モンスター (幻冬舎文庫)

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著者 : 百田尚樹
  • 幻冬舎 (2012年4月12日発売)
  • Amazon.co.jp ・本 (494ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344418509

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モンスター (幻冬舎文庫)の感想・レビュー・書評

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  • (殺したくないなぁ。
     でも、
     彼らと同じ空間には絶対いたくないし。)

    私はテッシュをざざざっと、まとめて抜き取りながら、心でいつも葛藤する。

    …こんな小さな蜘蛛なのに。

    人に攻撃する事もなく、
    ただ家の片隅にひっそりと巣をはり、
    懸命に生きているだけ。

    それなのに
    (気味が悪い。)
    それだけの理由で
    私は彼らの命を簡単に奪うのだ。

    外見が醜い、って一体どういう事なんだろう。

    彼女だって、
    モンスターなんかじゃなかった。
    ただ普通に
    普通の女の子と同じ様に、
    恋したり
    お洒落したり
    友達とおしゃべりしたいだけだった。

    でも、彼女の醜さは、それを許さなかった。

    哀しいのは、家族でさえ
    彼女を認めていなかった(彼女自身がそう思い込んでしまうような扱いをしていた。)事。

    ただ独りの味方もいない彼女に
    孤独は重く圧し掛かかる。

    絶望の淵に追い詰められた者は
    諦めるか
    歯向かうか、
    どちらか、であるというが

    そんな彼女の元に
    整形美容、という剣が降りてきた。
    最強の武器を手にした彼女は
    人生に立ち向かう事に決めたのだが…。

    読書中はずっと、
    薄暗い彼女の心の中に監禁されている気分だった。
    (綺麗になれ。
     綺麗になれ。)

    内側から願う様に必死で
    磨いてはみたものの
    心についた
    傷や汚れは簡単に落ちてはくれなかった。

  • 大好きですね。あらすじを読んだ時からピンときました。
    整形について現代社会に問題提起。
    衝撃を受けましたし、やっぱりかという残酷なラスト。
    人間やはりこんなものかと。
    見た目が全てではなくとも、やはり見た目が全てなのか。深く考えさせられました。
    果たして何が正解なのか。

  • 494ページあったらしいのですがほぼランチと通勤時間、2時間半で読み終わってしまいました。
    この著者は放送作家だったからか、情景をえがくのが本当に上手ですね。瀬戸内海に面した田舎の街に急にあらわれた美女。その美女の視点で、過去が明らかになっていく...というミステリアスかつドラマチックなストーリーが良かったです。

    ここからはちょっとネタバレな感想。
    人によって感じるところはさまざまだろうけど、主人公に悲壮感がないのが良かった。この著者、わかってんなと思った。醜いからこそのどん底の不幸を味わって、でも生きていくしかなくて、何も頼れるものもないなかただ生きて、ついに美を手に入れる方法を知って...という流れがとても普通で、わたしは完全に感情移入ができてしまい、やれ!やれ!と思ってしまいました。(きっと、もうやめて!と思う人もいるだろう)

    たぶん、この本の主人公ほどではない...(ということにしといて...)ので大してひどい目にあったことはないけど、残念な見た目のせいで、普通の人より周りの人間の色々なところが見えてしまうということは往々にしてあります。
    男は知らないけど、女は会った瞬間に無意識に順位をつけているのだ。そうでないという女は自分が上であるというよほどの自信をもった人か、よほどの幸せ者(頭に花が咲いているという意味で)である、というのが私の持論。
    だからいま、マウンティングなんていうものがテーマの深夜ドラマが流行っているのだと思います。

    その順位付けで自分がランク外なんだ、誰にも愛されないんだと常に認識させられることの辛さ。誰にも頼れず、抜け出せず、自分の思考の渦だけにはまっていく怖さ。この不幸はあまりわかる人はいないだろう。この著者はかなりうまくこういった女性の心理状態を描いているとおもう。

    もっと違う不幸にあって悲しんだり悩んでいる人はいっぱいいる。その方たちは本当に可哀想だとおもうけど、悲しみを表に出せて「隣の人は本当はもっと不幸かもしれない」なんて発想は持たずに悲しめるなんて、なんて幸せなことよと思ってしまうこともある。
    この本の主人公のような不幸は小説だからわかるのであって、表立って悲しむことができない不幸。誰にもわかってもらえない不幸。
    だから全てを壊して作りかえた主人公には喝采を与えたくなったし、過程がとても面白かった。
    少し物足りなかったのは、元の自分を愛してもらいたいという最後の部分が少し陳腐に思えたのと、ラストのオチはもうちょっと残酷でもいいのになというところと、主人公の妄想シーンが多くて時々どれが事実かが著者の演出以上にわからなくなりがちだったところかな。

    うーん、相変わらず感想文が性格悪いんですけど、ほら、この本の主人公みたいなもんだと思ってください。整形前の。
    この本を読んでどう感じるか?いろんな人に聞いてみたいなぁ。

  • 賢いブスより愚かな美人
    というが、その通りかもしれない。理由は、自分の審美眼に自信がないから。どうすれば、本当に品性を備えたひとを突き止められるのか。
    この本の主人公の顔は醜かったかもしれないが、心はまっすぐで文字通り一途な人生を歩んだひとだと思う。崎村は唯一それを理解した存在で、医者や他のエリートとは人間の深みが違う。なぜ、自分の見る目に自信を持てたのかが興味深い。
    足森が未帆を口説くシーン、エレガントだには確かに深みがない。あなたはどういう人だ、と的確にいってあげられることには知性がある。客観的にどう言いうるか、相手がどう言われると嬉しいか、の両方を理解出来る必要がある。

  • リアルだ。

    もちろんフィクションではあるが、登場人物の心はリアルであり、醜い。

    人間の心は醜い。

    私は美しくありたいと思っているが、醜い。

    百田作品、永遠の零に続いて二作目の読書。
    ちまたでは海賊と呼ばれた男が流行っているのでしょう。

    百田作品を評してわかりやすいが資料的だと。
    私は構わないと考える。

    40になろうとする私はいくぶん先入観というものを排除できるようになってきた。
    解説を面白いと思ったことは少ないのだが、
    中村うさぎ、うまいこと言う。

    小説は面白ければ良い、
    作者が何をいいたいのか考えることもない。
    何か身につけなければいけないこともない。

    それでも何かを感じられたときには、嬉しいものですよね。

    人生なるようになる。
    プラスがあっても、マイナスがあっても、落ち着くところに落ち着く。
    この気持ちがあれプラスを楽しめる。
    マイナスを意識しすぎることもない。

  • 幼少期からあまりにも外見が醜く、同級生からモンスターとも言われたヒロインは、様々な過程を経てあらゆる整形を繰り返して絶世の美女となり、
    かつて初恋した憧れの人が偶然一目惚れしてくれるよう、故郷でレストランを開きながら過去を回想していく。

    あまりにも切なく、それでも夢を叶えた姿に、思わず心を打たれた記憶に残る作品!


    以上、そんな内容でして、
    これは以前に1度読んだはずですが、何故か読書記録に書き漏らしてました(>_<)
    でも約3年前に読んだ時は、怖いサスペンスと思って読んだら怖くなくて切ない作品でガッカリしたものの、
    今読んだら、昔からの夢の実現に向けてひたむきに生きたヒロインの姿に、思わず心を打たれて感動してしまいました……。

    人生様々でして、若い頃は特に外見が及ぼす影響も大きく、ヒロインの苦難の背景にも『人間はそういう愚かなものだ』と頷くばかりでしたが、
    それでも幼い頃からの夢を2つも叶えたヒロインは幸せなラストだったと思います。

    僕も今年は、もう悔いはないと思える幸せな瞬間を味わえたら、それだけで人生は最高だなと思っていて、
    今年は『読書でも他の趣味でも旅行でも最高の幸せを満喫』出来、万が一、いま突然人生終了しても一切悔いはないと思える境地なので、
    この作品のヒロインも悔いなく人生を全うしたように感じ、その点は素晴らしいなと思いました。

    ただヒロインは整形しまくるし、整形代のために風俗でさんざん稼いだりもして暗い箇所が多く、人に薦める作品ではありませんが、
    それでも個人的には、あまりにも切なくて良い作品でした!

  • *田舎町で瀟洒なレストランを経営する絶世の美女・未帆。彼女の顔はかつて畸形的なまでに醜かった。周囲からバケモノ扱いされる悲惨な日々。思い悩んだ末にある事件を起こし、町を追われた 未帆は、整形手術に目覚め、莫大な金額をかけ完璧な美人に変身を遂げる。そのとき亡霊のように甦ってきたのは、ひとりの男への、狂おしいまでの情念だった——*

    再読。ストーリー展開の面白さが申し分なく、さすが構成作家さん!と夢中で読んだ初読時が懐かしい。広げる前に萎んで打ち捨てられた伏線や、回収しきれなかった小ネタの残骸、繋ぎの粗さ、なによりも稚拙で紋切り型の文章能力等々が気になって没頭できずの再読。和子にも全く共感出来ず。ネタも展開も面白いのに、本当に残念。

  • 子供の頃からその醜さ故に、同級生だけでなく家族からも愛されることなく、心を歪めてしまった田淵和子。一方的な片想いで人道外れる事件を起こした末、東京へ出て整形手術を繰り返し、莫大な金額をかけて完璧な美人に変身する。そして男への復讐と忘れられない片想いの成就を為し遂げる。
    男の愚かさだけでなく、女性の怖さの描きかたも強烈だ。作者のメッセージは、社会そのものが外面重視であり、都合よく使われる『心の美しさ』を根本的に疑問視している。ひとは誰もが一種のモンスターであると訴えたかったのではないだろうか。本作の登場人物で最もまともなのが、反社会勢力の崎村のような気がするのが皮肉だ。

  • 一言でいうと「大人のラノベ」。さらっと読めて、ところどころギョッとはするものの、それで終わり。あとには何も残らない。

    ストーリーは桐野夏生氏「グロテスク」と山田宗樹氏「嫌われ松子の一生」と林真理子氏「葡萄が目にしみる」の話題になりそうなところに、聞きかじりの心理学と美容整形の知識を大量に混ぜ込んだ感じ。

    美容整形の金額や手術内容について必要以上と思えるほど詳しく記載があるが、術前の葛藤や術後の物理的な痛みについてはほとんど記載がない。
    手術費用を稼ぐために売春を始める際も「特に何も感じなかった」とあるように、ただただあっけらかんとしているばかりで、主人公にどうにも共感できない。

    読後、百田氏が構成作家出身だと知り、合点がいった。
    作者が求めているのは、ウケること、売れることであり、「視聴率を取れた者が勝ち」というテレビ屋の発想なのだ。

    以前、同氏と村上春樹氏のどちらの本が売れるかと思うか、というテレビ番組を見たことがある(なぜか百田氏のみ出演)。
    コメンテーター(田嶋洋子さんと徳川家の末裔だか少し前に女性関係でワイドショーを賑わせていた男性と八田さんという東大出身のタレント他数名)は、皆百田氏側だったが、その理由の多くが、「村上春樹は分からない」というものであった。

    文化人といわれる彼らでさえ、分かろうという努力をせず、一度読んだだけですぐ分かるものに飛びついているのである。
    百田氏の作品が売れるのも分かる気がしないでもない。

    ただ断言したいのは、村上氏と百田氏、それぞれ同じ冊数の著書が売れた場合、ブックオフなどの古書店に回るのは圧倒的に百田氏の著書だろう。
    村上氏のファンが熱烈であることを差し引いても(私はハルキストではありません)、同氏の著書は繰り返し読みたい魅力を感じるが、百田氏の著書は一度目を通せば十分だからだ。

    これこそが、ずばり、文学とそうでないものの違いだと思う。

  • 醜い顔を持つために幼い頃からバケモノ扱いされてきた女性が整形し、絶世の美女に生まれ変わったことから、彼女の人生は一変する。醜い容姿のせいで今まで男性から見向きもされなかったのに、美しくなった途端、男は皆、彼女の美しさに心を奪われ、なんとか彼女を自分のものにしようとする。彼女はそんな男たちを手玉に取る。しかし、女性として幸せな人生を手に入れた彼女にも、どうしても忘れられない初恋の男性がいた。彼女は、初恋の男性に会うため、故郷に戻ることを決心する--。
    物語の進め方は、過去と現在が交錯しながらも、基本的に時系列に進み、とても丁寧である。
    バケモノと呼ばれた彼女の容姿がどれほど醜いかは、作者の描写がとても丁寧なので、まるで写真を見ているように想像することができた。また、整形手術を繰り返し、顔をいじっていく様子がとてもリアルに描かれていたので、整形手術や美人の顔の条件など、ちょっとした勉強になった。
    最後まで読んでみて、私にはとても彼女の人生が哀れに思えた。でも、彼女はきっと幸せだったのだろう。

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町で一番の美女・未帆はかつてバケモノと呼ばれていた。醜い女が完全なる美を獲得した先にあるのは誰もが羨む幸せか、それとも破滅か。

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