殺す (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 438
感想 : 52
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344417519

感想・レビュー・書評

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  • ※感情優先の中身無しレビューになるので隠させていただいております。

    タイトルに惹かれ手に取った本作品。
    そしてページを開きタイトルを経由しいざーーーの冒頭の一文。
    「もしかしたら(殺された方が)幸せなのかな、この方が。」女子高生の死体を見、現場にいる刑事である光門のセリフである。彼の、他人を否定する姿勢と己への承認欲求の強さは、パラパラと数ページ捲れば容易に感じる事が出来る。そしてそんな彼の行動は常人では理解出来ない方向へと進んで行く。物凄いスピードで。
    ーーーーーーーーーーーーーーーー
    私はこの作品、とても好きです。
    同調ではなく教科書として。

    ー女子高生連続絞殺連続殺人ー
    担任の教師や被害者達の交友関係 関係者 と、捜査の中話を聞けば聞くほど各々の「人として産まれ持った純粋な残酷さ」が明るみになる。普段は隠れて見えないはずの残酷が。
    そして、警官や教師だけではなく女子高生達の残酷さにも触れている。これらは全てーこれは完全なる偏見であると認識しながらも私の中では核心となっているー「幼児性エゴイズ厶」の存在。
    刑事光門に特に強く現れるこの資質。
    例えで、この幼児性エゴイズムがウイルスだとしたら、登場人物たちはみな感染者。

    『自分は正しい それを否定する人間はバカだ 何故分からないのだろう あぁそうか自分より頭が悪いからだ なんでだよ 真面目になれよ 誰も自分に従順に振舞ってくれない そんな不真面目な人間は不幸になるべきだ 卑怯者。
    僕は底辺じゃないのに社会がそうさせる バカだからだ。ママは認めてくれたのに世の女は僕を認めない バカだからだ。僕が導いてやってる私が提供してやってる』そんな思考回路。....書き方に語弊が産まれそうですが、性別問わずだ。

    この作品はいつ書かれたのだろう。
    あぁ、平成23年 2011年。10年だ。
    10年前の私が何を感じ生きていたのか覚えていない。が、時は流れ、平成は終わり令和となってから早3年。私は、個性的と評されるべき異常蔓延るこの作品を、正しく今、現代の姿に投影してしまった。幼児性エゴイズムと言うウイルスが蔓延り「異常」が「通常」へと変化した時代。

    さて、ミステリとしての着地点はNGですがもはや犯人とか動機とかどうでも良い。
    この10年で「殺す」の世界観のベースがこの現代にて出来上がっている。異常が通常に変貌を遂げ、異常と口にすれば大火災が起こるファンタジーな世界。
    対人に対しての愛情表現や言葉を使うのが恐ろしくなってしまった現代。「思い遣り」 「優しさ」
    これらは自分を承認してもらいたい時に使う道具と化したのか。いつから綺麗な言葉は「綺麗事」というくすんだ表現に変換されるようになったのか。
    これを悲しむ事も 「ダサい」 のか。
    ーーーーー

    否定をするのは嫌いです。
    しかし、この作品を読んで生まれた私の感情も否定できない。なんだかとても辛い読了感だ。
    いつかこのフィクション作品に正式に「ノン」が追加される日が来ないよう、心から願う。

    ※完全偏見と化したこのレビューに不快な思いをされた方、申し訳ございません。

    • NORAxxさん
      奏悟さん、こんにちは^ ^
      ご無沙汰しております。

      左様でございましたか!!なんたるディスティニー。
      確かにタイトルの破壊力強いですよね。...
      奏悟さん、こんにちは^ ^
      ご無沙汰しております。

      左様でございましたか!!なんたるディスティニー。
      確かにタイトルの破壊力強いですよね。キープアウトな危険漂う装丁も我らダーク好きを惹き付ける罪な作品です...笑

      内容はミステリーとしては△でした。。。
      が、それよりも登場人物たちのALL「非」正常さは見応えが抜群かと思います。
      気持ちよく読める代物ではありませんが、絶妙な負のリアルさを体験出来たので
      (好きなジャンルが近い身として)奏悟さんには是非オススメしたい作品です\★/

      早く出逢えますように///
      2021/06/29
    • mapponさん
      いいレビューですね。共感致しました。自分の語彙力の足りなさを痛感致します。
      いいレビューですね。共感致しました。自分の語彙力の足りなさを痛感致します。
      2022/10/17
    • NORAxxさん
      mapponさん、こんばんは!コメントありがとうございます。
      またすごい作品を手に取りましたね...笑 仰る通り、ミステリーとしては些か陳...
      mapponさん、こんばんは!コメントありがとうございます。
      またすごい作品を手に取りましたね...笑 仰る通り、ミステリーとしては些か陳腐な展開(だったような)でしたが、人物のサイコパスさにスポットを当てると楽しめる1冊やもしれないですね☆
      mapponさんのレビュー読めて嬉しかったです!!これからも楽しみにしてます^ ^
      2022/10/18
  • コメディ特殊設定ミステリの印象の強い西澤さんのブラックなシリーズ。
    女子高生連続殺人、不良警官の暴走、サイコパスしかいねーのかなと思うくらい、クセの強い警察小説。タイトルの通り、あらゆる角度からの殺意に満ちている。
    警察小説らしいキャリアとノンキャリアの対立とか、御涙頂戴展開とかは一切なし。ある種清々しいが、期待していたモノと違うと思われてしまうと、評価は下がりそう。
    ミステリ(どんでん返しモノ)と思うと、結末がミエミエなのだが、スリリングで面白いので、コレはこれで良い。

  • 強烈なタイトルだし、内容もそれに見合うようなグロテスクさなんだけど、読後感はちょっと中途半端。真相は結構意外なものだったし、なるほどって感じだったんだけど、ここに狂った警官を絡ませた意味は?どこかで繋がるのかと思いきや、結局それぞれが別の事件で、たまたま同時進行だっただけ。そりゃないよ。これまで読んだ著者の作品の中では、個人的には一番下かな。

  • 犯人は意外過ぎた。
    複雑に糸が絡まり過ぎて、ぶっ飛んでる人が多すぎて…
    でも、解説でも述べられていたようにそういう人が増えている気がする。
    こんな事件がほんまに起こってしまうことがあるのかもしれない。

    • ZEROさん
      犯人が意外ってネタバレですね。もう読めません。
      犯人が意外ってネタバレですね。もう読めません。
      2021/06/17
  • 2012/2/16
    嫌がらせみたいな本。
    そのまんまの意味で。
    後味悪い本にさえ到達しない。
    魅力的な登場人物もおらず、たいしたひねりもなく。
    これ西澤保彦やんな?
    久しぶりすぎるぐらい久しぶりに読んだけどキャラ変わった?
    この本だけ??

    さ、気分直しだ。
    次行ってみよー

  • タイトルに惹かれて読破
    総合的に面白かった
    登場人物が全員どこか異常者チックでハラハラする
    謎解きというよりなるほどなというミステリーで、大人向けだがすらっと読めた
    ただし一人の犯罪者相手に複数の警官が次々やられたり逃げられるのが、なんとも非現実的に思えてしまいちょっと冷める

    巻末の論評が的を得ていて、もやっと思っていたことが言語化されておりすごいと感じた

  • 女子高生と警察関係者が殺されすぎ。
    異常者ばかり。
    まともな人が少なすぎた…。

    西澤保彦さん、初めて読んだのかな?

    この話を読んで、ひたすら心がザワザワした。
    実際の殺人事件って本当はこうやって、ただひたすら理不尽の繰り返しなんじゃないかなって思った。

    推理モノとは違う。
    ほぼほぼみんな死んでモヤモヤが残る。

  • 珍しい読みの名字の人が多く出てきて、取っ散らかった感じに。
    光門は一体なんだったの?
    城田も最後にそんだけ推理できるなら、もっと早くなんとか出来たでしょ。

  • 「怪しい動き」「引っかかる動き」をしている人が分かりやすすぎてうーん
    ひっくり返しはあるようなないような微妙な感じだし

    フーダニットの解明が楽しめなければ他に良いところ無さそうな本かも…
    問題行動刑事の存在も、幼い大人の精神という社会問題を提起したかったのか?二重の事件ものにしたかったのか?まさかプチアクションが書きたかった??…謎でしかない。

  • 面白さがよくわからなかった。
    名前もたくさん出て誰が誰だかわかりにくかった。謎解きもスッキリ感がなかったし…あまり自分には合わなかったかもしれない。
    他の作品は面白かった記憶があるので、違った作風のものなのかな?

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著者プロフィール

1960年高知県生まれ。米エカード大学創作法専修卒業。
『聯殺』が第1回鮎川哲也賞の最終候補となり、1995年に『解体諸因』でデビュー。同年、『七回死んだ男』を上梓。
本格ミステリとSFの融合をはじめ、多彩な作風で次々に話題作を発表する。
近著に『夢の迷い路』、『沈黙の目撃者』、『逢魔が刻 腕貫探偵リブート』などがある。

「2023年 『夢魔の牢獄』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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