いのちのラブレター (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (307ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344418677

感想・レビュー・書評

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  • 脱サラし、京大医学部に入り直して現在フリーの内科医として働いている作者。
    舞台は京都、主人公も同様の経歴、校風や立地からも学び舎は京大のようだ。
    京都に馴染めずにいた主人公が、賀茂川のほとりで佇む白いワンピース(ベタすぎる)の美女に一目惚れ。紆余曲折あり晴れて彼女とお付き合いするも、急に彼女と連絡が取れなくなり悲嘆にくれる主人公。

    音信不通の八年を経て、彼女から手紙が届き…

    うーん…正直ストーリー自体はやや陳腐かなぁ。主人公はともかく相手の女性がいまいち好きになれない。一方的に別れを告げておいて…って気が。美女だから許されるの、それ?

    ともあれ、この職場に馴染めずにいて自分で決めたこととは言え、最後と思えば少し寂しくなる一ヶ月である。

  • 主人公たちの幼さに若干憤りを感じもするが,恐らく,その幼さは誰しもが心の奥に秘めているものなのだと思う.つまりは僕の嫉妬なのである.
    以下あらすじ(背表紙より)
    総合病院の内科医として働く拓也の前に、9年前に姿を消した恋人・沙緒里が患者として現れる。この病院を選んだのは偶然なのか、そしてなぜ彼女は突然いなくなったのか。疑問を抱きつつ治療にあたる拓也は、彼女への未だ消えぬ思いに気づく。だが、彼女は不治の病に冒されていた…。ベストセラー『研修医純情物語』の著者が描く感涙の物語。

  • こんな愛の形もあるのかと思った。長い年月を経て辿り着いた幸せ。
    あまり共感は出来なかったけど。

  • 作者の作品はどれも読みやすく、真摯に生きる、作者の分身である主人公がいつも好きだ。
    けれど、この作品のヒロインの身勝手さにどうしても共感できない。
    ので、読みやすかったけれど、作品としては評価しません。

  • 別れては再会しお互い忘れられずに想っている。素敵なラブストーリーでした。

  • 医師になる過程がとても具体的で本筋よりも興味深く読んだように思った。

  • 脱サラして京都の医大に入った主人公は、1人の美大生の女性と出会った。それから二年を経て、彼がようやく解剖実習を経験し出し医師への道を進み始めたとき、彼女と再会する。つかの間、恋人として付き合った2人だったが、唐突に彼女は姿を消す。
    数年後、医師になった主人公の前に彼女から手紙が届き、彼女は妻帯者となっていたが2人は逢瀬を繰り返し、そしてまた姿を消す彼女。
    次の再会は、病棟の医師と患者としてだった…

    村上春樹とか辻仁成とかの系列の作品に多いナルシズム的な部分がちょいちょい、読んでいてうーん…という気にさせられる。なんだかんだ言いながら不倫を運命といって肯定するような話の筋書きにもなってるし。

    でも現実不倫ってそんなものなのかもなー…という気持ちもちょっとある。

    好きな人は好きなんだろうなーわかる人にはすごくわかっちゃうんだろうなー、このケータイ小説みたいな感じ…的な…

  •  小学生のころ故郷で見た蛍と種類がちがうのか、あるいは長年かけて記憶がうすれてゆき、頭の中で勝手にイメージが作られてしまったのか、蛍が放つ光は拓也が思っていたほど、きらびやかではなかった。
     うすい緑がかった黄色い光をつけたり消したりしながら、昼の熱気冷めやらぬ夏の夜気に、蛍は幻想的な光の弧を描いている。
     一見はかなげだが、それでいて、けっして弱々しくないーその光のなかに確固たる意志が秘められているように、拓也は感じた。ときおり闇のなかにくっきりと姿を浮かび上がらせ、蛍は各々の生の営みを、精いっぱい力強く宣言していた。

    沙緒里とつきあいはじめてから、いままで文句ばかり言っていたこの土地が、急に親しみの持てるあたたかい町に変わった。

    どんなに悪態をつこうが、おのれの浅はかさを悔やもうが、拓也は沙緒里を愛していたのだ。
    たった二ヶ月間だったが、彼女と過ごした濃密な日々が、拓也の頭のなかで走馬灯のように回っていた。
    沙緒里なしの生活を、拓也は考えられなかった。明日からどうやって生きていったらよいか、わからなかった。
    彼女なしでは映画なんか観たくない、賀茂川を散歩したいとは思わない、医者になるための勉強もする気になれない。彼女なしでは…。

    思えば京都の街を好きになれたのも、賀茂川沿いの散歩が日課になったのも、彼女のおかげである。たった二ヶ月のつきあいだったが、京都での六年間の思い出は、沙緒里とは切っても切れないものだった。
    三年半のあいだ胸のなかでくすぶりつづけていた沙緒里への思いが、いまようやく吹っ切れたようなきがした。

    「おまえの心のなかには、一人の女が住みついている」と指摘されたとき、はからずも拓也は、胸のうちをすっかり見透かされたような気分になった。沙緒里への思いはすでに過去の遺物である、と自分なりに結論づけていたにもかかわらず。
    たしかに沙緒里と別れた後、心から好きだと思えた女性は一人もいない。ひょっとしたら彼女はいまも心のどこかに住んでいるのだろうか。そして知らず知らずのうち、自分の行動に影響を与えているのだろうか…。

    つまらん世間の常識や中途半端な倫理観に縛られるより、自分の思いに縛られて生きるほうが、ずっと人間らしいじゃないか。
    理屈じゃないのさ、男と女の関係っていうのは。自分にとっていかに悪い女だろうが、どんなに実りのない恋愛だろうが、惚れちまったらしょうがない。
    前へ進むだけが人生じゃない。

    未だ彼の心のどこかに、沙緒里は住みつづけていた。どんなに強硬な手段をとろうが、彼女はけっして退去してはくれなかった。
    彼の心が満たされることはなかった。

    心からわかりあえるなどと言っておきながら、けっきょく私は自分のことしか考えられず、わが身を守るため、逃げ出してしまいました。
    もし拓ちゃんに真実を伝えられたとしても、結果は同じだったかもしれない。でも、いまになってしみじみ思うのは、いちばん大切なのは結果じゃないということです。あのとき拓ちゃんに何も伝えなかったことを、私は心の底から悔やんでいます。何もわからないほど辛いことはないですよね。
    拓ちゃんがどれほど裏切られた思いをしたか。どんなに悲しく、むなしい思いをしたことか、私には想像も及びません。一生お詫びしつづけてもまだ足りないでしょう。

    振り返っちゃいけない…。沙緒里は生きている。ぼくにも、そして彼女にも、明日があるんだ。
    夜が明けた。まるで、はじめての朝を迎えたように。
    新しい朝が、ようやく拓也に訪れた。
    彼は感じていたー胸のどこかでくすぶっていた沙緒里へのわだかまりが、きれいにとけてゆくのを。そして、心の底から素直に「沙緒里を愛している」と言える自分が、いまここにいることを。
    拓也は心に誓った。すべての悲しみにさよならを言おうと。迷うことなく自分の思う道を歩いていこうと。

    二十二年間、私の心はある一人の女性とともにあった。彼女と一緒に過ごしたときも、そうでないときも。

    毎日、賀茂川をお散歩して。私も、お供するから。

  • つまらなくはないんだけど
    いまひとつだなぁ。
    少しグダグダかも。
    感動もあまりしなかった。

  • あなたは最期の時、誰に会いたいですか? 誰だろう

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