ」なんてそんなドラマじみたセリフ言いたくない。本書のラストで糸井が言う。

    「生きていくことが、幸せへと向かう唯一の手段だと思ってる」

    糸井たちは学んだんだ。残される者たちは悲しい。こんな気持ちにさせるなんて卑怯だよ、と。でも、後悔もしてるんじゃないか。あのとき、半沢の気持ちに気づいてやれなかった。でも、考えてみれば中学生だもん。自分のことで精いっぱいな時期じゃない?勉強、部活、人によっては恋愛。友達のことを深く気にかけることは僕はできてなかったと思う。その点では糸井たちの気持ちがわかる。彼らはこれからそういったつらさ、悲しみを抱えて生きていくんだ。悲しみの涙を拭いて、生き生きとした人生を歩む。それがきっと弔いになると信じて。

著者プロフィール

1961年、北海道生まれ。広告制作会社勤務などを経て、2002年に『空を見上げる古い歌を口ずさむ pulp-town fiction』で、第29回メフィスト賞を受賞して翌年デビュー。温かい筆致と優しい目線で描かれた作品は、ミステリから青春小説、家族小説など多岐にわたる。2013年、代表作である「東京バンドワゴン」シリーズがテレビドラマ化される。おもな著書に、「マイ・ディア・ポリスマン」「花咲小路」「駐在日記」「御挨拶」「国道食堂」「蘆野原偲郷」「すべての神様の十月」シリーズ、『明日は結婚式』(祥伝社)、『素晴らしき国 Great Place』(角川春樹事務所)、『東京カウガール』『ロング・ロング・ホリディ』(以上、PHP文芸文庫)などがある。

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