あなたへ (幻冬舎文庫 も 14-2)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (336ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344418240

感想・レビュー・書評

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  • ロードムービーを見ているような素敵な1冊。
    名言に出会える本は、色々あるけれど、こんなにじんわりと沁みる名言が出てくる本はなかなかないのでは?と思った。説教臭くもなく、非現実的でもない。
    個人的には、癌闘病を支えたことがあるので、感情移入せずにはいられなかった。
    奥さんの素晴らしいギフト、遺書に涙が溢れた。

    主人公が、雨の中で自由を感じるシーンが素晴らしくて忘れられない。
    「ただ裸足になってドアの外に一歩出るだけで、世界はこんなにも違う。こんな小さな一歩で、世界も、自分も、変えられるチャンスは生じるのだ。
    たったの一歩。
    ゼロではなくて、一歩
    その差は、無限に等しいくらいに大きいのかもしれない。」
    「ああ、馬鹿みたいに自由でーー最高だ」

    忘れた頃、また読み返したい。。。

  • 人生の途中、自分の大事なモノを奪われた五人の男性の人生の喪失からの再生と再出発の物語。
    刑務所の作業技官の倉島の、先立った妻の遺言を受け取るために富山から長崎への物語。遺書にあったものは、先立った者の生きている者へのささやかな願い。

    読了後、一抹の寂しさと人恋しさを感じられずにいられませんでした。
    間違えなかった生き方なんて、誰しもできない、悔やみなぜ?と悩みながら生きている。けれども、誰もが「自分と未来は変えられる」し「人生に賞味期限はない」のだと、自分が選び決める人生に希望を見出だせる物語でした。

  • 悲しくて心がきゅうっと痛くなるところもあるけど、そこにもやさしさや愛があって。旅を進めていくうちにやさしさやあたたかさが広がっていく。
    8章、9章はうるっときた。小説読んで泣いたの久しぶり。

    旅で、そこでの出会いで主人公は変わっていくけど、主人公と出会ったひとたちもそこから変わっていく。
    どの登場人物もやさしくてあたたかくて、すきだな。
    心にぐっとくる言葉がたくさんあった。
    森沢明夫さんの小説を読むと、世界はやさしくてあたたかくて愛が溢れてるって思える。やさしい、あたたかい、愛に溢れたひとがたくさんいるって思える。
    一番すきな作家さん。

  • 『津軽百年食堂』よりは大人の落ち着いた感じ。
    それにしてもこの作家さんは、風、雨、青空、花、色彩を巧く取り入れますね。

  • なんか、面白いというのとは少し違うけど、感動レベルがすごく高い訳じゃないけど、なんか悪くないなと思った。
    ほんのり奥が温かい感じ。
    誰かのほんの些細な一言で、誰かが更正しようと思ったりね。
    サスペンスとかじゃないけど、めっちゃハートフルストーリーなんだけど、人との出会いとその謎解き感が妙にそういう感じっぽぃ、不思議な小説でした(笑)。

    後で最後のページを見て知った話。
    元々は別の人の書いた脚本で、それからインスピレーションを得て小説にしたらしい。
    そんな逆(?)パターンもあるんですね。

  • 妻と遅くに結婚し、早くにがんで失った旦那が妻の遺言に従い、長崎まで散骨にいく話。
    妻が好きだった風鈴の音が「凛」と表現されており、音以外も意味を含んでいる感じ。

    技術刑務官ということで、朴訥さを前面に出しているが、高倉健をイメージして人物像が出来上がっている感じ。
    吉永小百合と高倉健を絡ませるとこうなるのかもしれないが、小説として起伏に富んでいるわけではないような。

  • 他人と過去は変えられないけれど、自分と未来は変えられる。

    ちっぽけなことばかり気にしてないで、もっと大きく生きていかなければ!

  • よかった。
    いっぱいステキな言葉が散りばめられてる。
    「自分と未来は変えられる」そう思って頑張れたらな。
    最後は涙がキラリ。

  • 刑務所の刑務官である主人公が
    ガンで先立った妻、洋子の故郷に手紙を受け取り、遺骨を海に散骨しに行く物語。

    いつか妻と一緒に旅をするために作り続けていたキャンピングカーで、妻の遺骨と一緒に妻の故郷長崎を目指す。
    今まで、刑務官として真面目に、レールからはみ出さないようにしていた主人公にとっては初めて

    その道中で出会った男。
    過去、主人公が勤めていた刑務所で木工を教わったことがあった。
    車上荒らしを常習としていたが
    主人公と出逢い人生のやり直しを決意する。
    その男を変えた言葉が洋子の
    過去と他人は変えられない。
    未来と自分は変えられる。

    妻の故郷に向かう途中で出逢った、イカめし屋の営業マン。
    散骨の話をすると1人の漁師の紹介を受ける。

    故郷に着くとその漁師の息子に出会う。
    紹介を受けた漁師は海難事故で既に亡くなっていた。
    祖父に散骨をお願いするが、そこでずっと心にひっかかっていた本当に散骨していいのかを問われる。
    しかし、その故郷で受け取った洋子の最後の手紙を読み散骨を決意。
    この散骨のための富山から長崎への旅は
    洋子との最後の旅であり、洋子の夫への恩返しでもあった。

  • 人を愛する事の美しさに改めて気づかされた一冊。妻に先立たれた男に残された2通の手紙。1通は男の手元へ。もう1通は妻の生まれ故郷の長崎にある郵便局留めで配達される。亡き妻の謎の行動に戸惑いながらも、長崎へ旅立つ男。旅の合間に偶然のようでもあり必然のような出会いもあり、ちょっとしたロードムービーのようだ。「あなたと出会えたことは、わたしの人生における最良の奇跡」という妻の残した言葉。奇跡のような出来事や出会いは、日々、静かに繰り返されているのだろう。「あなた」がそこにいてくれる日々が奇跡そのものなのだ。

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著者プロフィール

1969年千葉県生まれ、早稲田大学卒業。2007年『海を抱いたビー玉』で小説家デビュー。『虹の岬の喫茶店』『夏美のホタル』『癒し屋キリコの約束』『きらきら眼鏡』『大事なことほど小声でささやく』等、映像化された作品多数。他の著書に『ヒカルの卵』『エミリの小さな包丁』『おいしくて泣くとき』『ぷくぷく』『本が紡いだ五つの奇跡』等がある。

「2023年 『ロールキャベツ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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