株式会社ネバーラ北関東支社 (幻冬舎文庫)

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著者 : 瀧羽麻子
  • 幻冬舎 (2011年6月9日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344416833

株式会社ネバーラ北関東支社 (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • 恋も仕事も失った女性が、地方の町で少しずつ新たな生き方を見いだしていく。
    あっさり読めて、のんびりしたぺースがいい感じです。

    弥生は、1時間に1本しかないバスに揺られて、会社に通う。いつも同じ席、同じ顔ぶれ。
    一ヶ月前までは、外資系の証券会社に勤めて7年、部下もいるエリートといってもいいキャリアウーマンだったが。
    恋人に他の女性が出来て、「君ならすぐにずっと良い条件の相手が見つかる」と言われて去られる。
    真剣に愛しているつもりだったのに、条件で選ぶ打算的な女だと言われたようなもので、それを否定しきることも出来ない。

    会社を辞めて、全く別な土地で働くことを選び、健康食品の下請けメーカーに入った。大手メーカーにいろいろな半完成品を納入するのだが、主力商品は納豆だった。
    社員食堂のすべてのメニューに、納豆が付いてくる。

    経営企画部は、ほとんど何でも屋のようなもの。メンバーは5人。
    正社員は杉本課長と弥生、それに童顔の沢森くん。
    パートの西川さんと事務員のマユミちゃん。
    誕生日を幹事持ち回りで祝うというアットホームな職場だった。
    弥生は、まだあまり仕事に集中することも出来ない状態で、3割程度の力で仕事をしていたが、ぬるい生活も悪くないと思う。
    孤独がちで携帯も持たないほどだったが、だんだん町にも慣れていく。
    「なにわ」という居酒屋の女主人・桃子には「あんたか、東京から来たっちゅうおねえちゃんは」とすぐ店に引っ張り込まれる。

    東京本社から佐久間という男性が赴任してくる。
    8月までの研修だという。
    あたたかい仲間に囲まれて、次第に仕事に本腰を入れるようになった弥生だが。
    佐久間に東京本社へ誘われ、皆が弥生を見送ろうとする。
    弥生の決断は?

    外資系の証券会社で部下を使う女性の実感はわからないけど。
    人生が何かで大きく変わるということはありますよね。
    苦しみは否定出来なくとも、冷静さも健康さも完全に失ったわけではない。
    弥生さんの淡々として様子も含めて、ごく普通な人の暮らしの地道な確かさに触れられるのが、心地良い。

    著者は1981年兵庫県生まれ。
    2004年、京都大学卒業。2006年、小学館「きらら」携帯メール小説大賞グランプリ06受賞。
    この作品は2008年2月発行。

  • ふわりとした空気感の漂う、読んでいて心が和んでくる一冊です。

    戦場のような職場での仕事と恋に疲れた弥生が、
    転職先に選んだ会社は、田舎の納豆メーカー。
    東京にない、ゆるい生活が始まった。
    が、ある日、会社が乗っ取られるとの噂が!
    凍っていた弥生の心に火をつけたのは、
    同僚の沢森君の「戦うのが怖いだけ」という言葉だった。
    実は納豆嫌いの弥生に、何ができる?
    書き下ろし短編「はるのうららの」も収録
    (「BOOK」データベースより)

    物語の舞台は東京から特急で2時間離れた北関東の町。
    のどかな風景の中を走るバスの中で、
    東京から転職をしてこの地にやってきた弥生の日常生活から始まります。

    ずんぐりとした体系に似合わず会話のところどころに英語を話す課長、
    男子高校生のような幼さを持ちながらも芯の強い同僚、
    東京に憧れを持ちながら仕事にかかわる若いOL、
    落ち着いた雰囲気ながらさばけた性格の年上OL。
    そして駅前の飲み屋「なにわ」の桃子さん。

    そういった風変わりながらどこかノンビリとして人情味のあふれる人々に囲まれて、
    東京の生活で疲れた弥生の日常が繰り広げられていきます。

    物語の中には新商品開発の苦労や会社の乗っ取り疑惑など、
    ちょっとした事件が発生するもののそれもどこかノンビリとした雰囲気の事件。
    この物語に全体的に流れている空気感からは逸脱しない事件という感じでしょうか。

    読んでいてググッと物語の中に引き込まれながらも、
    最後まで穏やかな気持ちで読むことの出来る一冊です。

    推理小説や金融小説などワクワクする物語も好きですし、
    不思議な能力を持った主人公が悪と戦うというようなアクション物も好きです。
    しかし、気負わずノンビリとページをめくることの出来る物語というのも、
    本を読んでいく中でぜひ入れておきたいジャンルの本だと思います。

    心をほっとさせたい時に読んでもらいたい一冊です。

  • 悩みました。結構楽しく読めたのですが、中身の薄っぺらいお仕事小説で、苦悩や再生がとってもペラペラで登場人物も結構魅力的になりそうなのにとっても薄くて書き割りに見えます。なので☆2にするか悩みました。でも楽しんだくせにそりゃないよなと自戒の意味も込め☆3つ。

  • 凍っていた心がもう一度動き出す一言に出会える話。
    どんなに辛くても自分の手に負えない瞬間は誰にでもあるのかもしれない。そう思うとどうにか生きていける気がする。
    例えば隣にいることで辛く絶望することになっても、結果的に隣にいることを選んでしまう。
    沢森くんが好きだった。

  • 都会で大手証券会社に勤めて七年。バリバリのキャリアウーマンの弥生はあることをきっかけに全てを捨てて田舎で働くことにする。納豆を主力製品として扱うネバーラ株式会社の面々や、「なにわ」の店主 桃子さんなどあたたかい人々に囲まれて弥生の閉じていたここにも変化が…

    長く付き合った恋人に別れ際あんなことを言われたらそりゃヘコみますよ。二十歳の頃似たようなこと言われたけど…最初、同い年の弥生があまりにもひょうひょうとして田舎勤めをしているので違和感があったけど、なにもかも手放して知らない土地に行きたくなるときはあるよね。

  • 都会に疲れた主人公が、田舎のひとびとの暖かさに触れて自分を持ちなおしていく的な話、好きです。なにわの桃子さんとか、沢口くんとか、周りにいたらいいなぁ。
    ただ、最後がちょっとあっさり終わりすぎて物足りなさがありました。全体的にはとても読みやすくて、気持ち良く読める一冊。

  • 2篇の小説からなる小説集。
    女性だから持ち得る選択肢の多様性、というと言いすぎなんだけど、二人の女性主人公は、「上昇志向」から一歩引いて、自分の居場所を作ることを目指そうとする。
    多分同年代の男性が主人公だと、リアリティが感じられにくいのではないか。
    とはいえ、そんな男性達も年を重ねるなかで、いつかは前だの、上だのを目指す生き方から、外れざるを得ないことを鑑みれば、割と普遍的なテーマの小説とも思えて、楽しく読めました。

  • この作者の別の本を読み、言葉の選び方が好きだなーと思ったので手に取った1冊。
    やっぱりスッと読めて心に落ちてくる感じ。
    主人公が、プライドが高いと言われてしまう場面も、私は主人公側からしか考えられなかったけど、確かにそうだ、と、考えさせられたり。。
    ついつい現実と比較してしまうけど、現実と小説のいいバランスだった気がする、リアル過ぎるわけでもなく。

  • 作者・瀧羽麻子は初読み。
    東京に疲れて地方の企業に再就職した若い女性が・・・というストーリーにはどこか既視感のあって、自分の書評を調べてみたけど見つかりませんでした。山本幸久さんあたりが書きそうだし、なんとなく雰囲気も似ていますけど。
    なかなか楽しい物語です。ただ上のように”既視感”を感じるのは、ストーリーも人物設定も、どこかありふれたものだからでしょう(おデブ課長のカッコ良さはちょっと意外性がありましたが)。テレビドラマにでもしたら面白そうな作品です。
    楽しく読めるけれどちょっと薄っぺらさを感じる、そんな作品でした。

  • 東京の証券会社を辞めて、田舎の納豆メーカーに転職した弥生。ネバネバだからネバーラかと思ったら、まさかのネバーランドに掛けての会社名。たいしてやる気も起こらず、ゆるゆるとした生活を送るつもりが、同僚の沢森くんのひと言が弥生の心に火をつけます。やがて会社が乗っ取られるとの噂を聞き、そうはさせてなるものかと弥生たちは新企画を練り始めるのですが……。

    同著者の『うさぎパン』と同様、キャラが魅力的。特に大阪出身で駅前の居酒屋を一人で切り盛りする桃子さんの頼もしいこと。「恋愛はな、とにかく押しや、押しの一手や!押してだめなら、もっと押す!」。

    「どんなひとにも人生が手に負えなくなるときはある。そして、そのときに休むのは正しい」。そんな言葉も優しく。数時間でサラッと読めます。

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戦場のような職場での仕事と恋に疲れた弥生が、転職先に選んだ会社は、田舎の納豆メーカー。東京にない、ゆるい生活が始まった。が、ある日、会社が乗っ取られるとの噂が!凍っていた弥生の心に火をつけたのは、同僚の沢森君の「戦うのが怖いだけ」という言葉だった。実は納豆嫌いの弥生に、何ができる?書き下ろし短編「はるのうららの」も収録。

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