不連続の世界 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 3071
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  • Amazon.co.jp ・本 (314ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344417410

作品紹介・あらすじ

妻と別居中の多聞を、三人の友人が「夜行列車で怪談をやりながら、さぬきうどんを食べに行く旅」に誘う。車中、多聞の携帯に何度も無言電話が…。友人は言った。「俺さ、おまえの奥さん、もうこの世にいないと思う。おまえが殺したから」(「夜明けのガスパール」)-他四篇、『月の裏側』の塚崎多聞、再登場。恩田陸のトラベル・ミステリー。

感想・レビュー・書評

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  • 恩田陸の小説には、不穏な雰囲気が漂っている一群がある。この連作短編も、なんだか不思議というか、怖いというか、そんなテイストである。主人公の多聞からして、ちょっと変わった、するりと常識がひっくり返るような人物設定で、上手く造形したなあと思う。最初の「木守り男」は、うーんなんだこれは、変な話だなあと首を傾げたが、だんだんと面白くなる。「幻影キネマ」は、ちょっといい話だ。

  • 「不連続の世界」、どうして『な』ではなくて『の』でつないでいるのか、何か気持ちの悪い不安定さを感じさせる書名のインパクトに逆に魅かれました。

    読み始めて、塚崎多聞と聞いても直ぐにピンときませんでしたが、音楽プロデューサーで新人発掘ということで、あの「月の裏側」の世界が蘇ってきました。世界観は必ずしも不連続なのかもしれませんが、同じ主人公を登場させることで、世界観が最初から肉付けされているために自然と本の世界に入り込めてしまうのがいいです。こういった短編集の場合は余計にそう思います。

    5つのお話が集められていますが、それぞれ以下のような印象でした。
    〈木守り男〉今一つよく理解できず消化不良。一方で多聞の交友関係と多聞が好かれる理由がよくわかります。
    〈悪魔を憐れむ歌〉これ怖いです。物理的には何も目に見えないのに、心の目に浮かぶのは薄ら寒いホラーの世界。
    〈幻影キネマ〉恩田さんの小説とは思えないほど懇切丁寧な説明っぷりに、放り出されない怖さを逆に感じます。
    〈砂丘ピクニック〉どうして隠す必然性もないのに伏せ字なんだろう、という疑問が解けない不思議の世界。
    〈夜明けのガスパール〉男4人のグダグダした酒飲み旅行が一転。一見普通の人だからこそ逆に怖い「人の裏側」。

    色々な者、物、モノを呼び寄せてしまう山崎多聞。日常に退屈した人は彼と友達になるのもいいかもしれません。

  • 『続かないと教えてくれる物語のつづき』

    2015年に月の裏側を読んで、今回不連続の世界を読んだ。内容なんてなにも覚えてなかったはずなのに、読み始めるとじとっとした水のにおいと揺れる柳の音が蘇ってきた。

    恩田作品の仄暗さは、どこから湧いてくるのだろう。重たくて湿った空気が頬を撫でる。ホラーでは決してないのに、読み終わると少し肌寒く感じる、夏にぴったりな1冊だった。

  • 「月の裏側」と同じ塚崎多聞が主人公。
    前四編は不連続ですが、最後の「夜明けガスパール」は必読。すっきりします。

  • 月の裏側の多聞さんが登場するお話。
    多聞さんにまた会いたくて読む。
    全体的にぼんやりしたホラーミステリー?
    恩田陸様ですね。
    恩田陸様だったら好きやねん!な方はどうぞ。

  • 主人公塚崎多聞の周りに起こる不思議な話。
    怪談や都市伝説っぽい話かと思いきや、後半にはじめてミステリーだと気づく。
    <不連続>さを今一つキャッチできていないのは、わたし自身の読解力のせいかな?
    でも短編はストーリーを追った読了直後よりも、後から尾を引くようにジワジワとその世界観が頭に残るので、今はこれでイイかな。

  • 行ったことのある場所が舞台になっていて、より想像しながら読むことができた。
    なんとなく大人な雰囲気の小説。

  • 「木守り男」、「悪魔を憐れむ歌」、「幻影キネマ」、「砂浜ピクニック」、「夜明けのガスパール」の短編集。ちょっと怖い場面もあり、もやもやして何が真実か分からない不思議なお話ばかりかと思いきや、最後の夜明けのガスパールでじんときた。主人公の、多聞という名前がキャラクターや立ち位置に合ってるようでいいと思った。多聞が出た作品の「月の裏がわ」も読んでみたい。

  • 多聞さんの中編集。多聞さんのための文庫ではないだろうか。私は最初多聞さんを軸に置いた、話を作り、何個か纏めたのかと思っていたが、あとがきで「登場した話をまとめた」と書いてあった。だから内容が続いてなく、何となくちぐはぐだったのだなと思った。しかし多聞というキャラクターが掴みどころのないゆらゆらとした感じで書かれていて好きだった。

  • 多聞の性格がすごく好きだった。
    それぞれの話しで訪れる、なんとなく背筋がスーッとする出来事にのほほんとしてた多聞の最後の動揺が衝撃やった。
    多聞が出てくるらしい他の本も読んでみよう。

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著者プロフィール

1964年宮城県生まれ。92年『六番目の小夜子』で、「日本ファンタジーノベル大賞」の最終候補作となり、デビュー。2005年『夜のピクニック』で「吉川英治文学新人賞」および「本屋大賞」、06年『ユージニア』で「日本推理作家協会賞」、07年『中庭の出来事』で「山本周五郎賞」、17年『蜜蜂と遠雷』で「直木賞」「本屋大賞」を受賞する。その他著書に、『ブラック・ベルベット』『なんとかしなくちゃ。青雲編』『鈍色幻視行』等がある。

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