その桃は、桃の味しかしない (幻冬舎文庫)

著者 :
  • 幻冬舎
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本棚登録 : 497
感想 : 31
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  • Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344420595

作品紹介・あらすじ

高級マンションに同居する、奏絵とまひる。姉妹でも友達でもない二人の共通点は、同じ男性の愛人であることだった。割り切って始めた共同生活で二人分の食事を淡々と作り続けるうち、奏絵の心境は変化していく-。若い女性から圧倒的な支持を集める恋愛小説の新旗手が「食べること」を通して、叶わない恋と女子の成長を描いた長編小説。

感想・レビュー・書評

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  • 同じマンションでルームシェアをしている、まひるとわたし。
    共通点は、同じ男性の愛人であること。


    ユニークな設定。
    だけど、普通じゃないからこそ、共感しながら読み進めるのがかなり難儀。

    主人公の奏絵が平井さんのことが本当に好きなのか、世界が狭くならないようにバイトをしているのになぜおかしな生活を続けられるのか、始めようと思ったのか、何がきっかけでまひるは奏絵に話しかけだしたのか、謎が多いままずっと進んでしまう。そこにモヤっと。

    個人的に好きな展開だったラストにやっと希望が見えて良かった。

  • 高級マンションに同居する、奏絵とまひる。
    姉妹でも友達でもない二人の共通点は、同じ男性の愛人であることだった。________

    すごい関係性で成り立ってる人たちがいるもんだな…
    自分とは無縁の世界すぎてポカーン(・Д・)としながら読んだ

  • 静かにたんたんと進むお話がよい。いびつな日常。

  • こういう"静かな奇妙さ"と呼ぶような、愛人という存在を介して出会う2人の女性の間の、明確には描かれないが、静かに小さく、確実に熱いものが波打つような、こういう心理の変化を味わうのがとても面白い作品だった。答えは行間にある、と言わんばかりの、描かない描き方ができるのでやっぱりさすがだと思う。

    "この日が永遠じゃないことはわかっている。けれど永遠なんて、どこにもないのだから、それで構わない。わたしは、それでも心の一部で、この日常を大切に思いはじめている自分に気づく。"

    "「自分で勝手につらくなっておいて、人のつらさを否定するのはやめて。自分だけが不幸だと思ってるのかもしれないけど、今の状況だってまひるが選んでることでしょう。それなのに薬飲むとか、そういうのは本当にやめて」"

    "「してた。俺たちが味方って言った。まひるは入ってなかった。まひるは、ずっと、一緒だったのに」"

    "何もかも、わたしのものじゃなかった。"

    "「悲しい?」まひるに訊かれて、一瞬ひるんだ。あまりにもストレートな質問で。それに、何を指しているのかわからなかった。携帯電話のことじゃない気がした。"

  • 記録用

  • 愛人同士の同居という変わった物語。私にとって主人公の奏絵ちゃんが1番謎だった。
    食べ物を主軸にくるくると話が紡がれていくので美味しそうだなぁとお腹すいてくる。桃の美味しい食べ方も紹介されています笑

  • 表紙のイラストのインパクトがありつつ淡い感じがそのまま物語とマッチする。
    解説までを含めて比較的サラッと読める印象。
    読み終わったときの達成感や納得感が多少薄いような気もするが、それも含めて良さという感じ。
    何より桃のシーンが印象的。
    本編の視点が変わらず分かりやすく、内容は重みがあるがそれぞれの人物に必死感がありつつも淡白でかつ人間味もある。
    少ない登場人物の浅くて深い関係性に引き込まれた部分もあり彼らの今後が幸せであることを祈る様な気持ちになった。

  • まひる、平山さん、奏絵。ここは2人が不倫相手で、でも一緒に暮らしてるっていう意味の分からない話。かなえは平山さんよりまひるの方に思いを馳せるし、何かおかしい。違う、と思いながら生きてる。引用したフレーズだけど、これ非常にわかる。やりきれなくて泣いたところでいったい自分がどういう意味を込めて、だれのために泣いてるのか分からんものを知られたくはないし、泣きたくもないなあと思った。この本にオチはないし、最終ふたりでおうちでていこうってなるんだけど、私は現状がだめだと思ったらすぐに足を洗えるような人になりたい。あと奥さん全部知ってるのに知らんふりしてあげられるとかすごいな。私には無理

  • 言葉ではうまく言い表せないような、不思議な人間関係はある。さらさら読めた。

  • 淡々と話が進んで(登場人物に感情の起伏があまり無いから)、この後が気になるところでで終わってしまった。
    解説は良かった。まさにその通りだと、頷いてしまう。

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著者プロフィール

1983年、北海道生まれ。歌人・小説家。立教大学文学部日本文学科卒業。2001年、短歌集『ハッピーアイスクリーム』で高校生歌人としてデビュー。2009年、『ハニー ビター ハニー』で小説家としてデビュー。その他、詩やエッセイなど様々な分野で活躍。著書に『あかねさす――新古今恋物語』『真夜中の果物』『こぼれ落ちて季節は』『この街でわたしたちは』『消えていく日に』『そして旅にいる』『マッチング!』などがある。

「2023年 『この場所であなたの名前を呼んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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