絶望ノート (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
3.65
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本棚登録 : 2492
感想 : 216
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  • Amazon.co.jp ・本 (647ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344418981

作品紹介・あらすじ

中2の太刀川照音は、いじめられる苦しみを「絶望ノート」と名づけた日記帳に書き連ねた。彼はある日、頭部大の石を見つけ、それを「神」とし、自らの血を捧げ、いじめグループの中心人物・是永の死を祈る。結果、是永は忽然と死んだ。が、いじめは収まらない。次々、神に級友の殺人を依頼した。警察は照音本人と両親を取り調べたが、殺しは続いた。

感想・レビュー・書評

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  • 中学生の太刀川照音はイジメに遭っていた。その苦しみ、怒り、両親への不満を「絶望ノート」と名づけた日記帳に日々記していく。ある日、校庭で人間の頭部大の石を見つけて持ち帰り【神】と崇め殺人を依頼したところ叶ってしまう。照音は次々に名前を日記帳に書きつけ神に祈るたび悲劇が起きていく。神とは?友達とは?親子とは?望みが絶たれていく様が描かれた驚愕ミステリ。

    歌野晶午2作品目。
    前読【ハッピーエンドにさよならを】が傑作だったこと、ブク友・奏悟さんより「ぜひやれられてみて欲しい」とのリクエストもあって、長きに渡り積読棚に鎮座していた本書を手に取るに至った。

    約600ページの厚さに躊躇を感じていたものの、とても読みやすい文体かつ内容がスリリングでハラハラドキドキとページをめくる手が止まらなかった。

    確かにここに絶望があった。いや、絶望しかなかった。

    主人公のショーン(太刀川照音)の絶望ノートという名の日記を主として進行していくのだが、悲惨燦々たるや否や、わや。兎角、イジメの描写がリアル過ぎて息が詰まる。そして、イジメをうけた側の本音と怨念節がエゲツなく胸の奥がギューっと鳴った。

    個人的には10月24日(水)の日記が1番エグられた。
    誰かの死を願う日記よりも自然過ぎて深くエグられた。

    イジメという言葉に心身的アレルギーや不適応と感じられる方は避けた方が良い作品かもしれない。私はミステリ作品として、延いては社会問題をテーマとした作品として傑作に1票。

    大人に振り回される子供、子供に振り回される大人、どっちもどっち。掛け違えたボタンに気付いているのなら、決してそのままにしてはいけない。

    • みたらし娘さん
      akodamさん

      こんにちは!
      読みました〜!絶望ノート!
      akodamさんがおっしゃってた通り、絶望しかなかったです!笑
      いじめの描写が...
      akodamさん

      こんにちは!
      読みました〜!絶望ノート!
      akodamさんがおっしゃってた通り、絶望しかなかったです!笑
      いじめの描写がまた生々しくて…

      しっかり絶望味わわせていただきました笑
      またakodamさんのレビュー楽しみに待ってます♪
      今後ともまたよろしくお願いいたします_(。。)_
      2022/07/16
    • akodamさん
      みたらし娘さん、おはようございます!

      絶望ノート、読まれたのですね!
      みたらし娘さんのレビュー拝読しましたが、仰る通り中学生の日記ならでは...
      みたらし娘さん、おはようございます!

      絶望ノート、読まれたのですね!
      みたらし娘さんのレビュー拝読しましたが、仰る通り中学生の日記ならではの幼稚さがありましたよね!
      ゆえに願望がとてもリアルで、恨みつらみの陰湿さが増してていじめ描写の生々しさ…本当に絶望しかない作品になったのではないかと…。

      そして著者の他作品【葉桜の季節に君を想うということ】私も入手して本棚に鎮座しているので、いずれ体感したいと思います!!^ ^

      コメント嬉しかったです!
      こちらこそ今後ともよろしくお願いします(´∀`*)
      2022/07/17
    • みたらし娘さん
      akodamさん☆

      おはようございます!
      ご丁寧に返信ありがとうございます(*´ω`*)
      そうなんです!女子トイレのくだりとか、まさに中学...
      akodamさん☆

      おはようございます!
      ご丁寧に返信ありがとうございます(*´ω`*)
      そうなんです!女子トイレのくだりとか、まさに中学生という感じで…汗汗

      【葉桜の季節に君を想うということ】
      お持ちなんですね!
      何を書いてもネタバレしてしまいそうなので、ぜひいつか素敵なあの感覚を味わってください\( ´ω` )/笑

      ありがとうございました♪
      2022/07/17
  • ブク友さんのレビューから気になり読んでみた。
    絶望しかないと聞いてはいたけど…
    本当に絶望しかない!!!叫

    いじめにあっている中学生男子の日記が主体となって物語が進む。
    いじめの内容とか、それに対する思いが日記に書いてあるんだけど、やることや考え方がやっぱりまだ中学生だなあ…それにしても劣悪。という生々しさもあったし、親や周りの大人の行動も現実的。

    そんな中、日記で【死んで欲しい】と想い書き綴った相手が本当に死ぬ。次々に死ぬ。
    一体誰が!?というミステリー。
    先が気になって後ろから読みたくなった笑

    結末はそうきたか…!!!
    筆者である歌野晶午さんの【葉桜の季節に君を想うということ】よりか驚きは少なかったものの、それでもびっくり。
    そしてやっぱり絶望しかなかった

    なかなか厚みのある1冊だけど、不思議と長いとは感じなかった。
    【いじめ】という問題に目を向けることも出来るし、ハッピーエンドは待っていないけど気になる方はぜひ。

    こちらの1冊に出会わせてくださったブク友様、感謝です☆

  • 他の方の感想を読んで。登場人物の誰も好きになれない。ほんまや!わたしも!
    じゃあ何にぐいぐい引っ張られてあっという間に読み終わったんだろう。しかも再読で、(ずいぶん前で細部は忘れていたけど)どんでん返しの中身は分かっていたのに。
    照音の文章力かな。中身は胸糞だけど、あの量、臨場感、構成、中学生が日記であれ書いてたら化け物やん。それをあんな動機で物しちゃうからヤバイんで、上手にフィクションに落としこめるように周りの大人が道筋を付けてあげられれば…。
    あ、周りの大人も全員ヤバかった。絶望。

  • 題名だけみて買った一冊。

    だまされたの一言がでる話だった。

    あとラストがモヤモヤというか中途半端

    主人公が書いた日記のせいでいろんな人が振りまわされている。
    主人公より振りまわされている人達のほうがかわいそうに感じる。

    主人公は事の真相を知ったらどう思うのか?
    ラストにその辺を書いて欲しかった。

    話の構成はどんでん返しがいくつもあったみたいで面白かった。

    しかし主人公に全く共感できない小説でした。

  • 長いな。中学生の書いた日記のため、表現の稚拙さなどを含め再現しているが冗長。
    しかしラストで一気にひっくり返る。
    またやられた。

  • オイネプギプト様。私の望みも叶えてください。お金持ちになりたい!!笑

    面白かった。。他の人が書いてるように好きになれる登場人物はいないかな?来宮先生くらいかな?

    終盤100ページ。完全にそれまでの記述に騙されてたー!!2日で読了。

  • 歌野晶午さんの本を読むのは今作が初めてです。

     いじめられている少年、太刀川照音(たちかわしょーん)。ジョン・レノンかぶれの父親と瑤子(よーこ)の間に生まれた彼の日記からこの物語は始まります。
     母親、父親……と移り変わっていく語り口から、彼が神に祈り続けた結果、自分をいじめていた男子生徒が呪い殺されてしまったように見えますが、真相は果たして……?
     という物語。

     文庫本には珍しくずっしりと重い647ページの大作ですが、次はどうなるんだろうと期待が膨らんですぐに読み終えてしまいました。
     いじめ描写がかなりリアルで、過度な脚色をされていなさそうなのが怖い。実際、照音のようにいじめに苦しんでいる人間は数多くいるのではないかと安易に想像がつくほどです。
     しかし、後半になるにしたがってポツポツと明かされていく謎の種明かしはやがてどんでん返しとなり、個人的には大きな種明かしよりも、「そこ、こうだったのか!」という点が別にあったりします(笑)

     ネタバレしない前提の感想なので面白さがイマイチ伝わらないかもしれませんが、ミステリー小説にありがちな「あいつも怪しい、こいつも怪しい」ではなくて、(そういう風に読むと余計に分からなくなる)まさに語り口からのトリック、言葉の世界でしか通じない仕掛け(とあとがきで言われていました)そのものといった感じです。

     私は他の方のレビューをちょこちょこ読んでから読み進めてしまったので、中には確信スレスレのコメントをされている方もいるので、読み終えるまで謎は大事に取っておきたい方はレビューを見ない方がいいかも。

     また他の作品も読んでみたいと感じました。
     おすすめです!

     【今回、この本で感じたテーマ】
     ・いじめ
     ・家族(の問題)
     ・親類
     ・殺人
     ・犯罪

  • 2022年初読了本は本書、『絶望ノート』。

    仕掛けは予想の範囲内ではあったものの、後からジワジワ来るタイプの驚き。
    家族への屈折した思い、諸井のイジメ、そして言葉の力。
    確かに口頭で言われるより、覗き見した相手の日記に書かれている方が圧倒的に信じやすい。

    どの人物も腹に一物抱えているといった感じで、そんな小説にも一人はいるような明るいキャラクターはいない。
    物語は終始暗い雰囲気で進んでいくが、シリアスになりきらないのはやはり文体の妙。

    登場シーンは少なかったが、大迫はもう少しクローズアップしてほしかったかな笑。

  • 結構な厚さだったが、1日で一気読みしてしまった。

    単純なイジメ、復讐物語かと思ったら複雑な因果が絡んでくる。

    犯人は父親なのか?母親なのか?それとも!?

    どれもこれもいい意味で裏切られ、
    ついついのめり込んで読んでしまった。

    葉桜の季節に・・・より、こちらの小説の方が好みだな(*^^*)


    面白かった!満足!

  • 葉桜を読んだので、こちらも読んでみた。
    葉桜でハードルが上がりきってるものだから、あの時ほどの「やられた!」感はない。

    ただ、期待をして読んでいるため他の作品とは違って、推理しながら読むのはやめた。書かれていることを割と深読みせずにそのまま受け取って読んでいたのだが、やはり今回もヌルッと読者の思考を覆す。
    そしてすぐにはそれを詳らかにしないところ。先まで読みたくなってしまう技だ。意味深な言葉を書いておきながら、そのまま一旦放置されるのだ。これがページをめくる手が止まらなくする要因だ。

    半分くらいは全くどのように着地させるのか分からなかった。500ページくらいでも、展開も含めて想像がつかなかっただろう。それは主人公の照音の日記に基づいて進んでいたからだ。決して、照音のその時の感情の描写ではない。日記を我々読者も読み続けていた。「トヨヒコ、ダメだなぁ」と必要以上に思わされていた。照音の賢さに驚かされる。

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著者プロフィール

1988年『長い家の殺人』でデビュー。2004年『葉桜の季節に君を想うということ』で第57回推理作家協会賞、第4回本格ミステリ大賞をダブル受賞。2010年『密室殺人ゲーム2.0』で第10回本格ミステリ大賞をふたたび受賞。

「2022年 『首切り島の一夜』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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