ぼくたちの家族 (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 815
感想 : 90
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420076

作品紹介・あらすじ

家族の気持ちがバラバラな若菜家。その仲を取り持ってきた母の玲子の脳にガンが見つかった。突然の出来事に狼狽しつつも玲子のために動き出す父と息子たち。だがそんなとき、父が借金まみれだったことや、息子たちが抱いてきた家族への不満が露になる…。近くにいながら最悪の事態でも救ってくれない人って何?家族の存在意義を問う傑作長編。

感想・レビュー・書評

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  • 家族が病気になった。
    それは今までバラバラだった家族を、唯一つないでいた母親。
    それを機に、少しずつ何かが変わっていく───

    それまで好き勝手にしていた家族が、その存在の大きさに改めて気づき、
    自分にできることを模索し、力を合わせるようになる。

    ラストにかけて、こんなにうまくいくことってあるのかと思ったりしたけれど、良かったです。
    (著者の実体験を元に書かれているとのこと。)
    安西監督ではないけれど、「あきらめたらそこで終わり。」なんだものね。
    最悪の状況を嘆くばかりではなく、信じて支え合うことの大切さを痛感した。

    読み始めてすぐ、改題前の『砂上のファンファーレ』を数年前に読んでいたことに気づいた。
    この数年の間に、自分と家族の中でも様々な変化があって、いろんな思いがよぎりました。
    病気になるのは辛いことだけれど、それが誰であっても、そのことで見えてくるものってあると思う。

    家族ってなんだろう…親と子、夫と妻、
    いつもそばにいてくれる人?守り、守ってくれる人?
    その関係も、決していいことばかりではないと思う。
    近くにいる分、不平不満もある。
    でも、血のつながりがあってもなくても、一緒に過ごした時間はかけがえのないものなのだと信じたい。

  • 弟ー!!
    ちょっと頼りない感じだったけど、よくやった!
    お母さんの病気がきっかけで、家族の団結力がすごく素敵なお話でした。

  • 母親の病気発覚から様々な家族の裏側が明らかになっていく。家族とは何か、を真正面から捉えた本作。誰もがいずれ当事者になる可能性のある物語。その時、何を考え、どう行動するのか。
    10数年前の自分に起きたことが苦々しく思い起こされる。浩介のようにも俊平のようにもできなかった自分...。ただ、後悔だけはなかった。なんの説得力もないものに寄りかかって今日も生きていくだけ。

  • 家族の物語、自分の身に置き換えながら読んでしまう。母親に癌が見つかり壊れていく中で家族それぞれの思いが語られる。現実に起こりうる展開は先が気になり一気読みしてしまう。イノセントに続いて読んだ著者の作風は好きかもしれない。

  • 母の物忘れからはじまり、どたばたと家族が追い込まれていく。
    なんだかすごくリアルで読みすすめながら怖くなったけど、家族のありかたを考えさせられた。
    俊平の明るさにだいぶ救われた!

  • 先日読んだ映画紹介の本の中に、この作品が映画化されており、妻夫木聡が長男役をやっていたというのを知って読みました。もとは「砂上のファンファーレ」というタイトルの作品だったのを映画化に合わせタイトルを変えたということです。映画は今後機会があれば見たいのですが(もしかしたら観ているかもしれない)、母親の脳腫瘍発覚をきっかけに、父親、まじめで引きこもり経験もある長男、お調子者の次男が自分たちにできることは何かを考え、絆を深めていく話。結局、みんながお母さんのことを本当に大好きで、何とかしたいと思っている気持ちが、ビンビン伝わってきて、つらい部分もあるけれど、精一杯を家族のためにやっていく過程が泣けてきました。壊れかけた家族がまた再生していくというのは良くある話かもしれないけれど、とてもリアリティがあってよかったです。それぞれ守りたいものがあるし、自分を誰かに置き換えることもできて、一気に読み終えられる作品でした。

  • ちゃんとしてて当たり前の母親が壊れてそれに奔走する家族の話。

    こういうシチュエーションは娘の立場から見たものが多いと思うが 2人とも息子。

    夫があまりいいところがなかったが、お兄と弟がそれぞれのキャラで気持ちを切り替えていくのが興味深かった

    「幸せかどうかは、いつか死ぬときにしかわからないんだと思う  (中略) 一つ一つ積み重ねて、たとえそれが何歳のときだったとしても、私は最期に笑って死んでいきたいな」

    好きな作品。

  • こんなエンディングになるとは当初は全然思わなかった。良い医者に罹るかどうかが生死を分ける。その前に病気になりたくないけど。

  • 序盤、あまりにも怖くて(年齢からリアル)読み飛ばしたくなりました。
    家族の温かさ…のような平和な着地でしたが、なんとなくザワザワした読後感です。

  • 物忘れから始まった母親の不調、そこから上辺だけで繋がっていた家族が、ぶつかり合って苦しみながら団結していく。そこでもがいて素直に前を向けるのは、やっぱり家族としての基盤がちゃんとあったからなんだと思う。すごく心に刺さる内容だった。

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著者プロフィール

1977年神奈川県生まれ。2016~2022年に愛媛県松山市で執筆活動に取り組む。現在は東京都在住。2008年に『ひゃくはち』でデビュー。2015年に『イノセント・デイズ』で第68回日本推理作家協会賞、2019年に『ザ・ロイヤルファミリー』で山本周五郎賞とJRA馬事文化賞を受賞。その他の著作に『95』『あの夏の正解』『店長がバカすぎて』『八月の母』などがある。

「2023年 『かなしきデブ猫ちゃん兵庫編  マルのはじまりの鐘』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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