隅田川のエジソン (幻冬舎文庫 さ 33-1)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (285ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344418257

感想・レビュー・書評

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  •  墨田川の河川敷で暮らす路上生活者、硯木正一55歳の生きかたを描いた物語、小説というよりノンフィクションでしょうか。とても面白く一気に読了です。坂口恭平「隅田川のエジソン」、2012.3発行。東京は人間が一番あたたかい場所、東京には欲しいものがなんでも落ちている。

  •  浅草の公園で寝ていたら、財布とバッグが盗まれた。
     男は無一文になった。

     隅田川沿いのホームレスたちのコミュニティに入り込み、いつの間にか路上生活が性に合っていた。
     都市に出かけて採集し、工夫して新しくものを作る。
     コンロを手に入れて暖かい食事を作るようになり、バッテリーを手に入れて家電製品を動かす。
     廃材を手に入れて家を作り、お金にするためにテレホンカードやアルミ缶を採集する。

     隅田川には人が集まった。
     ホームレスだけじゃなく、何か面白そうだと普通の人も立ち寄るようになっていた。
     そんな隅田川に現れたコミュニティにも終わる時が来る。
     男は最後に隅田川という自由から旅立ち、より大きな自由へと旅に出る。

     これは実在する、あるホームレスの話だ。
     クリエイティビティは最新技術の追求なのか。
     現代人が忘れた、生活そのものの求道者を描く。

  • 「ゼロからはじめる都市型狩猟採集生活」→「TOKYO 0円ハウス0円生活」と読み進め、この考え方、生き方にハマって読んだ。隅田川沿いに住む「スーさん」が主役の自伝的小説となっている。ドロドロせずあっさり味な感じになっているのは、この生活自体がドロドロせずあっさり味なせいもあるかもしれない。

  • 隅田川に住むホームレスの工夫生活物語。色々と考えながら生活レベルを上げて行くのがオモロイ

  • いまから10年くらい前に
    「路上の夢」という、
    これまたホームレスのことを扱った本を
    読んだことを思い出しました。

    正直、ホームレスに
    あこがれもないんですけど
    この2冊を読むと、
    どっちが「普通」なのかが
    よくわからなくなります。

    いや、だからといって
    ホームレス願望がある訳ではないのですが
    一方で土地に縛られるのは
    まっぴらごめんだ、という意識も強いです。

    基本的には悲しいんですけど
    なんだかうらやましい、そんな話です。


    しかし、車のバッテリーが
    そんなに使える存在だったとは。。

  • 身一つで生きていくには人間力、コミュニケーション力、好奇心、独創性が必要なんだな。
    好機を逃さないアンテナも重要。
    生きるための知恵を獲得していかなきゃ。

  • 主人公は、立ち位置が変わり新たな環境で生活することになるのですが、今まで経験したことのないことを経験し、その環境を楽しめる主人公に感動しました。
    また、時が経つごとに、だんだん周囲の優しさがなくなって行くことに、今の日本の現状を表しているようで虚しさを感じました。
    自分は困っている人がいたら、手を差し出せる人になりたいと思いました。

  • 隅田川に実在のホームレスをモデルにした小説。これはある意味、本物のノマドなのでは!と衝撃を受けた。「家とは、生活とは、エネルギーとは、どのくらい必要なのか」普通の生活をしていると、全く見えないことばかり。実は12Vの電力でテレビ、パソコンなどの多くの電化製品が十分まかなえること、家の造りを把握しているので自分で自在に直せること。憧れるなー。

著者プロフィール

1978年、熊本県生まれ。料理家、作家、建築家、音楽家、画家。2001年、
早稲田大学理工学部建築学科卒業。2004年、路上生活者の住居を収めた写真
集『0円ハウス』を刊行。2008年、それを元にした『TOKYO 0円ハウス 0円生
活』で文筆家デビュー。2014年『徘徊タクシー』で三島由紀夫賞候補、『幻
年時代』で第35回熊日出版文化賞、2016年『家族の哲学』で第57回熊日文学
賞を受賞。著書に『cook』『自分の薬をつくる』『お金の学校』『ゼロから
始める都市型狩猟採集生活』『現実宿り』『よみぐすり』など。

「2022年 『中学生のためのテストの段取り講座』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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